クリティカル・ワード ポピュラー音楽

〈聴く〉を広げる・更新する

永冨真梨/忠聡太/日高良祐=編著
有國明弘/ヴィニットポン ルジラット(石川ルジラット)/大嶌徹/大尾侑子/尾鼻崇/大和田俊之/葛西周/加藤賢/上岡磨奈/川本聡胤/金悠進/源河亨/篠田ミル/ジョンソン・エイドリエン・レネー/谷口文和/中條千晴/鳥居祐介/永井純一/平石貴士/福永健一/藤嶋陽子/増田聡/松浦知也/溝尻真也/村田麻里子/山崎晶/輪島裕介=著
発売日
2023年3月25日
本体価格
2,200円+税
判型
四六判・並製
頁数
264頁
ISBN
978-4-8459-2131-7
Cコード
C0073
装幀
大倉真一郎
イラスト
カワイハルナ
[クリティカル・ワード]5冊セット(20%OFF)

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28のキーワードで学ぶポピュラー音楽研究の基礎から最前線まで

ジェンダー、人種、階級、ジャンル、法、アニメ、シティ、アマチュアリズム……
幅広いキーワードと現代的な事例から、音楽文化を考え常識を問い直す!

近年、学術的な研究領域としての地位を確立しつつある「ポピュラー音楽」研究に関する基礎的な知識を解説しつつ、最新の動向を初学者にも分かりやすく紹介した本邦初の入門書。

本書は3部構成になっており、「第1部 基礎編」では、ポピュラー音楽研究の基底を支える概念として8つを取り上げ、それぞれのキーワードからポピュラー音楽を概観する。

「第2部 事例編」では、ポピュラー音楽研究のなかでも比較的蓄積の多いトピックを照射する。各項目はそれぞれの学術的議論を概観した上で、ポピュラー音楽研究全体、そして、他分野と横断・接続し、新しい学術領域を開拓する、発展的な学術的問いも示唆する。

「第3部 拡張編」では、近年の音楽文化を領域横断的に語る上で欠かせないキーワードを掲げて、ポピュラー音楽それ自体とそのコンテクストを扱ってきた従来の研究から一歩外に踏み出し、新鮮な空気を吸うための論考を集めた。

これまで日本語で読むことのできなかった重要トピックや論点も多数収録し、研究者や学生だけでなく、音楽を「分析したい人」、「語りたい人」にとっての手引きとしても有用な一冊となっている。

◆シリーズ[クリティカル・ワード]
現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズ。

基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを提供します。


目次

はじめに 日高良祐

第1部 基礎編

ポピュラー 永冨真梨・忠聡太・日高良祐
テクノロジー 谷口文和
コマーシャリズム/キャピタリズム 大和田俊之
コロニアリズム/ポストコロニアリズム 葛西周
ジェンダー/セクシュアリティ 中條千晴
クラス 平石貴士
レイス 鳥居裕介
デジタル 篠田ミル・日高良祐

第2部 事例編

ジャンル 輪島裕介
法 増田聡
文字 大嶌徹
放送 福永健一
映像 溝尻真也
場所 永井純一
身体/パフォーマンス 上岡磨奈
聴衆/ファン 大尾侑子
楽曲 川本聡胤
感情 源河亨

第3部 拡張編

ビデオゲーム 尾鼻崇
ファッション 藤嶋陽子
アニメ 山崎晶
スポーツ 有國昭弘
アーカイヴ/ミュージアム 村田麻里子
シティ 加藤賢
アジア 金悠進
プログラミング 松浦知也
クィア ジョンソン・エイドリエン・レネー
アマチュアリズム ヴィニットポン ルジラット(石川ルジラット)

人名索引
事項索引

プロフィール

[編著]
永冨真梨(ながとみ・まり)
関西大学社会学部メディア専攻准教授。専門はアメリカ文化史・ポピュラー音楽・越境。共著書に『ポップ・ミュージックを語る10の視点』(アルテスパブリッシング、2020)、論文に「「黒い」音と「白い」音を再考する─「南部の音」を創った『ニューミュージック・マガジン』の記事を事例として」(『ポピュラー音楽研究』24巻、2021)など。京都のカントリー音楽ライブハウス、ケニーズにて永冨研二とテネシーファイブとの毎週土曜日のライブを主軸に、現在でも歌手活動と音楽制作を行う。

忠聡太(ちゅう・そうた)
福岡女学院大学人文学部メディア・コミュニケーション学科専任講師。専門は近現代文化史、ポピュラー音楽研究。共著に『アフターミュージッキング─実践する音楽』(東京藝術大学出版会、2017)、『私たちは洋楽とどう向き合ってきたのか─日本ポピュラー音楽の洋楽受容史』(花伝社、2019)など。素朴な再生産技術を駆使したワークショップなどの実践にも取り組む。

日高良祐(ひだか・りょうすけ)
京都女子大学現代社会学部講師。専門はメディア研究、ポピュラー音楽研究。分担執筆に『ポストメディア・セオリーズ─メディア研究の新展開』(ミネルヴァ書房、2021)、『技術と文化のメディア論』(ナカニシヤ出版、2021)など。おもに90年代のデジタル・メディア技術を調査、最近はMiniDisc機材をヤフオク/メルカリで渉猟中。

[著]
有國明弘(ありくに・あきひろ)
大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程/大学等非常勤講師。専門は社会学、文化研究。論文に「学校で踊る若者は『不良』か?─ストリートダンスはどのようにして学校文化に定着したか」(『新社会学研究』第五号、新曜社、2021)、分担執筆に『ふれる社会学』(2019)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(2021、ともに北樹出版)、『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022)など。

ヴィニットポン ルジラット(石川ルジラット)
青山学院大学総合文化政策学部助教。タイ、チュラロンコン大学コミュニケーション・アーツ学部首席卒業。東京大学大学院情報学環・学際情報学府で修士号(2010年)、博士号(2020年)取得。専門はカルチュラル・スタディーズ、ソーシャルメディア研究。共著に『ジャパニーズ・ポップカルチャーのマーケティング戦略』(千倉書房、2022)がある。

大嶌徹(おおしま・てつ)
玉川大学リベラルアーツ学部講師。専門は音楽学・ポピュラー音楽研究。論文に「飲食店が「文化」を守る─コロナ禍の文化助成に対する中小規模音楽施設の適応について」(『玉川大学リベアラルアーツ学部紀要』16号、2023)、「対抗文化的連帯にもとづく音楽フェスティバルの再考─1977年「ローリング・ココナッツ・レヴュー・ジャパン」における国際交流を例に』(『玉川大学リベアラルアーツ学部紀要』13号、2020)など。

大尾侑子(おおび・ゆうこ)
東京経済大学コミュニケーション学部准教授。専門は歴史社会学、メディア史、ファン研究。著書に『地下出版のメディア史─エロ・グロ、珍書屋、教養主義』(慶應義塾大学出版会、2022)。ファン研究には「デジタル・ファンダム研究の射程─非物質的労働と時間感覚にみる「フルタイム・ファンダム」」(『ポストメディア・セオリーズ─メディア研究の新展開』ミネルヴァ書房、2021)など。

大和田俊之(おおわだ・としゆき)
慶應義塾大学法学部教授。専門はアメリカ文化、ポピュラー音楽研究。著書に『アメリカ音楽史』(講談社、2011)、『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房、2021)、編著に『ポップ・ミュージックを語る10の視点』(アルテスパブリッシング、2020)、長谷川町蔵との共著に『文化系のためのヒップホップ入門』1〜3(アルテスパブリッシング)など。

尾鼻崇(おばな・たかし)
大阪国際工科専門職大学准教授。専門は音楽学、ゲーム研究など。単著に『映画音楽からゲームオーディオへ』(晃洋書房、2016)、共著に『デジタル・ヒューマニティーズ研究とWeb技術』(ナカニシヤ出版、2012)、『文化情報学事典』(勉誠出版、2019)など。ゲーム音楽展「Ludo-Musica」のキュレーターを担当。

葛西周(かさい・あまね)
早稲田大学高等研究所講師。専門は日本近現代音楽史。共著に『音と耳から考える─歴史・身体・テクノロジー』(アルテスパブリッシング、2021)、『移動するメディアとプロパガンダ─日中戦争期から戦後にかけての大衆芸術』(勉誠出版、2020)など。

加藤賢 (かとう・けん)
大阪大学文学研究科文化表現論専攻博士後期課程。専門はポピュラー音楽研究、都市社会学、文化政策学。論文に「渋谷に召還される〈渋谷系〉─ポピュラー音楽におけるローカリティの構築と変容」(『ポピュラー音楽研究』24号、2020)、共著に『シティポップとは何か』河出書房新社、2022)など。

上岡磨奈(かみおか・まな)
慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学/大学等非常勤講師。専攻は文化社会学、カルチュラル・スタディーズ。俳優、アイドル、作詞家などを経て、研究を開始。共著に『アイドルについて葛藤しながら考えてみた』(青弓社、2022)、『アイドル・スタディーズ─研究のための視点、問い、方法』(明石書店、2022)など。

川本聡胤(かわもと・あきつぐ)
フェリス女学院大学音楽学部准教授。専門は音楽理論、特にポピュラー音楽を含む20世紀以降の音楽を研究。著書に『J−POPをつくる!』(フェリスブックス、2013)、訳書に『キース・エマーソン自伝』(三修社、2013)、論文に「音楽学的ポピュラー音楽研究(3)─ジャンルとスタイル」(『フェリス女学院大学音楽学部紀要』第16号、2022)など。

金悠進(きむ・ゆじん)
国立民族学博物館機関研究員。専門は地域研究(インドネシア)。著書に『越境する〈発火点〉─インドネシア・ミュージシャンの表現世界』(風響社、2020)、『ポピュラー音楽と現代政治─インドネシア 自立と依存の文化実践』(京都大学学術出版会、2023)など。

源河亨(げんか・とおる)
九州大学比較社会文化研究院講師。専門は心の哲学、美学。著作に、『悲しい曲の何が悲しいのか─音楽美学と心の哲学』(慶應義塾大学出版会、2019)、『感情の哲学入門講義』(慶應義塾大学出版会、2021)、『「美味しい」とは何か─食からひもとく美学入門』(中央公論新社、2022)など。

篠田ミル(しのだ・みる)
東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専門はメディア論、サウンド・スタディーズ。yahyelのメンバーとしてシンセサイザーを担当。楽曲提供やプロデュース、CMや映画音楽の作曲まで幅広く手がける。また、プロテストレイヴ、D2021といったイベントの企画を通じて社会問題に関する発信も積極的に行う。

ジョンソン・エイドリエン・レネー(Johnson Adrienne Renee)
白百合女子大学文学部講師、東京大学学際情報学府博士後期課程。専門はカルチュラル・スタディーズ・ジェンダー研究。著書に“Josō or “Gender Free”? Playfully Queer “Lives” in Visual Kei.” Asian Anthropology. 19: 2, 2020, “Cross-dressing: Kaya”Japanese Media and Popular Culture. An Open-Access Digital Initiative of the University of Tokyo, 2020 など

谷口文和(たにぐち・ふみかず)
京都精華大学メディア表現学部准教授。専門は音楽学、特に録音技術を用いた音楽表現や音楽実践について研究している。共著に『音響メディア史』(ナカニシヤ出版、2015)、共訳にジョナサン・スターン『聞こえくる過去─音響再生産の文化的起源』(インスクリプト、2015)など。

中條千晴(ちゅうじょう・ちはる)
フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)特任講師。専門は文化社会学、ポピュラー音楽とジェンダー。翻訳に『博論日記』(花伝社、2020)、論文に“Women’s movements in Japan in the 1970s : Transgression and Rejection.” Engendering Transnational Transgressions: From the Intimate to the Global. Routeledge, 2021、「二一世紀のラブソング─現代日本のポップソングについての一考察」(『現代思想』2021年9月号、青土社、2021)など。

鳥居祐介(とりい・ゆうすけ)
摂南大学国際学部教授。専門はアメリカ研究。論文に“S. I. Hayakawa and the Civil Rights Era.” Onishi and Sakashita eds., Transpacific Correspondence: Dispatches from Japan’s Black Studies, Palgrave Macmillan, 2019 など。

永井純一(ながい・じゅんいち)
関西国際大学社会学部准教授。博士(社学)。専門は音楽社会学、メディア研究。著書に『ロックフェスの社会学─個人化社会における祝祭をめぐって』(ミネルヴァ書房、2016)、共著に南田勝也編著『私たちは洋楽とどう向き合ってきたのか』(花伝社、2019)、南田勝也+木島由晶+永井純一+小川博司編著『音楽化社会の現在』(新曜社、2019)など。

平石貴士(ひらいし・たかし)
立命館大学産業社会学部非常勤講師。博士(社会学)。専門社会調査士。専門は文化社会学、社会学理論。共著に『コロナ禍のライブをめぐる調査レポート[聴衆・観客編]』(Next Publishing Authors Press、2021)、『表現文化の社会学入門』(ミネルヴァ書房、2019)、共訳にジェフリー・キダー『パルクールと都市 トレイサーのエスノグラフィ』(ミネルヴァ書房、2022)がある。

福永健一(ふくなが・けんいち)
四国学院大学社会学部助教。専門はメディア史、音響メディア論。論文に「ラジオの声の生成史─1920年代米国のラジオにおける声の経験についての考察」(『マス・コミュニケーション研究』87号、2015)など。

藤嶋陽子(ふじしま・ようこ)
明治大学商学部特任講師、理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)客員研究員。専門は文化社会学、ファッション研究。編著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022)、共著に『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021)など。

増田聡(ますだ・さとし)
大阪公立大学大学院文学研究科教授。専門は音楽学、メディア論、ポピュラー文化論。著書に『その音楽の〈作者〉とは誰か─リミックス・産業・著作権』(みすず書房、2005)、『聴衆をつくる─音楽批評の解体文法』(青土社、2006)など。日本ポピュラー音楽学会会長(2023〜2024年)。

松浦知也(まつうら・ともや)
東京藝術大学藝術情報センター特任助教。音に関わるメディア・インフラストラクチャ技術を実践を交え批評的にデザインする活動を「音楽土木工学」と称して研究している。音楽プログラミング言語mimiumの設計と開発(2019−)の他、自作電子楽器を用いての演奏活動を継続的に行う。「音楽土木工学を設計する─音楽プログラミング言語mimiumの開発を通じて」(2022)で博士(芸術工学)を取得。

溝尻真也(みぞじり・しんや)
目白大学メディア学部准教授。専門は文化社会学、メディア論。共著に『ビデオのメディア論』(青弓社、2022年)、『スクリーン・スタディーズ―デジタル時代の映像/メディア経験』(東京大学出版会、2019)、『音楽化社会の現在─統計データで読むポピュラー音楽』(新曜社、2019)など。

村田麻里子(むらた・まりこ)
関西大学社会学部教授。専門はメディア論、ミュージアム研究。著書に『思想としてのミュージアム―ものと空間のメディア論』(人文書院、2014)、『ポピュラー文化ミュージアム─文化の収集・共有・消費』(共編著、ミネルヴァ書房、2013)、『多様性との対話』(共著、青弓社、2021)など。

山崎晶(やまさき・あき)
京都文教大学総合社会学部准教授。専門はメディア社会学。論文に“The Emergence of Singing Voice Actors/Actresses: The Crossover Point of the Music Industry and the Animation Industry.”Toru Mitsui ed., Made in Japan: Studies in Popular Music, Routledge, 2014、“Cowboy Bebop: Corporate Strategies for Animation Music Products in Japan.” Rebecca Coyle ed., Drawn to Sound: Animation Film Music and Sonicity, Equinox, 2009 など。

輪島裕介(わじまゆうすけ)
大阪大学大学院人文学研究科芸術学専攻教授(音楽学)。専門はポピュラー音楽研究、近代音曲史。著書に『創られた「日本の心」神話─演歌をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書、2010。2011年サントリー学芸賞、国際ポピュラー音楽学会Book Prize非英語部門受賞)、『踊る昭和歌謡─リズムからみる大衆音楽』(NHK出版新書、2015)など。