映画を多元的に読む──
ワールド・スタンダードな「映画学の教科書」決定版
これまで映画の見方を指南する本は、技法の詳説に偏ったものや、高踏すぎる難解なものが多いのが現状でした。本書では、実際の映画作品を用いて「技法」と「批評」の両面から分析するテキストで構成されており、映画をトータルかつ客観的な視点から学習することができます。
第一部では、物理的な対象(カメラ、音、美術など)の「何を見ればいいのか」が語られ、第二部では、意味上の対象(歴史、政治、科学、思想など)を「どう見ればいいのか」が述べられており、豊富なスチルがそれらをさらに分かりやすく伝えます。
「映画を批評的に見るためには、どこから始めればいいか」という一歩進んだ映画に対する観点が、本書が伝えたいコアポイントです。「鑑賞のイージーさ」と「批評のハードさ」を繋ごうとする姿勢は、ただ単に映画を受容するだけではなく、鑑賞者や作り手に対して新しい視点や論点を与える1冊です。
《本書で引用される映画作品》
『時計仕掛けのオレンジ』 『パルプ・フィクション』 『シャイニング』 『鳥』 『ロード・オブ・ザ・リング』 『アメリ』 『無ケーカクの命中男』 『フィクサー』 『2046』 『第三の男』 『波止場』 『フィラデルフィア物語』 『暗殺の森』 『北北西に進路を取れ』 『12人の怒れる男』 『我等の生涯の最良の年』 『ミルドレッド・ピアース』 『捜索者』 『女相続人』 『花様年華』 『エネミー・オブ・アメリカ』 『その土曜日、7時58分』 『スタンドアップ』 『自転車泥棒』 『突撃』 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 『ガス燈』 『大いなる幻影』 『ロード・トゥ・パーティション』 『ゴッドファーザー』 『コールガール』 『十字砲火』 『男性・女性』 『ブロンド・ヴィナス』 『ドライヴ』 『ハイエナ』 『テルマ&ルイーズ』 『市民ケーン』 『地獄の黙示録』 『ある日、ダウニング街で』 『エイリアン』 『カメラを持った男』 『ブレードランナー』 『バッカニアーズ』 『しあわせの法則』 『チャイナタウン』 『シェイム』 『風と共に散る』 『セブン』 『羊たちの沈黙』 『フォーリング・ダウン』 『つぐない』 『M』 『恋する惑星』 『ロジャー&ミー』 『パリ 夜は眠らない』 『スコピオ・ライジング』 『二十四時間の情事』 『インサイド・ジョブ』 『歴史と記憶』 『ツリー・オブ・ライフ』 『ゴールド・ディガーズ1933』 『レボリューショナリー・ロード』 『ワーキング・ガール』 『ファイト・クラブ』 『レザボア・ドッグス』 『憎しみ』 『オフィシャル・ストーリー』 『ラン・ローラ・ラン』
目次
序章 映画における意味
第一部 技巧と意味
第1章 構図
第2章 カメラワーク
第3章 編集
第4章 アートディレクション
第5章 語り
第6章 メタファー、構造、人物、モチーフ
第7章 スタイル:リアリズムと表現主義
第二部 批評的分析
第8章 歴史的批評
第9章 構造主義批評
第10章 心理学的批評
第11章 イデオロギー批評
第12章 ジェンダー批評
第13章 エスニック批評
第14章 政治的批評
第15章 ポスト構造主義批評
第16章 科学的批評
訳者あとがき
目次
[著]
マイケル・ライアン(Michael Ryan)
テンプル大学准教授。コミュニケーションおよび演劇学部で教鞭を執る他、批評誌“Politics and Culture”の編集委員も務める。
メリッサ・レノス(Melissa Lenos)
テンプル大学で博士号を取得後、ブルックデイル大学で教鞭を執り、現在はドネリー大学助教。映画を中心とした物語論を専門に研究している。
[訳]
田畑 暁生(たばた・あけお)
1965年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院(社会情報学)修了。現在、神戸大学人間発達環境学研究科准教授。著書に『情報社会論の展開』(北樹出版)、編著書に『情報社会を知るクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社)、訳書に『サイバー・メディア・スタディーズ』(フィルムアート社)などがある。