法のデザイン

創造性とイノベーションは法によって加速する

水野祐=著
発売日
2017年2月24日
本体価格
2,200円+税
判型
四六判・並製
頁数
344頁
ISBN
978-4-8459-1605-4
Cコード
C0036
刷数
7刷

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アフターインターネット時代の文化と社会を駆動する
新しい法の設計論。

インターネット・カルチャーと法が交錯するなかで、今何が起きているのか?
よりよい社会や文化をいかに設計していけるのか?(そして、本当によい社会、豊かな社会とは果たして何なのか?)

本書では、アフターインターネット時代における、法をとりまく環境を考察し、国家が一方的に定めるルールに従うのではなく、自発的にルールメイキングしていくための、「法」×「デザイン思考」=「リーガルデザイン」という新しい考え方提唱する。

法律や契約などの法は、私たちの自由を規制し、創造性やイノベーションを阻害する、と思いがちだが、果たして本当に法の役割は規制のみだろうか。逆に、創造性やイノベーションを加速するための「潤滑油」のように法を捉え、そのような視点で上手に設計することはできるのではないか。

音楽、出版、アート、写真、ゲーム、ファッション、二次創作から、不動産、金融、家族、政治まで。
本書は、クリエイターの“自由”を守り、表現を加速させる気鋭の弁護士が、インターネット・カルチャーと法が交錯する中で見る現代の社会と文化の風景を素描する、法律を媒介とした社会設計論であり文化論である。

社会のルールたる法は、私たちの生活において欠かせないものである。ルールを意識するということは、メタな視点から物事を俯瞰することでもある。私はこれが「リーガルマインド」の真髄だと考えているが、それはあらゆる物事がネットワークでつながるアフターインターネット時代においてとりわけ重要な視点となってきている感覚がある。

大切なことは、ルールは時代とともに変わっていく/変わっていくべきという認識と、ルールを「超えて」いくというマインドである。ルールを超えていくことは、ルールを破ることを意味しない。ルールがどうあるべきかということを主体的に考えて、ルールに関わり続けていくことを意味する。ルールを最大限自分寄りに活かすことは知性の証明に他ならない。
(本書「イントロ」より抜粋)

メディア掲載


目次

イントロ 21世紀の法律家から見える風景

第一部
リーガルデザイン総論│法により創造性やイノベーションを加速させることは可能か

1 はじめに 情報化社会に取り残される法
2 アーキテクチャ 情報化社会の新しい行動原理
3 コモンズ 創造性、イノベーションの源泉となる「余白」
コモンズという「余白」/コモンズを考慮した制度設計/侵食されるコモンズ/コモンズを確保する制度設計
4 リーガルデザイン 創造性、イノベーションを加速させるための新しい法の設計論
リーガルデザインの思想/リーガルデザインの端緒/リーガルデザインの射程
5 第一部のおわりに 法という社会のOSを更新するために

第二部
リーガルデザイン各論│各分野の考察から
1 音楽
2 二次創作
3 出版
4 アート
5 写真
6 ゲーム
7 ファッション
8 アーカイヴ
9 ハードウェア
10 不動産(建物、土地、都市)
11 金融
12 家族
13 政治
第二部のおわりに 「なめらかな社会」における法の役割とは

アウトロ 複雑な社会を複雑なまま受容するために

プロフィール

[著]
水野祐(みずの・たすく)
弁護士(シティライツ法律事務所)。Arts and Law 代表理事。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(特定非営利活動法人コモンスフィア)理事。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(リーガルデザイン・ラボ)。京都精華大学非常勤講師。FabLabJapan Networkなどにも所属。IT・クリエイティブ・まちづくり分野の法務に従事しつつ、官公庁で委員会の委員やアドバイザーなども務める。好物は電子音楽と色気のある映画、カレーなど。
著書に『クリエイターのための渡世術』(ワークスコーポレーション、共著)、『オープンデザイン参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」』(オライリー・ジャパン、共同翻訳・執筆)、『デジタルで変わる宣伝広告の基礎』(宣伝会議、共著)、『秩序なき時代の知性』(ポプラ新書、佐藤優との対談)、『これからの僕らの働き方』(早川書房、インタビュー)などがある。