ニューヨーク、東京、パリ、ソウル、モスクワと気鋭の批評家・四方田犬彦の映画的地球横断の楽しみ。候孝賢、陳凱歌、許鞍華から、パラジャーノフ、リンチ、フラーまで、80年代末から最近までの話題作、計250本を痛快な速度の文体で語るクリティック。
目次
愚行としての映画批評
第1章 映画はエスニシティの創造物である 1986-1987
クリムゾン・キモノ/ブラジル映画祭/ベッド・イン/タンゴ/鈴木清順全映画/梶原一騎を追悼する/サクリファイス/エンジェリック・カンヴァセーション/マイ・ビューティフル・ランドレット/増村保造を追悼する/緑の光線/メイク・アップ/ゆきゆきて、神軍/第10回アジア系アフリカ人国際映画祭/リビング・オン・TOKYO・タイム/スリープウォーク/興隆と退廃/恐怖分子/ニューヨーク映画事情
第2章 東アジアでなにか新しいことが生じている 1988
第12回香港国際電影師/デジャ・ヴュ/ポゼッション/美術監督・木村威夫/秋天的童話/友だちの恋人/美空ひばりSinging in the Movie/ヘイル・ヘイル・ロックンロール/予告された殺人の記録/薔薇の王国/ザ・デッド/香港電影博/ダーティハリー5/旅人は休まない/映画批評と同性愛/都会のアリス/ドグラ・マグラ/存在の耐えられない軽さ/ソウル/第4回東京国際ファンタスティック映画祭/トリュフォーがお好き?/カルテット/ロベルトは今夜/ハラキリ/民族の祭典/八月の鯨/マイライフ・アズ・ア・ドック/右側に気をつけろ/ベストテンなき1988年
第3章 映画は歴史をどれほど超えられるか 1989
ブニュエルのメキシコ/ドゥーシャン・マカヴェイエフ/悪霊/肉体と財産/候孝賢『非情都市』撮影ルポ/候孝賢は語る/中国映画第五世代の誕生/陳凱歌『子供たちの王様』を語る/丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる/第13回香港国際電影節/チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スウィートホーム/アシク・ケリブ/映画と字幕/韓国で初めての日本映画上映に立ち会って/午馬/わんわん物語/ハリマオ/イタリア不思議旅/わが父パードレ・ヌエストロ/レインボウ/ソウルのイエス/インディ・ジョーンズ 最後の聖戦/ジョン・ローンとジャッキー・チェン/カミーユ・クローデル/一人と八人/利休/バード/どついたるねん/ラ・ピラート/遠い声、静かな暮らし/友達/青空/ワガから遠く離れて
第4章 日本映画の考古学を開始する 1990
賭博師ボブ マンハッタンの二人の男/第2回香港電影博によせて/余波 ヌーヴェルヴァーグのその後/私の愛するテーマ/オープニング・ナイト/ゴジラVSビオランテ/感恩歳月/風の輝く朝に/ロビンソン漂流記/カンフー・マスター/サラーム・ボンベイ!/霧の中の風景/ドゥ・ザ・ライト・シング/狩人の夜/映画と香り/制服本番 教えて!/第14回香港国際電影節/客途秋恨/自由、夜/バタアシ金魚/夢/風の物語/主婦マリーがしたこと/チュッ・ニャ・ディン/ストリート・オブ・ノーリターン/デンジャーヒート 地獄の最前線/映画史を教える/天国は待っている/浪人街/弁士と日本映画/ハンス・ユルゲン・ジーバーベルグ/つぐみ/櫻の園/一九九〇年の韓国映画/ラスト・オブ・イングランド/チャイナシャドー/受難のジョーク
第5章 私は試写会室に飽きてしまった 1991
南部軍/天国の半分/スタークレージー/今村太平/シェリタリング・スカイ/コントラクト・キラー/ナサリン/英国式庭園殺人事件/ノン、特務隊員の虚妄の栄光/朝鮮映画祭91/ヒッチコックと女優たち/夢二/ツイン・ピークス/小川徹を追悼する/マニフェスト/狭山事件/なぜ鏡花が日本映画に重要なのか/金日成のパレード/ヌーヴェルヴァーグ
初出一覧
あとがき