ストラクチャーから書く小説再入門

個性は「型」にはめればより生きる

K・M・ワイランド=著
シカ・マッケンジー=訳
発売日
2014年3月24日
本体価格
2,000円+税
判型
四六判・並製
頁数
304頁
ISBN
978-4-8459-1325-1
Cコード
C0090
刷数
3刷
K.M.ワイランドの小説術5冊セット(20%OFF)

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映画の構成は小説に応用できる!

映画化、アニメ化されるヒット作はどう書かれているのか?
小説や映画の豊富な事例をもとに、物語を書くための術を徹底解説!

本書では、傑作に欠かせない「構成」=ストラクチャーを映画の構成、脚本術をもとに指南します。単なる“ひらめき”を作品化し、独創性と個性を最大限に引き出すために大切なこととは何か。勘を頼りに書けても確かな技術は身に付きません。

物語にインパクトを持たせながらもバランスと整合性を生み、最後まで書ききることができる強い物語に必要なことを、それぞれストーリー(物語)の構成、シーン/シークエル(場面/つなぎ)の構成、文の構成から、丁寧に解説します。

とくに、ライトノベル、ゲームシナリオ、エンタメ小説のライティングには有益な一冊です。

どんな創作にも構成は必要です。

ダンスや絵画、歌など、あらゆる創作は構成の上に成り立っています。小説も同じ。ひらめきを作品化してよいものに仕上げるには、形式上の制約と、最大限の効果を上げる並べ方を知らねばなりません。

構成を立てて書いても独創性は失なわれません。

「型にはめたら個性が出せなくなる」と恐れる書き手は少なくありません。ここまで進んでここで止まる、という枠に合わせたら、誰が書いても同じ本になるんじゃないかと。それは誤解です。構成は作品を形づくるのに必要な枠を与えてくれるだけ。その枠を使って物語が成立するか確認し、自信と確信を持って創作ができるようになります。

構成は「決めつけ」ではありません。

「型にはめたら誰が何を書いても同じになる」と恐れる書き手もいます。ならば、振付に従って踊るバレエも誰が踊ろうと同じでしょうか? 構成は表現というギフトを収める箱のようなもの。中身も様々ですし、包装で印象を大きく変えることもできます。

構成を見れば、必要事項のチェックができます。

私たちが指南書を読むのは、よいストーリーを書くポイントが知りたいから。構成は、そのポイントをずらりと簡潔に並べたもの。だとしたら重宝しますよね。

構成は創作能力を確かなものにします。

勘を頼りに実践していることが、なぜうまくいくかを再確認すれば理解が深まり、確かな技術として定着します。私は勘を頼りに小説を書いていましたが、構成を意識しながら読み返した時、必要とされる要素がほぼ全部書けていたことに驚いたものです。初めから原理を理解して執筆すれば、確信を持って狙いを定めることができます。

構成はエキサイティング。創作活動をするあなたを支え、はばたかせてくれます。初めての方も、すでに仕組みをご存知の方も、ストーリー構築の極意についての考察をお楽しみ頂ければ幸いです。
(本文より抜粋)


目次

イントロダクション なぜ、構成は大切なのか?

[パート1|part.1] ストーリーの構成

[第1章|chapter.1] 掴み(フック)
初めの一行を魅力的にする五つの要素/映画と小説の例/まとめ

[第2章|chapter.2] 物語をどこから始めるべきか?
登場人物/アクション/舞台設定/出来事の途中から始める「イン・メディアス・レス(In Medias Res)」/ドラマ的な疑問(物語が提起する疑問)

[第3章|chapter.3] 最初の章の注意点
読者に抱かせてはいけない疑問/そのプロローグは必要?/夢の描写/フラッシュフォワード(未来への時間転移)/バックストーリー(背景、いきさつ、おいたち)の扱い方

[第4章|chapter.4] 第1幕 パート1:登場人物の紹介
人物を発見する/紹介が必要な人物は?/登場人物の適正な数は?/読者を惑わせないために

[第5章|chapter.5] 第1幕 パート2:危機と舞台設定の紹
「危機に晒されている大切なもの(stakes)」の紹介/舞台設定の紹介/舞台設定の選び方/人物のパーソナルな環境を使う/映画と小説の例/まとめ

[第6章|chapter.6] プロットポイント1
映画と小説の例/まとめ/「インサイティング・イベント」と「キー・イベント」/映画と小説の例/まとめ

[第7章|chapter.7] 第2幕の前半096
第2幕前半/ピンチポイント1/映画と小説の例/まとめ/ミッドポイント/映画と小説の例/まとめ

[第8章|chapter.8] 第2幕の後半
ピンチポイント2/サブプロット/映画と小説の例/まとめ

[第9章|chapter.9] 第3幕
プロットポイント2/人物の変化をまっとうさせる/映画と小説の例/まとめ

[第10章|chapter.10] クライマックス
「クライマックス」とは何か?/速く、大きく!/映画と小説の例/まとめ

[第11章|chapter.11] 解決
オチをつけるか、つけないか/心に響く結びを書くための五要素/映画と小説の例/まとめ

[第12章|chapter.12] エンディングをさらによくするために
ハッピーエンドか、サッドエンドか? /エンディングの失敗例/クライマックスで唐突な「デウス・エクス・マキナ」展開をしている/クライマックスで人物を置き去りにする/トリックで読者をだます/「解決」で解決せずに終わる/エピローグで余韻を台無しにする

[第13章|chapter.13] 構成についてよくある質問
Q.三幕構成でない作品を書こうとしています。出版の可能性は低くなりますか?/Q.ストーリーの構成はジャンルによって異なりますか? /Q.回想(フラッシュバック)は、構成のどこに入れるとよいですか? /Q.プロローグとエピローグを入れようと思います。構成上、どこに配置すればいいですか? /Q.一冊完結の小説本と、シリーズの一作として出す本とでは、構成に違いはありますか? /Q.シリーズ物の一冊で、ドラマ的質問はその本の中で答えを出すべきでしょうか? 続きの本に持ち越していいでしょうか? /Q.原稿を書いたらプロットポイント1が一八%地点ないしは二七%地点にずれそうです。大丈夫でしょうか? /Q.小説は映画に比べ、プロットポイントの位置が厳密でないのはなぜですか? /Q.私はアウトラインを作らず、いきなり原稿を書くタイプです。構成を考えるにはどうしたらいいですか? /Q.二人の主要人物が、それぞれ独立したプロットラインを持つ場合、どうすればいいですか?/Q.短編や中編でも構成のしかたは同じですか?

[パート2|part.2] シーンの構成

[第14章|chapter.14] シーン
「シーン」を二つの部分に分ける/シーン部分/シークエル部分/シーン部分を作る三つのブロック/第一ブロック:ゴール/
第二ブロック:葛藤/第三ブロック:災難/シーン部分の目的を考える/シーンを停滞させずに進める方法/シーンの実例

[第15章|chapter.15] シーンの「ゴール」の選択肢
プロットのゴールvs.シーンのゴール/共通のゴール/シーンのゴールの選択肢/シーンのゴールを考える時に/シーンのゴールの実例

[第16章|chapter.16] シーンの「葛藤」の選択肢
葛藤はプロットに合っているか? /登場人物の中から葛藤を生み出そう/会話の中で葛藤させるには/会話の中で葛藤させる時の注意点/シーンの葛藤の選択肢/シーンの葛藤を考える時に/シーンの葛藤の実例

[第17章|chapter.17] シーンの「災難」の選択肢
「災難」を災難らしくするために/「うまくいったと思いきや(Yes, But!)」の災難/シーンの「災難」の選択肢/シーンの「災難」を考える時に/シーンの「災難」の実例

[第18章|chapter.18] シークエル
シークエルを作る三つのブロック/第一ブロック:リアクション/第二ブロック:ジレンマ/第三ブロック:決断/葛藤かテンションか?/シークエルの実例

[第19章|chapter.19] シークエルの「リアクション」の選択肢
読者を退屈させることを恐れずに/シークエルの「リアクション」の選択肢/シークエルの「リアクション」を考える時に/シークエルの「リアクション」の実例

[第20章|chapter.20] シークエルの「ジレンマ」の選択肢
ジレンマの三段階/振り返り(Review)/分析(Analyze)/計画(Plan)/ジレンマの選択肢/ジレンマを考える時に/ジレンマの実例

[第21章|chapter.21] シークエルの「決断」の選択肢
長期のゴールと短期の決断/ストレートな決断か、遠回りの決断か/決断をはっきり書くべきか? /シークエルの「決断」の選択肢/シークエルの「決断」を考える時に/シークエルの「決断」の実例

[第22章|chapter.22] シーン構成のバリエーション
「シーン」のゴールのバリエーション 語り手以外の人物のゴールに向けて「シーン」が進む/「シーン」の途中でゴールが見つかる/ ゴールをはっきり書かないで、ほのめかす/「シーン」の葛藤のバリエーション 「シーン」のゴールを提示せず、いきなり葛藤で始める/ 葛藤を控えめに書き表す/「シーン」の「災難」のバリエーション 「災難」をはっきり書かない/「シーン」全体のバリエーション シーン部分を丸ごと省略、暗示、要約する/ 「シーン」に別の「シーン」を割り込ませる/「シーン」のように見えるが、そうでないものもある/ 通過点(The Incident)/ハプニング(The Happening)/ シークエル部分のバリエーション/「リアクション」のバリエーション 出来事や行動とほぼ同時進行でリアクションを書いていく/出来事や行動が起きた後、しばらく間を空けてリアクションを書く/リアクションに回想を入れる/「ジレンマ」と「決断」のバリエーション 「決断」して行動を始めるが、行き詰まる/シークエル全体のバリエーション シークエルはわずか一瞬の時もある/シークエルは一文の半分で済む場合もあれば、いくつかの章にわたる場合もある/「リアクション」「ジレンマ」「決断」の分量はアンバランスでもかまわない/「リアクション」「ジレンマ」「決断」は順番を変えてもかまわない/ シークエル部分に次のシーンを割り込ませてもよい

[第23章|chapter.23] シーン構成についてよくある質問
Q.人物メインで「シーン」を書くと、プロット主導のものに比べて退屈になりませんか?/Q.シーンを語るのでなく、目に見える形で書くにはどうすればよいですか?/Q.「シーン」を構成する時に、内容を一つの文で書き表すと役に立ちますか?/Q.本のオープニングをシークエルで始めることはできますか?

[パート3|part.3] 文の構成

[第24章|chapter.24] 文の構成
刺激̶反応ユニット/刺激/反応/その文は「刺激」か、「反応」か? /情報を出す順序/「刺激―反応」のバリエーション/よくある文の誤り/2つの文節/不完全なフレーズ/「ながら」を使う語句/代名詞が指すものが曖昧/バリエーションの不足/不必要な名詞化/不要な言い回しを削除する

あとがき

プロフィール

[著]
K.M. ワイランド (K.M.Weiland)
アメリカ合衆国ネブラスカ州西部出身、在住。幼少の頃から乗馬とビリー・ザ・キッド、歴史と物語をこよなく愛して現在に至る。自身の出版レーベルPenForASwordより『A Man Called Outlaw(アウトローと呼ばれた男)』『Behold the Dawn(暁を見よ)』『Dreamlander(ドリームランダー)』
をはじめ、中世のヨーロッパや中東、近代アメリカなどの歴史を舞台とした小説を多数発表。創作のサポート活動にも精力的に取り組んでおり、ブログ「Wordplay:Helping Writers Become Authors (ワードプレイ:著書を世に出すお手伝い)」にてコラムや動画、インターネットラジオ、またオーディオCDなどでライターに役立つノウハウを公開中。本づくりについての豊富な経験を生かし、編集サービスも行なっている。
http://www.kmweiland.com/〔英語〕

[訳]
シカ・マッケンジー (Shika Mackenzie)
関西学院大学社会学部卒。「演技の手法は英語教育に取り入れられる」とひらめき、1999年渡米。以後ロサンゼルスと日本を往復しながら、俳優、通訳、翻訳者として活動。教育の現場では、俳優や映画監督の育成にあたる。ウェブサイト英語劇ドットコムを通じ、表現活動のコンサルティングも行っている。
訳書に文化庁日本文学普及事業作品『The Tokyo Zodiac Murders』(英訳、共訳)、『魂の演技レッスン22』、『役を生きる演技レッスン』『監督と俳優のコミュニケーション術』『新しい主人公の作り方』(フィルムアート社)他。