ホラー映画の書き方

映画は恐怖から生まれる

デヴィン・ワトソン=著
廣木明子=訳
発売日
2012年2月18日
本体価格
2,200円+税
判型
A5判・並製
頁数
272頁
ISBN
978-4-8459-1286-5
Cコード
C0074
備考
品切

その他のネット書店から購入

伏線の張り方、キャラクターのつくり方、先が読めないひねり……
内なるモンスターを引きずり出す脚本術

ホラー映画の書き方を実践的にレクチャーする入門書。社会的な変化との関わりを組込んでホラー映画史を概観したのち、著者自らがお手本となる脚本を書いてみせ、伏線の張り方、恐怖の膨らませ方など、ホラー特有のライティングをわかりやすく解説していく。読者に寄り添い一緒に草稿を書き進める構成で、各章末には課題がありワークブックの趣きもある。
シンプルな指針で映画脚本だけでなく、ゲームクリエイターやアニメーターにも有用であるうえ、ホラーの歴史とそれが世界中の映画制作にどんな影響をもたらしたかを的確に理解できる一冊。

成功を収めるために特定の〝メソッド〟や〝システム〟にこだわることはしない。
それらは、書きたいと思う者、なじまないかもしれない者を、型にはめて縛るだけだ。
一方、自分独自のやり方というのは学べるものだし、
この本はまさしく君がそれを学ぶのに役に立つはずだ。
──本書<序文>より

目次

■イントロダクション
序文
ホラー脚本術への道/この本に期待できること
■第1章 地獄へのガイド付きツアー ホラー映画少史
ジェイムズ・ホエール:ホラー映画創成期の名匠/1945年:怪物は蘇った/アトミック・モンスター映画/ウィリアム・キャッスル/検閲の緩和/1960年代:新しいモンスター/1970年代 : サタン、人間、社会、そして極限状況/1980年代 : 切り裂き魔の隆盛/1990年代 : リメイクと洗練/日本再興/21世紀/もうひとつ
■第2章 恐怖の種類
未知のもの/恐怖症/シャドウ・セルフ/死/真実、疑惑、そして視点/楽しみと実益のために自分自身の恐怖を理解する/恐怖の応用/ログラインを書く/喉元をつかんで放さない/シーンの指示は控える/短く端的なト書き/誰もが何かをしている/恐怖はどこにある?/エクストラ・クレジット
■第3章 ゾンビと戦う兵力を準備する
恐怖のタイプ/それで我々のストーリーはどういうものなのか?/商売道具/サスペンスと緊張/対立/状況を悪化させる——最初の大問題/エクストラ・クレジット
■第4章 シーンを配置する
ストーリー/ストーリーを書くときの3つの問いかけ/ストーリーとつながる/トーンとゴール/自分のモティヴェーションを知る/登場人物のモティヴェーションを知る/登場人物たちの前に立ちふさがる障害/執筆のプロセス/リサーチ、リサーチ、リサーチ/規模は気にしない/ここまで書いてきたシーンはどうだろう?/〝過剰〟にならないように/我々のシーンの構成/ここまででできたこと/基地までの道のり/エクストラ・クレジット
■第5章 効果的な悲鳴を書く
俗語/悪態/言葉なしで語る——過ぎたるは及ばざるがごとし/割り込み説明の活用/せりふの練習をする/悲鳴を書く
■第6章 ホラー映画の登場人物の生涯
ある登場人物の<生命線>/シーンの要素/登場人物を含めたシーンのデザイン/発見と地獄への転落/第2幕にとりかかる前に/暴力/エクストラ・クレジット
■第7章 第1稿を完成させる
緊張とアクションを駆り立てる/タイトルに何を盛り込む?/プロットは紡ぎ糸だから、撚るべし/カタルシスとしてのホラー/第2幕のはじまり
■第8章 その他もろもろ
著作権 : まずは防御策/WGA登録は? 同じことではないの?/作品を書き上げた瞬間に、自動的に著作権を獲得するのではないの?/オーケー、じゃあ、どうやって登録すればいい?/ふたつの断片を組み合わせる/3幕構成など忘れてしまえ、ある程度は/スルー・ラインとストーリーの速度/大駄作を恐れるな/メモ帳/登場人物のスケッチ/ストーリーのルールーーズバリと/時間が作れないならやめておけ/未完の脚本は脚本ではない/プランニング/誰のために書くのか?/差し当たり、コンピューターのことは忘れる/自分が見たい映画を書く/脚本を売る/で、次にどうする?/誰に脚本を送るべきか/シノプシスを書く/売り込み方

プロフィール

[著]
デヴィン・ワトソン(DEVIN WATSON)
1978年ジョージア州ブランズウィック生まれ。子供の頃いろんな病気にかかったせいで、数えきれないほどのホラー映画を見て育ち、豊かな想像力と書くことへの愛を育んでいった。ハイスクールとカレッジではコンピューター・サイエンスを学んだものの、その傍ら脚本術の習得に励み、ついに2007年の『カースト』で脚本を担当するに至った。また、プロ、アマを問わぬ脚本家の最大級のオンライン・コミュニティ、スクリーンライターズ・コミュニティの共同設立者でもある。さらに、インディペンデント・フィルムメイカーが芸術性を損なうことなく最高のクオリティで制作できるよう援助する、ムーヴィー・パートナーズも運営している。

[訳]
廣木明子(ひろき・あきこ)
翻訳者。立命館大学文学部英米文学専攻卒。立教大学文学部フランス文学博士前期課程修了。訳書に『ジミ・ヘンドリックスの創作ノート』(ブルース・インター・アクションズ)、『デイヴィッド・リンチ』[共訳]、『テリー・ギリアム』、『ハリウッド脚本術2』(いずれもフィルムアート社)など。