写真のキーコンセプト

現代写真の読み方

デイヴィッド・ベイト=著
犬伏雅一=訳
発売日
2010年11月26日
本体価格
2,400+税
判型
A5判・並製
頁数
328頁
ISBN
978-4-8459-1057-1
Cコード
C0072
備考
品切

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見ること、問うこと、話し合うこと。
写真と向き合うための、新しいスタイルの教科書!

乱立する現代写真論をより深く考え、さらに前進させるために。「写真」の本当の第一歩を踏み出したい人に向けた必読の一冊。
本書は、「写真とは何か?」という原点に立ち返り、写真の多義性と曖昧さへ積極的に立ち向かうための、新しい「写真の教科書」です。
歴史/写真の理論/ドキュメンタリーと物語/人物写真/風景写真/静物写真/アートと写真/写真のグローバル化。以上の8つの項目を写真を理解するための重要な概念(=キーコンセプト)として、秩序立った整理・分析をしていきます。
■各章ごとに、コンパクトに要点をあげた「章のまとめ」付き
■「レポート・論文、授業でのディスカッションに役立つ質問集」付き

これまで写真が保持してきた役割(匿名的、事実的、反復的、事後的)の客観的理解と再定義。理論研究と制作現場での実践が平行に記述された、現代において有用な内容構成。また、ソンタグやバルトの思想を解りやすく読み直し、記号論や精神分析など周縁領域への軽やかなアプローチなど。 これらをバランスの取れた座標/チャートとして提供することで、読者は必須とされる知識を確保しつつ、その価値体系を浮かび上がらせ、さらには今後の新たな局面まで回路を開いていくことができるでしょう。

目次

イントロダクション
ジャンル/さまざまなアプローチ
1章 歴史 History
定義/歴史的な諸問題/写真史/言説としての写真/歴史的対象としての写真/歴史的事例/写真的な知識/複数の意味
2章 写真理論 Photography Theory
写真理論小史/表象の理論/写真の「言語」/視点/外示─視覚的な意味するもの/共示─文化的な意味されるもの/リアリズムと現実/ポスト構造主義
3章 ドキュメンタリーと物語 Documentary and Story-telling
編集によるコントロール/〈作家〉としての写真家/大衆的視覚/残りの半分の人々はどのように生活しているか/ルポルタージュ/急転回としての「決定的瞬間」/現実の演出/目撃/現実と再現/見る欲望/カラーのドキュメンタリー/街の劇的場面
4章 ポートレイトを見る Looking at Portraits
アイデンティティ/産業となったポートレート/大衆の肖像/官僚的ポートレート/ポートレートの要素/ポートレートの「読解」/認識/同一化/ナルシシズムと凝視/投射/感情を見せない表情
5章 風景の中で In the Landscape
視覚と知識/風景の歴史/美と崇高/写真的視覚/探検/描写の美学/平静/パノラマ/結論
6章 静物のレトリック The Rhetoric of Still Life
広告/広告に対する批判/広告代理店/社会的幻想/プロダクト・ショット/パック・ショットのテクニック/描写の技術/静物画のサブジャンル/誇張法/新即物主義/イメージの修辞学/対象イメージ
7章 アート・フォトグラフィー Art Photography
アートとは何か?/アートとアーティストの自律性/写真とさまざまなメディアの関係/絵画と写真/写真におけるパラダイムの変遷/二一世紀の現代アートにおける写真/絵画的パラダイム/コンセプチュアル・アート/ストリート・フォトグラフィー/ファインアート・フォトグラフィー/ポストモダニズム/グローバル産業としてのアート
8章 グローバルな写真 Global Photography
写真のグローバリセーション/写真の流通/ワールド・フォトグラフィー/普遍主義に対する批判/写真のローカルな読解の意義/WWW/デジタル写真/イメージの普及
論文と授業でのディスカッションのための質問
さらに考えるための読書ガイド
訳者あとがき
参考文献
図版クレジット

プロフィール

[著]
デイヴィッド・ベイト(David Bate)
写真家、写真理論。英国、ノッティンガムシャー生まれ。セントラル・ロンドン・ポリテクニック(現ウェストミンスター大学)の写真科で、映画と写真を学び、リーズ大学で芸術史を専攻し、グリゼルダ・ポロッックの下博士号を取得。欧米の各地のギャラリー等で写真作品、ビデオを展示し、作家として活躍する一方、教育にも携わり、現在はウェストミンスター大学で写真研究の修士課程の主任を努める。なお、作家、教育者として、英国のコンセプチュアル・アーティスト、キース・アーナット、イヴ・ロマックス、カレン・クノールやドキュメンタリー写真家マーティン・パー、アンナ・フォックス他の多くの写真家やアーティストと共同活動を展開し、写真、アート、関連する文化的問題についての広範な執筆活動を行っている。主著は『Photography and Surrealism: Sexuality, Colonialism and Social Dissent』(2004)。『Photographies』誌の共同編集者でもある。ロンドン在住。

[訳]
犬伏雅一
1950年大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部(芸術計画学科)教授。映像論(写真理論、写真史)、視覚論、美学。共著に『新世代写真術』(フィルムアート社)、共訳書に『実験映像の歴史:映画とビデオ』(晃洋書房)、『イメージ・リテラシー工場』(フィルムアート社)、『ワールド・シネマ・ヒストリー』(晃洋書房)。