
ル=グウィンの小説教室
アーシュラ・K・ル=グウィン=著|大久保ゆう=訳
四六判|256頁|本体:2,000+税|ISBN 978-4-8459-2033-4
技巧(クラフト)が芸術(アート)を可能にする
『ゲド戦記』『闇の左手』のアーシュラ・K・ル=グウィンによる小説家のための手引き書
人々は小説を書く。書き方は知らない。
心はあらすじや教訓を求め、目は文体を捉えない。
この紹介文で使われている文体が、本書の第五章の練習問題を意識したものだと気がつく人には、小説の姿が見えている。
――円城 塔(作家)
「芸術には運もある。それから資質もある。それは自分の手では得られない。ただし技術なら学べるし、身につけられる。学べば自分の資質に合う技術が身につけられる。」(本書「はじめに」より)
ハイファンタジーの傑作『ゲド戦記』や両性具有の世界を描いたフェミニズムSF『闇の左手』などの名作を生み出し、文学史にその名を刻んだアーシュラ・K・ル=グウィン。
本書は、ル=グウィンが「自作の執筆に励んでいる人たち」に向けて、小説執筆の技巧(クラフト)を簡潔にまとめた手引書である。
音、リズム、文法、構文、品詞(特に動詞、副詞、形容詞)、視点など、ライティングの基本的なトピックを全10 章で分かりやすく解説。
各章には、ジェイン・オースティンやヴァージニア・ウルフ、マーク・トウェイン、チャールズ・ディケンズなど偉大な作家が生み出した名文が〈実例〉として収録され、ル=グウィン自身がウィットに富んだ〈解説〉を加えている。また章末に収録されている〈練習問題〉を活用することで、物語のコツと様式について、自らの認識をはっきりと強固にすることが可能になる。
小説の執筆は、技芸(アート)であり、技巧(クラフト)でもあり、物作りでもある。
執筆の楽しみを満喫することができる一冊。
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①文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室
②サスペンス小説の書き方 パトリシア・ハイスミスの創作講座
③読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」
https://filmart.thebase.in/items/59662006
京都新聞 7月21日号
毎日新聞 9月4日号 評者:若島正
ENGLISH JOURNAL ONLINE
「文学の良き担い手は何を学んだ?クリエイティヴ・ライティング教育の三つの役割」
産経新聞 9月26日
https://www.sankei.com/article/20210926-FVRDN75MJFMEXKNI67IXUE5HXM/
日刊ゲンダイ 11月6日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/297006
はじめに
第1章 自分の文のひびき
第2章 句読点と文法
第3章 文の長さと複雑な構文
第4章 繰り返し表現
第5章 形容詞と副詞
第6章 動詞――人称と時制
第7章 視点(POV)と語りの声(ヴォイス)
第8章 視点人物の切り換え
第9章 直接言わない語り――事物が物語る
第10章 詰め込みと跳躍
付録:合評会
用語集
【著者】
アーシュラ・K・ル=グウィン(Ursula Kroeber Le Guin)
1929年カリフォルニア州バークレーに生まれる。1962年に作家としてデビュー。斬新なSF/ファンタジー作品を次々に発表し、ほどなく米国SF界の女王ともいうべき輝かしい存在になる。SF/ファンタジー以外の小説や、児童書、詩、評論などの分野でも活躍。主な作品に、『闇の左手』、『所有せざる人々』、「ゲド戦記」シリーズ、「空飛び猫」シリーズ、「西のはての年代記」三部作など。ネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞を何度も受賞しているほか、ボストングローブ=ホーンブック賞、全米図書賞、マーガレット・A・エドワーズ賞など数々の賞に輝く
【訳者】
大久保ゆう(おおくぼ・ゆう)
フリーランス翻訳家。幻想・怪奇・探偵ジャンルのオーディオブックや書籍のほか、絵画技法書や映画・アートなど文化史関連書の翻訳も手がける。既刊訳書に、『物語を書く人のための推敲入門』(フィルムアート社)、画集『コンプリート ワークス オブ ドゥルー・ストゥルーザン』『アート オブ ロバート・マッギニス』、テリル・ウィットラッチ『幻獣と動物を描く』『幻獣デザインのための動物解剖学』『幻獣キャラクターを創る』(マール社)、『H・P・ラヴクラフト 朗読集1〜3』(パンローリング社)などがある。
【装丁】
折田烈(餅屋デザイン)
【装画】
モノ・ホーミー