一流シェフ、ハラルの屋台オーナー、牡蠣の殻剥き職人、ダック農家、肉屋、セレブ専属ケータリング、卸商、企業雇われシェフ、ウエイトレス、パティシエ、寿司職人から刑務所の料理担当者まで……。
NYと食をつくる、働き者たちが人生を語る。
「ニューヨークの街には、その一口で多幸感いっぱいになれる味が詰まっている。それもこの10年くらいの間に『ニューヨークの味』はどんどんレベルをあげ、今もカフェ、レストランからファーマーズ・マーケットまで、あらゆる場所でアクセスできる食べ物の幅が広がっている。けれど、その幸せを与えてくれる一口の裏で、どれだけの努力がなされているのか、どれだけのドラマが起きているのか、知るチャンスはなかなかない。『NYの「食べる」を支える人々』は、そういったドラマの一端を見せてくれる本だ。これを読めば幸せの一口へのありがたみが一層増すはずだ。」
佐久間裕美子(ライター、『ヒップな生活革命』(朝日出版社)著者)
「NYの食の世界を独自の広い視点で捉えている。この世界で日々生き生きと暮らし働く人々の声と、ストーリーに心引かれずにいられない」
エリック・リペール(「ル・ベルナルダン」エグゼクティブシェフ)
「ここにあるのは、情熱、貪欲、辛苦、強靭な精神の物語」
マーカス・サミュエルソン(シェフ、ジェームズ・ビアード受賞)
「アイナ・イエロフの本は、知られることのなかったニューヨークの働き者シェフたちの半生を浮かび上がらせている」
ダニエル・ブールー(DINEX Group オーナーシェフ)
「魅力あふれるコック、シェフ、職人たちが自らの人生を語るすばらしい一冊」
ジョナサン・ワックスマン(「バルブート」「ジャムズ」オーナーシェフ、『Italian, My Way』著者)
「心を奪われ、動かされることまちがいなし」
アラン・リッチマン(ジェームズ・ビアード賞16回受賞)
私がこの本を書くきっかけになったのは、いかにも春を思わせる3月初旬のある爽やかな午後の、偶然の出会いでした。オープンしたてのベジタリアンレストランでランチをした帰り道、アッパーウェストサイドのアムステルダム通りにあるお肉屋さんの前をとおり過ぎました。
(中略)
私はお店に入り、細切れ肉を2ポンド注文しました。別の従業員が裏で切り立てを作っている間、私は何気なく、「今の時代に肉屋としてやっていくこと」について店主に質問してみました。すると、店主の当意即妙の切り返しがあまりに面白く、洞察力鋭く、仕事に対する熱い思いがこちらにまで伝染したため、こう思ったのです。
この街には、彼のような人があとどのくらいいるのだろう。それぞれの物語を持つ人々が―。
そしたら、大勢いたのです。
数年にわたり、ニューヨーク市の5つのボロー(行政区)のすべてをシラミ潰しに調べた結果、百科事典のように何巻もの本が書けるほどたくさんいることがわかりました。が、1冊しか書けませんので、同じだけたいへんな抽出作業を行わなければなりませんでした。 最初、ニューヨーカーの食に多大な影響を与えた人々を選び出しましたが、結局そのリストは捨て、ふりだしに戻しました。なぜかというと、えてして、今まで名前を見たことも聞いたこともない人から、一番ワクワクする話を聞ける場合が多いからです。
(中略)
この本は、個人がそれぞれ自分の言葉で自分語りをするオーラルヒストリーです。料理長もいれば、ラインコック、レストランオーナー、ナイトマネージャー、卸商、チーズのプロ、パン職人、露天商、ケータリング業者、組織の食料担当などなど。
これらの物語は、名前を覚える間もなくお店が消え、夢が破れては新しく芽生え、運命がほんとうに急旋回しうるこの食の街で、競争に追われ、先が予測できず、苛酷なことも多いけれど、総じてほぼ満足しているという彼らのその人生にスポットライトを当てています。
(本書「まえがき」より)
メディア掲載
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「NewsSphere」
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「産経新聞」(2017年11月12日号) 評者:瀬戸内みなみ(ノンフィクションライター)
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「サンデー毎日」(1月14日合併号)評者:木村衣有子
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「THE NIKKEI MAGAZINE STYLE Ai」評者:山崎まどか
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「cafeglobe」
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「南日本新聞」(12月17日号)
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「Pen Online」
目次
まえがき
PART1 ゼロからのスタート
PART2 のれんを受け継ぐ
PART3 食らいつく人々
PART4 メイキング・オブ・シェフ
PART5 パーティの流儀
PART6 お店に立つ
PART7 ペアリング
PART8 大人数の食事
PART9 カウンターカルチャー
著者あとがき
訳者あとがき
ブリゲード・ドゥ・キュイジーヌ
用語集
プロフィール
[著]
アイナ・イエロフ(Ina Yalof)
ニューヨーク在住。調査報道ジャーナリスト、ノンフィクション作家。30年以上にわたり、医療、科学、宗教、幸福など多岐にわたるテーマについて本や記事を執筆。主な著書に、オーラルヒストリー(聞き書き)として高く評価されている『Life and Death : The Stor y of a Hospital(生と死ーある病院の物語)』、『What I t Means to Be Jewish(ユダヤ人であることの意味)』、『How I Write(私の書き方)』(ジャネット・イヴァノビッチとの共著)、『What Happy Women Know(幸せな女性が知っていること)』などがある。雑誌は『GQ』『Harper’s Bazaar 』『New York』などに寄稿。本作は単著・共著含め14 冊目の著書。米ダートマス大学の生涯学習プログラムILEADでライティングを教える。
[訳]
石原薫(いしはら・かおる)
翻訳家。主な訳書に『シビックエコノミー 世界に学ぶ小さな経済のつくり方』、『We Own The City 世界に学ぶ「ボトムアップ型の都市」のつくり方』、『HELLO WORLD「デザイン」が私たちに必要な理由』(以上フィルムアート社)、『デザイン思考の教科書』(日経BP 社)、『ピクサー流創造するちから』、『よい製品とは何か』(以上ダイヤモンド社)、『未来をつくる資本主義』(英治出版)、『SustainableDesign』(ビー・エヌ・エヌ新社)などがある。