世界的なキュレーター、H. U. オブリストが迫る、
現代アートのシステムがつくられるまでの歴史。
キュレーションという概念の黎明期に活躍したキュレーター11名に、ハンス・ウルリッヒ・オブリストが行なったインタビューを収録。1960年代から1970年代の初期インディペンデント・キュレーティングから、実験的なアートプログラムの台頭、ドクメンタや国際展の発展を通じてヨーロッパからアメリカにキュレーションが広がっていった様を、オブリストによる鋭く深いインタビューは鮮やかに描き出しています。
キュレーターは職業としてどのように成立してきたか、展示の方法や展覧会の作り方はどのように進化してきたか、今後キュレーションはどのような方向へ向かうのか。アートとキュレーションの関係を考える上で決定的な1冊です。
■ 数多いオブリスト関連書の中で、初の「キュレーション」に関する内容
■ 豊富な注釈を付加し、各キュレーターの重要な仕事・経歴を詳述
ここ10年ほどで、展覧会の歴史というものが見直されるようになったとき、大きく見落とされてきたのは、キュレーターやアーティスト、そして関連機関同士の横のつながりです。オブリストのインタビューが興味深いのは、まさしくこの点を明らかにしており、個々人の輝かしい功績の描写にとどまらないところです。
──本書序文(クリストフ・シェリックス)よりハンス・ウルリッヒ・オブリストは、この先に広がるアートの展望を照らす案内人でもあるのだ。
──本書後記(ダニエル・バーンバウム)より
目次
序文 Christophe Cherix クリストフ・シェリックス
ハンス・ウルリッヒ・オブリストによるインタビュー
Walter Hopps ウォルター・ホップス
Pontus Hultén ポントゥス・フルテン
Johannes Cladders ヨハネス・クラダース
Jean Leering ジャン・レーリング
Harald Szeemann ハラルド・ゼーマン
Franz Meyer フランツ・マイヤー
Seth Siegelaub セス・ジーゲローブ
Werner Hofmann ヴェルナー・ホフマン
Walter Zanini ヴァウテル・ザニーニ
Anne d’Harnoncourt アン・ダノンコート
Lucy Lippard ルーシー・リパード
後記 来るべきものの考古学
Daniel Birnbaum ダニエル・バーンバウム
訳者あとがき
プロフィール
[著]
ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー共同ディレクター。前職はパリ市立現代美術館のキュレーター。2012年に関わったプロジェクトとしては、サーペンタイン・ギャラリーでの共同キュレーションによるジョナス・メカス、トーマス・シュッテ「Faces and Figures」、オノ・ヨーコ「To the Light」、ヘルツォーク&ド・ムーロンによるアイ・ウェイウェイのパヴィリオン、アルルのルマ財団での「To the Moon Via the Beach」、サンパウロのデ・ヴィドロ邸でのリナ・ボ・バルディ、e-fluxとDAADで共催したベルリンにおける「A Call For Unrealized Projects」がある。オブリストの最近の出版物としては本書のほかに、レム・コールハースと手がけた『プロジェクト・ジャパン:メタボリズムは語る』(平凡社)、『アイ・ウェイウェイは語る』(みすず書房)をはじめとするカンバセーション・シリーズがある。
[訳]
村上華子
東京大学文学部卒業後、東京芸術大学大学院映像研究科修了。パリ第8大学造形学部博士課程在学中。現在ポーラ財団による若手芸術家在外研修助成を受けてフランスを拠点に活動している。共訳書に映画監督M.フィギスによる『デジタル・フィルムメイキング』、訳書に『アートスクールで学ぶ101のアイデア』(ともにフィルムアート社)がある。