
遊びと学びのひみつ基地CANVASの実践
石戸奈々子=著
四六判|272頁|定価 1,300円+税|ISBN 978-4-8459-1315-2
「かんじる→かんがえる→つくる→つたえる」のスパイラルを起こす=夢をかなえる力がつく!
イマジン&リアライズ。
創造力を持ち続け、未来に活躍できる子とは?
“デジタルネイティブ”たちに本当に必要な学び方とは?
いま、進化する世界の教育のなかで、日本でも、子どもをとりまく「学びの環境」が変わってきています。1人1台のタブレットが支給される学校の授業、カーンアカデミーの広がり、産学官の学びの連携プロジェクト……。
本書では、フラットでオープンなMITメディアラボの環境を手本に、世界中をまわり「チルドレンズ・ミュージアム」を見てきた著者が、子どもの創造力と表現力のためのNPO法人「CANVAS」を立ち上げてから11年、どのように、子どもたちの興味・主体性を引き出せる場作りに奔走してきたかを紹介しています。
アーティスト、学校の先生、美術館・博物館関係者、大学関係者、企業、行政、たくさんの方々との協働の中で生まれた豊富すぎる具体例をもとに、これからの子どもたちにとって必要な「新しい学び方」とその視点を提案します。
お母さんお父さんにもできる、子どもの好奇心や自発性を育てるための環境づくり、場づくりがわかる一冊です。
『子どもの創造力スイッチ!』特設ページはこちら
まえがき
PART.1 子どもの創造性を育むために
1 理想的な学び場、MITメディアラボとの出会い
オープンでデザイン性の高い空間/「ひらめいたらすぐにつくれる」環境/多様で深い専門性の共同/フラットな関係で学び合う
2 新しいアイデアを形にできる環境とは?
「デモか死か」……非常識に挑戦し続ける/テクノロジー、アート、子ども/デジタルキッズのための環境をつくりたい
3 進化する世界の教育
学びの在り方が変わる/「反転授業」と「カーンアカデミー」の広がり
4 「21世紀を生き抜く」力
国際化・情報化社会の中で/OECD・EUの定義/実践力・思考力・基礎力……日本の「生きる力」
5 子どもにも大人にも大事な10の視点
「かんじる→かんがえる→つくる→つたえる」のスパイラル/(1)学び方を学ぶ/(2)楽しく学ぶ/(3)本物と触れる/(4)協働する/(5)教え合い学び合う/(6)創造する/(7)発表する/(8)プロセスを楽しむ/(9)答えはない/(10)社会とつながる
6 子どもの創造力と表現力のNPO「CANVAS」
場所、技術、ノウハウ、道具を提供する「下支え役」として/地球規模での表現力、コミュニケーションを
7 2020年の学校
情報化時代における寺子屋の実現を/デジタルキッズのある1日/詰め込み・暗記型から、思考・創造・表現力へ
8 デジタルネイティブの学び方
板書は写メ、情報共有はevernoteで/驚異的なプレゼンテーションを可能にしたネットの力/プログラミング、アニメ制作からベンチャー企業立ち上げまで/ネットで勉強できる通信制の高校
9 デジタルでどんな授業ができるのか
東京都港区青山小学校の場合/算数の授業に見せて、情報リテラシーを学ばせる/動き始めた教育情報化/アナログとデジタル、それぞれを使いこなす
PART.2 新しい学びの場を考える・つくる
1 世界のチルドレンズ・ミュージアム
遊びと学びの秘密基地
◉世界のチルドレンズ・ミュージアム
ニューヨーク チルドレンズ・ミュージアム・オブ・ジ・アーツ/サンフランシスコ チルドレンズ・クリエイティビティ・ミュージアム/ミュンヘン チルドレンズ・ミュージアム/ウィーン ZOOM チルドレンズ・ミュージアム/アムステルダム 熱帯博物館(KIT)付属子ども博物館/メキシコ パパローテ
2 創造的な学びに必要な10個の「つくる」
(1)場をつくる/(2)プログラムをつくる/(3)教材をつくる/(4)ツールをつくる/(5)人材をつくる/(6)空間をつくる/(7)拠点をつくる/(8)まちをつくる/(9)環境をつくる/(10)未来をつくる
3 学校での学び、家庭での学び、社会での学び
ワークショップとは何か/主体的・協調的・創造的な学び/学校教育参入へのハードル
4 親がファシリテーターになる
子どもの興味と主体性を引き出す/目標を見つける手伝いをする/「考えのプロセス」の振り返りをする質問を/同じ目線の高さに合わせる/「答え」ではなく「きっかけ」を提供する/子どものやりたいことをまず受け入れる/効果的な問いかけをする/創作意欲がわきやすい場や雰囲気をつくる/時間の感覚を意識する/自分も楽しむ
◉新しい学びの場 実践例
大学を子どもに開放する/企業が学びの場をつくる/表現資産を素材にする/プロのパフォーマーが一緒につくる/子どもが街をジャックする/図工の時間を拡充する/地域が育む/放課後をつくる時間にする/ワークショップをパッケージ化する/技術と文化を組み合わせる/地域で地域を学ぶ
PART.3 子どもとつくる未来 〜CANVAS11年間の試みの中で〜
1 世界最大の創作イベント、ワークショップコレクション
「みんなでつくる」というテーマ/創造性、時代性、独自性の観点
◉ワークショップ
子どもだけのミュージアム ─素材とツールがあればつくれる/おとコトひろば ─ネットの広場で協働する/コマ撮りアニメ ─デジタルで世界とつながる/美術館が飛び出す ─国宝『雲龍図』を自分でアレンジする/プログラミングでつくって学ぶ ─Learn to code to Learn/DJキッズドリーム ─編集力をきたえる/tap*rap しりとり ─デジタルえほんを自分でつくる
2 未来を想い描く
日本中の子どもたちをクリエイティブに/子どもならではの力/新未来学
おわりに
石戸奈々子
NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役。東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、子ども向け創造・表現活動を推進する NPO「CANVAS」を設立。これまでに開催したワークショップは 2000回、約30万人の子どもたちが参加。実行委員長をつとめる子ども創作活動の博覧会「ワークショップコレクション」は、2日間で10万人を動員する。その後、株式会社デジタルえほんを立ち上げ、えほんアプリを制作中。総務省情報通信審議会委員、慶應義塾大学特任准教授などを兼務。著書に「デジタル教科書革命」、「デジタルサイネージ戦略」など。デジタルえほん作家&一児のママとしても奮闘中。