序章 数の不確かさ【後編】 【前編】はこちら 本書ではまず、日本文学を読むうえで数の値打ちが認知され、これまでにない理論化の圧力にさらされた瞬間瞬間の系譜を追うことからはじまる。第一章「事実と差異」ではこうした瞬間を、量
第1章 ケータイを失くす/菅谷規矩雄の『詩的リズム』【前編】 ※【後編】はこちら 2019年の夏、二回続けて紛失したことをきっかけに携帯電話を解約し、外出先でも「ケータイ不携帯」で暮らすようになってすでに三年余り。やっ
第1章 ケータイを失くす/菅谷規矩雄の『詩的リズム』【後編】 【前編】はこちら なぜ「リズム」はSNSの問題になるのか? 『詩的リズム』において菅谷は、「等時拍」という原理自体が存在しなかったかもしれないはるか古代にお
序 ヴェネト通りにあるホテル・フローラに滞在して、何ヵ月になるだろう。最上階のスイートは小さいながら私だけのもので、二つの部屋の大きなフランス窓からは、こっそりと誰にも気づかれることなく世界をのぞくことができる。眼下には
問45 ウェブやアプリ掲載の場合、気をつけたほうがいいことはありますか? ウェブやアプリのマンガ媒体がこの数年いちじるしく増えてきましたね。マンガ家さんにとっては発表する場所が増え、喜ばしいことだとは思いますが
現代を代表する巨匠のひとりとなったクエンティン・タランティーノ。これまでの軌跡を網羅的に紹介した『クエンティン・タランティーノ 映画に魂を売った男』が6月26日に刊行されます。幼年期から青年期の映画への熱狂から、『パルプ
イントロダクション 「秘訣……わからないな。まず何かすごく好きなものを見つけて、そして……それを死ぬまでやるといいんじゃないかな」(1)──マックス・フィッシャー『天才マックスの世界』(1998) ウェス・アンダーソンが
①オフィーリア『ハムレット』第4幕第7場から、恋人のハムレットに父親を殺されたことで正気を失ってしまったオフィーリアを描いたものだ。モデルは、のちにロセッティの妻となるリジー・シダルである。炎のように赤い髪と青白い肌の彼
第4章 聞こえない音を録る 本章では人間には物理的、周波数的に聴くことの難しい音(振動)を録る方法やそうした音に焦点を当てた作品について紹介したい。本章で取り上げる「聞こえない音」とは、固体の振動、水中の音、超高周波(超
はじめに 快晴の冬の朝。まばゆい太陽の光と温かさを浴びながら生きていると実感する、いや生かされていることに感謝する。何気ない一瞬も、さまざまな条件がないと成立しない。遡れば宇宙が生成し地球ができ、四十六億年の時間の中で生
はじめに 映画の魅力に取り憑かれ、研究者となったが、映画に対する関心の中心にはつねにジェンダーやセクシュアリティの問題があった。どんな映画作家の、どんな映画作品を見ていても、それが気にならなかったことはない。そうして映画
なぜふるまいなのか 20世紀という大量生産の時代は、製品の歩留りを減らすために、設計条件を標準化し、製品の目標にとって邪魔なものは徹底して排除する論理をもっていた。しかし製品にとっては邪魔なものの中にも、人間が世界を感じ