ピックアップ

気になる映画本 2024年12月刊行

フィルムアート社の中の人が2024年12月に刊行された映画関連書籍の中から気になる映画本3冊をピックアップして紹介します(毎月上旬更新予定)。
フィルムアート社の映画本はこちら

◎バックナンバー
2024年|11月10月9月8月7月|6月|5月4月


クリント・イーストウッド
気高き〈アメリカ〉の放浪者
イアン・ネイサン=著
フィルムアート社

俺は自分の生きたいように生きているだけだ
――ブロンコ・ビリー/クリント・イーストウッド

『ローハイド』から『クライ・マッチョ』まで、時に俳優として、時に監督として、あるいはその双方を担い、半世紀を超えて〈アメリカ〉という荒野を歩み続けた巨匠を知る。

アカデミー賞を2度受賞し40本もの映画を監督してきた、映画界で最も尊敬される存在のひとり、クリント・イーストウッド。2024年に94歳の誕生日を迎えるも、ハリウッドの常識など意に介さず、三四半世紀に近しい時間を、ほとんど休むことなくこの業界で働きつづけている。

本書では監督としての〈イーストウッド〉のみならず、初期の代表作『ローハイド』、セルジオ・レオーネ「ドル箱三部作」(『荒野の用心棒』、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』)、師と仰ぐドン・シーゲルとタッグを組んだ『ダーティハリー』『アルカトラズからの脱出』以来の、自身の監督作でも継続している俳優〈クリント〉のあり方についてもジグザグに見つめていく。

初監督長編『恐怖のメロディ』、アカデミー賞(作品・監督)を受賞した『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』、硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』、最新作『Juror #2』(原題)に至るまでの全キャリア――すなわち俳優や監督として、〈アメリカ〉の象徴になるまでの人生の軌跡を、豊富なスチール写真やオフショットとともにふりかえる。
出版社HPより)


そこから先は別世界
妄想映画日記2021 – 2023
樋口泰人=著
boid

母を失いつつあり、わたし自身も病に伏せていた真夜中、この日記に辿り着いた。
そこには盟友が死に親友が倒れ、自らもまた病を得た著者が、満身創痍で奔走する日々が綴られていた。
あらゆる失われの最中だからこそ光ってみせるものがあった。
それをただ見つめる著者の言葉はそのままわたしの希望になって、生きるためのちからをくれた。
川上未映子(作家)

爆音映画祭プロデューサー、映画の製作・配給・宣伝、レコードやライヴの企画・制作、書籍の出版など、中心を欠いた活動を続ける「boid」の社長でもある映画批評家・樋口泰人。
コロナ禍での経済的打撃や友人たちの死、そして自身の病といった苦境の中で聞こえない声に耳を澄まし見えない何かに目を凝らしいるはずのない何かとともに新たな「生」を生み出し続けた3年の記録。
出版社HPより)


飢餓俳優 菅原文太伝
松田美智子=著
新潮社

菅原文太の人生には常に暗い影がつきまとう。幼少期に母親が出奔して家庭崩壊。大学は除籍。俳優業は脇役ばかり。じりじりするような焦りのなか、やっと掴んだ『仁義なき戦い』で不動の地位を築くも、最後は出演を拒否してしまう。誰も信用せず、盟友と決別し、約束された成功を拒んだ男が生涯をかけて追い求めたものは何だったのか。名優の内面に迫る傑作評伝。『仁義なき戦い 菅原文太伝』改題。
出版社HPより)


その他の気になる映画本

淀川長治 「映画の伝道師」と日本のモダン』北村洋=著(名古屋大学出版会)
映画で読み解く イギリスの名門校 エリートを育てる思想・教育・マナー』秦由美子=著(光文社)
ヒストリー・オブ・マッドマックス 映画の超暴力』メルヴィン・ゼッド=著(K&Bパブリッシャーズ)
マヤ・デレン 眼差しは何をみていたのか』石井達朗=著(水声社)
されど魔窟の映画館 浅草最後の映写』荒島晃宏=著(筑摩書房)
村上シネマ 村上春樹と映画アダプテーション』藤城孝輔=著(森話社)
風の谷のナウシカ 宮﨑駿イメージボード全集1』宮崎駿・ スタジオジブリ(岩波書店)
天空の城ラピュタ 宮﨑駿イメージボード全集2』宮崎駿  スタジオジブリ(岩波書店)
映画で味わう中世ヨーロッパ 歴史と伝説が織りなす魅惑の世界』図師宣忠=著(ミネルヴァ書房)
1秒24コマのぼくの人生』りんたろう=著(河出書房新社)