メディア・アート原論

あなたは、いったい何を探し求めているのか?

久保田晃弘/畠中実=編
発売日
2018年3月24日
本体価格
1,700+税
判型
四六判・並製
頁数
208頁
ISBN
978-4-8459-1718-1
Cコード
C0095

その他のネット書店から購入

メディア・アートは、なぜそう呼ばれているのか?
ポストインターネット状況を経た、21世紀の芸術精神を探る!

次世代クリエーターのために、インテリジェントでコアな情報をコンパクトに提供する「Next Creator Book」がデザインを一新してリブート!

現在、メディア・アートという名称は、単にメディア・テクノロジーを使用した美術作品の総称というだけにとどまらず、技術を応用したデモンストレーションなども含めて幅広く使用されています。
そしてメディア・アートは、「ポスト・インターネット・アート」やデジタル・ファブリケーション、デザイン、現代美術などさまざまな領域と接続しており、多くの人の関心を集めています。また、ライゾマティクスをはじめとしたテクノロジー×エンターテイメントの活動にも注目が集まっています。

しかし、メディア・アートを明確に定義することは難しく、メディア・アートをめぐる言説に関しても複数が錯綜している状態です。
本書は、最先端の工学に明るく、創作者としても活躍中の久保田晃弘さんと日本のメディア・アートのメッカ、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で20年間メディア・アートの現場に携わってきた畠中実さんという第一人者の二人が、メディア・アートに関する論点をわかりやすく整理・解説した入門書です。
メディア・アートの歴史や重要なキーワードを学ぶにはうってつけの一冊となっています。
芸術表現の可能性を切り開く、メディア・アートの世界へようこそ。

現在、インターネットの全世界的な普及と一般化などのメディア技術の浸透度の高まりを背景にした、「ポスト・インターネット・アート」や、3Dプリンターやレーザーカッターなどの普及に伴うデジタル・ファブリケーションの動向などは、メディア・アートにとどまらず、デザインや広く現代美術の領域へ、さらにはゲームや舞台演出などのエンターテインメント分野へも展開されるものとなっている。また、メディア・アートの先駆者たちの試みは、現在の、ライゾマティクスをはじめとした、テクノロジーを駆使したエンターテインメントの演出などにも接続される。さらに現在では、バイオ・テクノロジー、宇宙開発技術、人工知能、アンドロイド技術など、これまで芸術の範疇になかったさまざまなテクノロジーが例外的な芸術表現として試行され、より広範囲な表現へと広がり、芸術表現の可能性を切り開こうとしている。
(本書「Introduction メディア・アートとはどのような芸術か ―アート、テクノロジー、サイエンスの諸相」より抜粋)

メディア掲載


目次

Introduction メディア・アートとはどのような芸術か ―アート、テクノロジー、サイエンスの諸相 畠中実

Discussion 1 「ニューメディア」アートの時代(2008年まで) 久保田晃弘+畠中実

メディア・アートという言葉
はじめにデータありき
メディア・アートの時代精神
メディア論の役割

作品の優劣を超えて
なぜ「原論」なのか
ネット・アートの重要性
最先端という保守
もうヒーローは要らない

Discussion 2 ポスト「インターネット」アートへ(2008-2018年) 久保田晃弘+畠中実

ポストインターネット状況
2007年に何が起こったのか
メディア論のアップデート
メディアのテトラッド
知能というメディア

メディアとオブジェクト
展開された場における支持体
鑑賞者中心主義
ポストインターネットと教育

Discussion 3 ニュー「メディア・アート」(2018年から) 久保田晃弘+畠中実

リセットされたメディア・アート
歴史のなかのメディア・アート
アートの再定義
社会の受け止め方

支持体としての芸術
芸術観のアップデート
ソフトウェアと人間
コードのための芸術
類推の芸術

バイオアート 増田展大
メディアの拡張と自然観の変容

短いコードを擁護する In Defence of the Short Code 久保田晃弘

keywords
ハイブリッド・アート 畠中実
インタラクティヴ・アート 畠中実
ヴァーチュアル・リアリティ 畠中実
インディペンデント・メディアとしてのメディア・アート 畠中実
ハッキング 久保田晃弘
エンターテインメントとゲーム・アート 久保田晃弘+畠中実
インターフェイス 水野勝仁
イメージ・オブジェクト 水野勝仁
ライブ・コーディング 久保田晃弘

History メディア・アート年表

あとがき

プロフィール

[著]
久保田晃弘(くぼた・あきひろ)
多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授。1960年生まれ。芸術衛星1号機の「ARTSAT1:INVADER」でアルスエレクトロニカ2015ハイブリッドアート部門優秀賞をチーム受賞。「ARTSATプロジェクト」の成果で、第66回芸術選奨の文部科学大臣賞(メディア芸術部門)。近著に『遙かなる他者のためのデザイン―久保田晃弘の思索と実装』(ビー・エヌ・エヌ新社、2017)がある。

畠中実(はたなか・みのる)
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員。1968年生まれ。90年代末より国内外における同時代の電子音響表現を紹介し、その動向を先導。2000年の企画展「サウンド・アート―音というメディア」以降、2012年にはポスト・インターネットの動向を展覧会としてとりあげるなど、現在までさまざまな展覧会を手がけ、作家の個展企画も多数行っている。美術および音楽批評も。