映画は「愛」と「反抗」のシュルレアリスムの精神に導かれて、数多くの映画的実験を重ねるなかで自らの力を再発見してきた。草創期から現代に及ぶ千本近い映画をとりあげて舌鋒するどく語り尽くす名著の改訳・新装版。
目次
はじめに
第一章「真実の生」への入口
わかりきっているが欠くことのできない説明
顕在的内容―潜在的内容
「消えた最後の聖油入れ」
可能性と失効
にもかかわらず
第二章 結晶体の面
テクニックとフォルム
客観的であるべきか?
印象主義から抽象へ
動画と動画的音響の領域で
無限小と濡れたやわらかい世界
第三章 他の場所(マイユール)
ドキュメンタリー―短編映画
旅
エキゾティシズムからポエジーへ
「他の場所」とは、またここのことだ
ルイ・ブイヤード
連続映画と冒険活劇
第四章 不可能
幻想―驚異
ジョルジュ・メリエス
メリエスから表現主義へ
幽霊と夢
怪物と恐怖
驚異は大衆的だ
なぜ、いけないか?
描かれた存在
第五章 愛
映画の女
ジョセフ・フォン・スタンバーグとマレーネ神話
エロティシズム
恋愛映画
第六章 反抗
伝統的道徳と訣別するために
革命-偉大なロシア映画
ポーランド
絶対的反抗の詩人たち
戦後の不安
二人の反抗的笑いの天才
第七章 シュルレアリスムの周辺で
未来派とダダ
ダダからシュルレアリスムへ
シユルレアリストたちと映画
並行して
新しい感受性のほうへ
第八章 ルイス・ブニュエル
アンダルシアの犬
黄金時代
糧なき土地(ロス・ウルデス)
忘れられた人々
昇天峠
メキシコ映画
フランス映画
偉大な平静さ
ビリディアナ
皆殺しの天使
一 革命
二 無神論
三 愛
四 ユーモア、シュルレアリスム
ルイス・ブニュエル、あるいは「一切は絶対的に実現(演出)可能だ」
第九章 映画的スペクタクルの彼方に
映画と私
幻の映画と崇高な映画
シュルレアリスム的批評
シュルレアリスム的実験
明日
[資料]『黄金時代』をめぐるシュルレアリストの宣言