感情増幅類語辞典

アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ=著
新田享子=訳
発売日
2025年2月26日
予価
2,000円+税
判型
A5判・並製
頁数
280頁(仮)
ISBN
978-4-8459-2405-9
Cコード
0090
原題
The Emotion Amplifier Thesaurus: A Writer's Guide to Character Stress and Volatility (Second Edition)

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シリーズ累計35万部突破!(紙+電子)
小説、脚本、マンガ、演技、二次創作、TRPG……
すべての創作者必携の大ヒット類語辞典 第8弾

キャラクターを窮地に追い込み、その感情を揺さぶれば、必ず読者は共感する──
創作者のバイブル『感情類語辞典[増補改訂版]』と併用してさらに感情の表現を豊かにできる、頼もしい副読本が登場!

あらゆるストーリーテリングにおいて、感情は重要な要素のひとつです。しかし、現実味のあるキャラクターを描こうとすればするほど、その表現は難しくなるもの。なぜなら彼らは生身の人間と同じように、しばしば本当の感情を押し殺し、めったに自分をさらけ出そうとはしないからです。かたくななキャラクターを前に、感情の描写に行き詰まり、ストーリーの展開の次の一手に困ったとき、役に立つのが本書『感情増幅類語辞典』です。

本書では、キャラクターの感情そのものではなく、感情を大きく《増幅》させるシチュエーションに注目。つまり、キャラクターがなんらかの窮地に立たされ、それまで抑圧していた感情を大爆発させるきっかけとなるような、具体的な状況や条件を紹介しています。そのような感情増幅器=〈感情ブースター〉を投入すれば、キャラクターは自ずと心のバランスを崩し、物語を大きく前進させてくれるでしょう。普段は理性的なキャラクターが突然わっと泣き出してしまうようなとき、読者は感情移入し、共感してくれるはず。本書があれば、ギャップを抱えたリアルなキャラクターを生み出し、説得力あるストーリーを作ることができます。

しかし、キャラクターの感情が増幅するシチュエーションと言っても様々。「空腹」「寒さ」「二日酔い」など内的な感覚もあれば、「洗脳」「拘束」「催眠状態」といった日常生活では体験できない(できればしたくない)外的な要因による状況、あるいは「認知の衰え」「パニック発作」「感覚過負荷」など、特定の精神的・身体的なコンディションから生まれる状態などが、心のバランスを崩壊させる最後のブロックとなり得ます。

本書では多種多様な52の〈感情ブースター〉を収録し、それが生み出す「外的なシグナル」「内的な感覚」、その影響を隠すための「努力」「引き起こされるネガティブな状況」「対立・葛藤や緊張を高めるシナリオ」まで、細かく具体的に解説しています。

また、各見出し語では「このブースターにより生まれる感情」として、『感情類語辞典[増補改訂版]』に掲載されている感情をリストアップ。2冊をあわせて使えば、描きたい感情に対してどのブースターが一番効果的かを知り、キャラクターの心の揺れ動きをリアルに表現することができるでしょう。

さらに、シリーズを通して好評の前半パートでは、〈感情ブースター〉がいかにキャラクターを自らの内面と向き合わせ成長を促すのか、ストーリーの構造の中でどのような効果を発揮するのか、ブースターを用いる適切なタイミングや、むしろ避けたほうがよいタイミング、心身の健康状態を描くときの留意点などを解説。感情を増幅させるブースターを多用するのではなく、ここぞという効果的なタイミングで使うための助けとなります。

『感情類語辞典』の読者から寄せられた、より具体的に感情(を引き出す状況や条件)を描きたい!という要望に応える形で書かれた本書。まさにクリエイターの声から生まれた、クリエイターのための辞典! ぜひシリーズ既刊とあわせて、創作にお役立てください。

【こんな方におすすめ!】
★キャラクターの感情を表現するのが苦手だ
★読者に共感を得られるキャラクターを描きたい
★一生懸命に伝えようとして、描写がつい説明的になってしまう
★キャラクターに一貫性のある行動を取らせたい
★演劇やTRPGのプレイヤーとして、演技に深みをもたせたい
★推しキャラをひどい目に遭わせて妄想を楽しみたい
★『感情類語辞典』を買ったものののうまく使えなかった
……などなど

【『類語辞典』シリーズについて】
フィルムアート社の『類語辞典』シリーズはSNSを中心に爆発的に広まり、これまでの累計刷部数は35万部(紙+電子)を超える大ヒットを記録しています。人間の喜怒哀楽を項目化し、それぞれの感情に由来する行動や反応を集めた『感情類語辞典[増補改訂版]』。あらゆるキャラクターの明るい面、暗い面から人物描写を深めたい方におすすめの『性格類語辞典 ポジティブ編』 『性格類語辞典 ネガティブ編』。255もの「場面」を通して物語の舞台・世界観をつくりあげるための『場面設定類語辞典』。読者の共感を呼ぶ多面性のある豊かなキャラクターや、リアリティのある状況設定を描くための『トラウマ類語辞典』。キャラクターの人生にとって欠かせない要素=職業を適切に設定するための『職業設定類語辞典』。ストーリー全体を通して緊張感が高まっていくような対立や葛藤を適切に組み込むための『対立・葛藤類語辞典 上巻』 『下巻』。 そしてこれらの中に収録されている、創作に役立つ様々なツールをダウンロードできる特設サイトも併せてご活用ください。


目次(仮)

『感情増幅類語辞典』増補版刊行によせて
ストーリーにはなぜ感情が必要か
感情ブースターと内的不協和
感情ストレスのプラス面
感情ブースターを用いてキャラクターの成長を見せる
感情ブースターを用いてストーリーの構造を支える
感情ブースターを用いて劇的緊張感を生み出す
感情ブースターを用いる最適なタイミング
強力な感情ブースター:苦痛
感情ブースターをいつ避けるべきか
心身の健康状態についてひとこと
筆者から最後に

欺き/暑さ/圧力/痛み/命の危険/栄養不良/体の健康問題/感覚過負荷/監視/危険/競争/強迫/禁断症状/空腹/怪我/拘束/拷問/心の健康問題/孤立/催眠状態/寒さ/思春期/睡眠不足/ストレス/精神症/性的興奮/洗脳/喪失感/退屈/体調不良/脱水症状/多動/注意力散漫/トラウマ/妊娠/認知の衰え/認知バイアス/八方塞がり/パニック発作/疲弊/憑依/不安/二日酔い/方向感覚の喪失/ホルモンバランスの乱れ/慢性的な痛み/魅了/無気力/酩酊/燃え尽き/薬物依存/優柔不断

付録A 感情ブースターでキャラクターを揺さぶる
付録B キャラクターの思考過程を考える
付録C キャラクターの意思決定に盛り込む4つの要素
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おわりに

プロフィール

[著]
アンジェラ・アッカーマン(Angela Ackerman)
ベッカ・パグリッシ(Becca Puglisi)
『感情類語辞典』増補改訂版をはじめとする「類語辞典」シリーズの共著者として知られ、創作について世界各地で講演を行ってきた。「類語辞典」シリーズは「執筆ガイドの決定版」と呼ばれるベストセラーで、大学では教材として採用され、文芸エージェントや編集者にも推奨されて、世界中の小説家、脚本家、心理学者が愛用している。同シリーズは累計120万部以上の売上を誇る。
アンジェラ(カナダ人)とベッカ(アメリカ人)は長きにわたる執筆パートナー。初めて出会ったのはオンラインの批評グループで、仲間の作品を読んで批評し合っているうちに、たちまち互いの作品の熱烈なファンになった。これをきっかけに、2012年には共著に取り組みはじめ、書き手を助けたいという思いから、ウェブサイト「Writers Helping Writers」を共同設立。次いで、書き手が奥行きのあるストーリーやキャラクターの創作に必要とするものをピンポイントで提供できる執筆ツールを豊富に揃えた人気ポータルサイト「One Stop for Writers」を立ち上げた。

[訳]
新田享子(にった・きょうこ)
三重県生まれ、サンフランシスコを経て、現在はトロント在住。テクノロジー、国際政治、歴史、文学理論、服飾と幅広い分野のノンフィクションの翻訳を手がけている。ウェブサイトはwww.kyokonitta.com