ザッツ・ニッポン・エンタテインメント!
すべてはここから始まった!
震災復興とモダン都市TOKYO、女性の社会進出、
サラリーマンの悲哀、花形スタアのトーキー映画進出、
最新のジャズや流行歌に彩られた華やかなミュージカル……
銀幕を輝かせた「新しい」娯楽映画たち。
戦前ニッポン・トーキーの発明・普及とともに産声をあげた
新興映画スタジオ「P.C.L.映画製作所」が手掛けた
数々の画期的作品のほぼ全作品を詳説!
本書に登場する俳優・監督・作品(の一部)
榎本健一、古川緑波、二村定一、横山エンタツ、花菱アチャコ、永田キング、岸井明、藤原釜足、丸山定夫、徳川夢声、高勢實乘、千葉早智子、堤眞佐子、夏川静江、伏見信子、長谷川一夫、細川ちか子、月形龍之介
木村荘十二、伏水修、山本嘉次郎、成瀬巳喜男、伊丹万作、山中貞雄、黒澤明、円谷英二、矢倉茂雄、大谷俊夫、徳山璉、紙恭輔
『音楽喜劇 ほろよひ人生』『純情の都』『妻よ薔薇のやうに』『唄の世の中』『エノケンの青春酔虎傳』『百萬人の合唱』『ロッパの歌ふ彌次喜多』『かっぽれ人生』『からゆきさん』『エンタツ・アチャコ これは失禮』『白薔薇は咲けど』『人情紙風船』『牛づれ超特急』
昭和八(一九三三)年八月一〇日『音楽喜劇 ほろよひ人生』(木村荘十二)が公開された。駅でビールを売るビヤガール・千葉早智子が、音楽家・大川平八郎と恋に落ちる。クライマックスのビヤホールの場面では壮大なオペレッタとなる。それまでの日本映画とは一線を画したモダンなトーキー音楽喜劇である。
製作はトーキー専門スタジオとして前年に発足した寫眞化学研究所(Photo Chemical Laboratory 略称P.C.L.)。配給はヨーロッパ映画を中心に輸入・配給をしていた東和商事合資会社映画部。だから観客もホワイトカラーや学生など、洋画に親しんでいたインテリ、都市生活者が多かった。
この『ほろよひ人生』を皮切りに、エノケンこと榎本健一、古川ロッパ、横山エンタツ・花菱アチャコのコメディなど、P.C.L.映画は、昭和八年から昭和一二(一九三七)年にかけて、都会的でモダンなテイストの作品を次々と送り出した。まさに夢の映画工場である。そのスタジオでは、トーキー製作のための最新サウンドシステムを導入。アールデコの外観とも合わせ「白亜の殿堂」と呼ばれた。
映画に活写される情景には、関東大震災からの復興都市東京の晴れがましさに溢れ、モダニズムの空気を体感することができる。映画から流れるサウンドもモダン、P.C.L.管絃楽団による演奏、エノケンや岸井明たちが唄うジャズ・ソングは、当時のハリウッドやブロードウェイに最も近かったのである。
のちに「明るく楽しい東宝映画」のキャッチ・フレーズで戦前、戦後の娯楽映画の黄金時代を牽引していく東宝カラーは、ここから始まった。
イベント情報
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佐藤利明『P.C.L.映画の時代』 独占先行発売!
戦前娯楽映画蔵出しトークと斜行楽団によるアフロバイーア和洋合奏
日時:10月13日(日)15時~
会場:CHOVE CHUVA(大阪市西区)
出演:佐藤利明(娯楽映画研究家)
斜行楽団:森川浩恵(箏、唄)、徳岡香菜子(打楽器)、輪島裕介(鍵盤) -
『P.C.L.映画の時代 ニッポン娯楽映画の源流 1932–1937』発売記念 佐藤利明さんトークショー
日時:10月24日(木)18時半時~
会場: 書泉グランデ -
娯楽映画の昭和 Vol.31
「P.C.L.映画の時代 ザッツ・ニッポン・エンターテインメント!」トークライブ
日時:10月27日(日)15時〜17時
会場:ブックカフェ20世紀 -
娯楽映画研究科・佐藤利明
『P.C.L.映画の時代 ニッポン娯楽映画の源流 1932–1937』刊行記念イベント
シークレット上映会
日時:10月28日(月)19時〜
会場:ブックカフェ20世紀
目次
P.C.L.映画の時代 1932〜1937年
昭和8(1933)年
音楽喜劇 ほろよひ人生
純情の都
昭和9(1934)年
只野凡児 人生勉強
踊り子日記
さくら音頭 涙の母
エノケンの青春酔虎傳
浪子の一生
人生勉強 續篇・只野凡児
エノケンの魔術師
あるぷす大將
昭和10(1935)年
百萬人の合唱
絹の泥靴
乙女ごころ三人姉妹
坊っちゃん
女優と詩人
すみれ娘
ハイキングの唄
放浪記
三色旗ビルディング
舊恋
ラヂオの女王
妻よ薔薇のやうに
いたづら小僧
サーカス五人組
都會の怪異7時03分
エノケンの近藤勇
かぐや姫
人生初年兵
噂の娘
昭和11(1936)年
エノケン十八番 どんぐり頓兵衛
あきれた連中
女軍突撃隊
求婚三銃士
魔術の女王
歌ふ彌次喜多
勝太郎子守唄
桃中軒雲右衛門
吾輩ハ猫デアル
處女花園
兄いもうと
エノケンの千萬長者
エンタツ・アチャコ これは失礼
唄の世の中
太洋の寵児
續篇 エノケンの千萬長者
君と行く路
母なればこそ
おほべら棒
戀愛の責任
かっぽれ人生
朝の並木路
彦六大いに笑ふ
東京ラプソディ
武士道朗らかなりし頃
新婚うらおもて
エノケンの吾妻錦繪 江戸っ子三太
ハロー東京
昭和12(1937)年
花火の街
心臓が強い
女人哀愁
風流演歌隊
新しき土
戦國群盗傳 前篇 虎狼
戦國群盗傳 後篇 暁の前進
うそ倶楽部
からゆきさん
P.C.L.オンパレード 青春部隊
良人の貞操 前篇 春来れば
良人の貞操 後篇 秋ふたたび
ハリキリボーイ
江戸ッ子健ちゃん
故郷
男は度胸
夜の鳩
日本女性読本
見世物王國
雪崩
東海道は日本晴
エノケンのちゃっきり金太 第一話「まゝよ三度笠の巻」
第二話「行きはよいよいの巻」
白薔薇は咲けど
お嬢さん
歌ふ彌次喜多 京・大阪の巻
エノケンのちゃっきり金太 第三話「帰りは怖いの巻」
第四話「まてば日和の巻」
南風の丘
1937年東宝オンパレード 樂園の合唱
南國太平記
人情紙風船
怪奇 江戸川乱山
北支の空を衝く
裸武士道
波止場やくざ
エンタツ・アチャコの僕は誰だ
怒涛を蹴って−軍艦足柄渡欧日誌−
維新秘話 戦ひの曲
禍福 前篇
美しき鷹
小唄捕物帳 江戸の白鷺
権三と助十
若い人
新選組
東海美女傳
血路
源九郎義経
禍福 後篇
牛づれ超特急
たそがれの湖
愛國六人娘
日本一の殿様
雷親爺
母の曲 前篇
母の曲 後篇
エノケンの猿飛佐助 ありゃありゃの巻
エノケンの猿飛佐助 どろんどろんの巻
あとがき 参
考文献
P.C.L.映画関連作品リスト
索引