映像編集のファースト・レッスン

10 章で学ぶ編集の基礎・歴史・実践

ガエル・チャンドラー=著
佐藤弥生+茂木靖枝= 訳
発売日
2024年10月26日
本体価格
2,800円+税
判型
A5判・並製
頁数
410頁
ISBN
978-4-8459-2332-8
Cコード
C0074
原題
Editing for Directors : A guide for creative collaboration

その他のネット書店から購入

映像制作は、撮影現場では終わらない。

多様な技師たちとのポスト・プロダクション作業に挑む前に、
監督ディレクター知っておかなければならない編集技術のすべて

ドライブインシアターのレジ係から映画業界に入り、30年以上のキャリアを重ね一流編集者になった著者が、ジョルジュ・メリエス、D.W.グリフィスから現代のドラマシリーズまで、100本以上の作品を通して、映像編集の基礎知識、その歴史と技術の変遷、そして現代における実践の核心をこの一冊に凝縮。

本書では、ディレクションの観点から映像編集に取り組むための基礎知識から近年の技術解説まで、集団制作としての映像製作における優れた協働=コラボレーションのあり方を主眼に置き、この業界で長いキャリアを有する著者が丁寧に解説します。
映画編集の歴史についても概観し、この技術における伝統と革新の双方を視野に置いた上で、さまざまな作品の具体的な技法を図説しながら、映画、ドラマ、CMなどジャンルを横断。「なぜこの作品のこの場面に、この編集/方法がふさわしいのか」を実感できる筆致で、監督/映像ディレクターが知っておくべき知識のまとまった入門書です。

【この本で扱う内容】
撮影前の準備、編集の歴史とその影響、編集技師を選ぶ際に知っておきたいこと、編集の作業内容、ポストプロダクション、VFX、音響・音楽、納品、アーカイブなど

編集技師は、何を入れ、何を残すかを選択するとき、演技だけでなく、撮影技術、美術、音響、そして、監督がスタッフと苦心の末にとらえたさまざまな要素から、最高のものを引き出すよう力を尽くす。あるときは魔術師であり、あるときは錬金術師でもある編集技師は、ひとつひとつのフレーム、ショット、シーンごとに、映像と音声を使って映画を作りあげる。
監督であるあなたがサーカスの団長だとすると、編集技師は映画の調教師だ。独自の視点を持って異なる立場から細部にも全体にも目を配る。これは、監督とその作品に対するまたとない贈り物だ。(本文より)


目次

序文 トニー・ダウ=文
まえがき
イントロダクション

第一章 編集を意識して撮影する
第二章 編集技師がもたらすもの
第三章 映画と編集の歴史を振り返る
第四章 共同作業者を選ぶ――監督と編集技師の関係
第五章 編集――編集技師の仕事
第六章 編集室 ――❶デイリーからファーストカット試写まで
第七章 編集室 ――❷ディレクターズカットから編集ロックまで
第八章 音響と音楽の制作
第九章 音響と音楽の編集とミキシング
第一〇章 仕上げと納品

あとがき
謝辞
▶参照映画作品リスト
▶参考文献・資料
▶用語集
▶索引

プロフィール

[著]
ガエル・チャンドラー(Gael Chandler)
「すべては、カリフォルニア州サンタローザの小さなドライブインシアターからはじまった」。『メアリー・タイラー・ムーア・ショー』のテッド・バクスターならこんなふうに紹介するだろう。スタービュー・モータームービーズでレジ係の仕事に就いた著者ガエル・チャンドラーは、映写室に強い魅力を感じた。この場所でフィルムベース、感光乳剤、フィルムセメント、スプライスなど、35ミリフィルムについての基礎を学び、労働組合の男性や町の映画館の支配人に掛け合って映写室を任され、組合に入ることも許可された。こうして『ロッキー』、『スター・ウォーズ』、『サタデー・ナイト・フィーバー』といった作品の映写を担当し、撮影助手、照明、軽食係などロケ現場での仕事も経験した。多くの映画を映写機にかけるかたわら、ふたつの学位を取得したチャンドラーはハリウッドに向かい、スタジオの門をくぐるようになった。
はじめての仕事はサウンドスタジオのアシスタントで、初日に任されたのはトラの500種類の咆哮を1/4 インチのアナログテープから35 ミリフィルムへダビングすることだった。この職場で編集技師たちと知り合う機会を持ち、やがてテレビのリアリティ番組『ザッツ・インクレディブル! That’s Incredible!』(1980~84)ではじめて編集アシスタントの仕事に就くことができた。さまざまな職場と職業紹介所を往復する毎日のはじまりだった。
チャンドラーはロサンゼルスで30年以上にわたって、コメディ、ドラマ、ドキュメンタリー、長編映画、企業の紹介ビデオ、プロモーションビデオなどさまざまなジャンルで編集に携わった。フィルム、テープ、デジタルの全媒体に精通し、多くの業界人、教職員、インディペンデント映画作家、学生にデジタル編集技術を教えてきた。画期的なノンリニア編集システムであるEdiflexをはじめて使った番組『新・ビーバーちゃん The New Leave It to Beaver』(1983~89)で編集を手がけ、ケーブルAC E賞のコメディシリーズ最優秀編集賞に2 年連続でノミネートされている。また、大学では編集の歴史、理論、実践についての講義を担当した。
編集に関するこれまでの著書には『カット・バイ・カット フィルムとビデオの編集 Cut by Cut: Editing Your Film or Video』(2004、2012改訂)、『映画編集について 映画作家と映画ファンが知っておきたいすばらしいカット Film Editing: Great Cuts Every Filmmaker and Movie Lover Must Know』(2009)がある。2010年には引退して北カリフォルニアに居を構え、『なつかしきサンフランシスコの記録 海辺の歴史ある町を歩く Chronicles of Old San Francisco :Exploring the Historic City by the Bay』(2014)を上梓した。また、共同設立者として、ブックトレイラー〔本の内容やテーマを紹介する短いビデオ〕や拡張型電子書籍〔マルチメディア機能や対話型要素が組みこまれた電子書籍〕を制作するPictureYourBook を立ちあげた。現在も劇作家や脚本家として意欲的に活動し、地元のメディアセンターで定期的に講演を行っている。
作家、編集技師、教師としてのチャンドラーを貫いているのは、読者、学習者、観客、視聴者を問わず、作品に接する人にとって最高の素材を引き出し、作りあげる喜びである。自分の作品が人々にとって意味のあるものとなること、それが何よりの願いだ。

[訳]
佐藤弥生(さとう・やよい)
英日翻訳者。幼少期を返還前の香港で暮らす。商社などの勤務を経て、国内メーカー、在日米海軍などで20年以上技術翻訳に携わったのち、出版翻訳に従事する。訳書に『映像編集の技法』『「書き出し」で釣りあげろ』『感情を引き出す小説の技巧』『読者を没入させる世界観の作り方』(以上フィルムアート社/共訳)、『ダイヤモンドを探せ』(KADOKAWA)などがある。

茂木靖枝(もぎ・やすえ)
英日翻訳者。ロンドンで英語とコンピューターを学ぶ。金融系システム会社や翻訳会社などの勤務を経て、現在は産業翻訳から出版翻訳まで幅広く手がける。訳書に『映像編集の技法』『「書き出し」で釣りあげろ』『感情を引き出す小説の技巧』『読者を没入させる世界観の作り方』(以上フィルムアート社/共訳)、『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』(KADOKAWA)などがある。