「私は日本のドラマによって作られてきた」
フェミニズム、シスターフッド、エイジング、LGBTQ……稀代のドラマ好き作家・柚木麻子が『東京ラブストーリー』から『虎に翼』まで、時代を彩ってきた作品のエッセンスを縦横無尽に語り尽くす!
2014年から10年以上にわたって続く『anan』の連載が待望の書籍化! ドラマ好きとして知られる作家・柚木麻子が国内ドラマの軌跡や、女性像の変遷、日本社会の変化(と変わらなさ)を、時に真摯に、時にコミカルに、時に私的に描き出す。
主に放送中の国内ドラマについて綴る同連載は、柚木ならでは視点によって、テレビドラマを「ななめ読み」! フェミニズムやシスターフッド、エイジングといった柚木の小説に通底する主題から、自己啓発やスクラップブック、はたまた金田明夫という名バイプレイヤーまで多種多様なテーマのもと過去作にも言及し、ドラマ愛に満ちた評が展開される。
書籍化にともない、自身の文章や、取り上げた作品、その出演俳優について、2024年現在の視点から振り返る新規テキストも収録。日本のドラマや俳優の魅力、面白さ、そして変化(やその予兆)が綴られる。
『anan』の連載以外にも、ファンとして、元脚本家志望者として、そして原作者として、ドラマや俳優について綴ったエッセイを収録。『逃げるは恥だが役に立つ』『エルピス―希望、あるいは災い―』『虎に翼』といった近年話題となった傑作から、『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』『すいか』といった記念碑的作品まで、柚木麻子が縦横無尽に語り尽くす。
[本書で扱う主な作品]
『失恋ショコラティエ』『東京ラブストーリー』『アラサーちゃん 無修正』『地獄先生ぬ〜べ〜』『問題のあるレストラン』『すいか』『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『恋仲』『ロングバケーション』『トミーとタペンス―2人で探偵を―』『武道館』『ゆとりですがなにか』『営業部長 吉良奈津子』『逃げるは恥だが役に立つ』『カルテット』『やすらぎの郷』『監獄のお姫さま』『眠れぬ真珠〜まだ恋してもいいですか?』『獣になれない私たち』『人生が楽しくなる幸せの法則』『きのう何食べた?』『凪のお暇』『少年寅次郎』『愛の不時着』『その女、ジルバ』『大豆田とわ子と三人の元夫』『彼女はキレイだった』『日本沈没―希望のひと―』『真夜中にハロー!』『メンタル強め美女白川さん』『六本木クラス』『エルピス―希望、あるいは災い―』『作りたい女と食べたい女』『今夜すきやきだよ』『日曜の夜ぐらいは…』『真夏のシンデレラ』『コタツがない家』『セクシー田中さん』『婚活1000本ノック』『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』『虎に翼』など
メディア掲載
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映画ナタリー2024.10.08
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アフター6ジャンクション2 著者出演2024.11.05
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日本経済新聞 2024年11月7日号(速水健朗)2024.11.07
目次
まえがき
第1章 〝ヒール女〟や〝エロいのに味方な女〟と一緒に 二〇一四〜二〇一五年
第1話 フジ「月9」を支える、忘れがたい〝ヒール女〟の系譜
第2話 日本のドラマを支える名優たち
第3話 同性からの支持高し! 〝エロいのに味方な女〟
第4話 忘れられない余韻を残す、日テレ「土9」の魅力
第5話 女の敵はどこにいる? フェミニズムドラマ進化論
第6話 金と権力はお好き? 愛と野望の復讐ドラマ
第7話 憧れの都会、安らぐ地元。輝いて見えるのはどっち?
第8話 荒波も越えてみせます、ドラマ史上最高の夫婦たち
第2章 アイドルも、男も、女も、シニアも 二〇一六〜二〇一七年
第9話 光も影も、全部知りたい。アイドルの輝きよ永遠に
第10話 今時の事情を抱えて、男三人、人生模索中
第11話 松嶋菜々子出演作に見る、女の役割について
第12話 ときめきと安定した生活。両立は、叶いますか?
第13話 曖昧さの向こうにあるもの。坂元裕二脚本の魅力とは
第14話 地続きだから気になる、〝シニア世代のリアル〟
第15話 型破りな愛情表現が、片想いを両想いに変える
第16話 女を救うのは、女! 助け合う関係を描く新ドラマ
第3章 平成から令和へ 二〇一八〜二〇一九年
第17話 才能がある理由は、「作品」が証明する……はず!?
第18話 愛されずとも魅了する、長澤まさみのヒロイン力
第19話 心地よすぎる俳優、金田明夫クロニクル
第20話 二人は獣になれるのか? 恋愛ドラマの必須アイテム考
第21話 納得のいく生き方を求めて。ニッポン自己啓発ドラマの歴史
第22話 新たなフェーズへ移行中。ドラマにおけるLGBTQ
第23話 「愛ゆえに」ではもう、済まされないのです
第24話 緻密に計算された、「前日譚」を見る楽しみ
第4章 シスターフッドとサードプレイス 二〇二〇〜二〇二一年
特別編 『anan』とドラマの五〇年から考える〝定職を持たない女〟の系譜
第25話 ドラマの片隅に咲く、シスターフッドの花
第26話 癒し、交流、美味しい料理。女たちにもサードプレイスを
第27話 今を楽しみ、同意を交わす。〝昔の男〟たちとの理想郷
第28話 〝ヒロインが冴えない〟設定に見る、ラブコメルールの進化と今後
第29話 日本ドラマは、なぜこれほど〝変わり者の天才〟が好きなのか?
第5章 その先へ! 二〇二二〜二〇二四年
第30話 恋バナや悲劇から解放されたサステナブルな母娘ドラマ誕生!
第31話 SNS時代でも存在感を放つ、〝手作りスクラップブック〟の行方
第32話 テレ朝ドラマならではの独自の工夫と進化に注目
第33話 〝清濁併せ呑む〟の、その先へ! 報道ドラマが切り開く新たな道
第34話 料理好きで家事上手な女たちが、〝モテ〟視点から解放された!
第35話 〝貧困〟というシビアな問題を丁寧に描く、良質なファンタジー
第36話 夏のキラキラ恋愛ドラマに出現したニュータイプのヒロインに夢中!
第37話 輝く、アラフォー女性俳優! 小池栄子と木南晴夏の存在感
第38話 あの文学賞出身者たちが描き出す、女性を取り巻く世界
第39話 社会問題に正面から切り込む姿勢は、日本ドラマの分岐点となるか
番外編 ファンとして、脚本家志望者として、原作者として
大学時代に出会ったずっと大好きなドラマ
「彼」自身の言葉で、語るべきではないか
原作者が尊重され、守られるように
あとがき
プロフィール
[著]
柚木麻子(ゆずき・あさこ)
1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2010年、同作を含む『終点のあの子』を刊行。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほか作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『マリはすてきじゃない魔女』(絵・坂口友佳子)『あいにくあんたのためじゃない』などがある。2022年に初のエッセイ集『とりあえずお湯わかせ』を刊行。2022年、作家の山内マリコとともに「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。」と題した声明を発表する。