MCU

比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語

ジョアンナ・ロビンソン/デイヴ・ゴンザレス/ギャヴィン・エドワーズ=著
島内哲朗=訳
吉川悠=監修
発売日
2024年7月26日
本体価格
3,000円+税
判型
A5判・並製
頁数
584頁
ISBN
978-4-8459-2328-1
原題
MCU: The Reign of Marvel Studios

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「一番いいアイデアが勝つ」

圧倒的な創造性と、常識にとらわれない発想を武器に世界中を魅了する「宇宙〔ユニバース〕」を創り出した史上最大のエンターテインメント企業、マーベル・スタジオ。
関係者たちへの取材によって、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の知られざる歴史がついに明かされる。

失敗と破滅と破産から、マーベル・スタジオは始まった――

自社キャラクターの権利を抵当に入れて融資を受け、絶対に失敗することができない状況の中で制作された『アイアンマン』。

主役は、それまでのキャリアで「ほぼ完璧な商業的失敗記録」を更新し、薬物乱用者としてハリウッドの問題人物として知られていたロバート・ダウニー・Jr。
しかもアイアンマンは、マーベルのキャラクターの中でも一般的な認知度が低く、「二軍」扱いだった。

マーベル・スタジオの未来はこの1本にかかっていた。

2008年に公開された『アイアンマン』は世界的な大ヒットを記録。
マーベル・スタジオが、負けの許されない賭けの連続に勝利した瞬間だった。
いまや、マーベル・スタジオ製作の映画やテレビ・シリーズは世界のポップ・カルチャーを席巻し、史上最も成功したフランチャイズとなっている。

本書は、1970年代のマーベル初期映像作品、そしてスタン・リーが立ち上げた「マーベル・プロダクション」の失敗やトイ・ビズによるマーベル・コミックの買収など、マーベル・スタジオ設立前史から、『アイアンマン』以降のマーベル・シネマティック・ユニバースの成功、そしてディズニープラスでの新展開まで余すところなく記述している。

ケヴィン・ファイギ、ボブ・アイガー、ロバート・ダウニー・Jr、ジェームズ・ガンをなど、MCUを取り巻く主要人物へのインタビューを収録するとともに、プロデューサー、脚本家、アーティスト、キャスティング担当者などMCUを支える多くのスタッフの声を記録し、ニコール・パールマンやヴィクトリア・アロンソなどMCUに多大な貢献をしながらもこれまであまり知られることのなかった人物についてもスポットライトを当てている。

本書はマーベル・スタジオ年代記の決定版であると同時に、監督・俳優の降板や多様性や新展開への無理解、創造性〔クリエイティヴィティ〕と経営〔ビジネス〕の対立、パンデミックによる製作・公開の停止などあらゆる困難を乗り越え、IPビジネスとストリーミングで世界有数のエンターテイメント企業となった新興スタジオの戦いの物語でもある。

「正史」では決して語られることのない、「真の」MCU年代記がここに。
世界中のマーベルファン、MCUファンを納得させたベストセラーが待望の邦訳!

 

本書で明かされるエピソードの一部
・『アイアンマン』の主演はトム・クルーズだった?
・MCU最初のイースター・エッグ〔何らかの関連性または参照性を持つ小ネタ〕は?
・スタン・リーのカメオ出演と並んでMCUのトレードマークとなったポストクレジット・シーン誕生のきっかけは?
・『インクレディブル・ハルク』主演のエドワード・ノートンが「面倒くさい野郎」判定された理由とは?
・サミュエル・L・ジャクソンがニック・フューリー役にキャスティングされる理由となったコミックスの存在
・ローズ中佐役がテレンス・ハワードからドン・チードルに変更した理由
・エドガー・ライトが「作品に対する見解の違いにより」『アントマン』の監督を降板した舞台裏
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の脚本クレジットに関するニコール・パールマンとジェームズ・ガンの確執
・「スモール・フェイセス〔Small Faces〕」という暗号名で呼ばれ、もう少しで実現するところだった映画『ランナウェイズ』の存在
・中国市場に参入するために『アイアンマン3』はいかに根本的な変化を迫られたか
・MCUを支えるVFX企業の戦いと労働問題
・2014年がマーベル・スタジオ史上最も重要な年である理由
・スパイダーマンの権利をめぐるマーベルとソニーの関係
・ジョス・ウェドンはいかにしてケヴィン・ファイギより大きな権力を持つようになったのか?
・ボブ・チャペック(当時ディズニーCEO)が巻き起こした混乱とフェーズ4の失敗


目次

PROLOGUE はじまりの物語[オリジン・ストーリー]

PHASE0
CHAPTER 1 フェニックス・サーガ
CHAPTER 2 恵まれし子ら
CHAPTER 3 昔々、マール・ア・ラーゴで

PHASE 1
CHAPTER 4 もっともらしさ
CHAPTER 5 概念実証
CHAPTER 6 ポストクレジット・シーン
CHAPTER 7 とんでもないレベルの毒性
CHAPTER 8 一部組立[アッセンブリー]が必要です
CHAPTER 9 酒瓶の中の悪魔
CHAPTER 10 自由ってやつは楽しいもんだぜ
CHAPTER 11 クリスというブランド
CHAPTER 12 ランナウェイズ
CHAPTER 13 地球最強のヒーロー

PHASE 2
CHAPTER 14 ハウス・オブ・M
CHAPTER 15 禁じられた都
CHAPTER 16 遠隔操作
CHAPTER 17 左から失礼
CHAPTER 18 ボクらはグルート
CHAPTER 19 ナターシャはどこ?
CHAPTER 20 マーベル・スタジオVSクリエイティヴ委員会
CHAPTER 21 最高の監督、最悪のタイミング

PHASE 3
CHAPTER 22 もつれるクモの糸
CHAPTER 23 新国王に栄光あれ
CHAPTER 24 より高く、より遠く、より速く
CHAPTER 25 指パッチン

PHASE 4
CHAPTER 26 マーベルのない1年
CHAPTER 27 なんでもできます課
CHAPTER 28 K.E.V.I.N.
CHAPTER 29 クローン・サーガ
CHAPTER 30 マルチバースへ

EPILOGUE まだ残っているもの

謝辞
訳者あとがき

出典
索引

プロフィール

[著]
ジョアンナ・ロビンソン(Joanna Robinson)
リンガー・ポッドキャストのポッドキャスター兼カルチャー批評家で、The Ringer-Verse、Trial By Content、The Prestige TV等の番組に出演。2014年から2021年までシニア・ライターとしてヴァニティ・フェア誌に在籍し、A Storm of Spoilers、A Cast of Kingsの共同司会者でもある。ポップカルチャーに関する業績をサンフランシスコ・クロニクル紙、インディワイヤー誌、レコードメディア(Recode Media)・ポッドキャストに紹介された。『ゲーム・オブ・スローンズ』という21世紀の一大イベントについて記事を書き続けたロビンソンに対して2019年サイファイ・チャンネルは「ゲーム・オブ・スローンズの女王」の称号を授けた。「The Unbeatable Squirrel Girl」[リス・ガール]第1号でマーベルに恋に落ちたロビンソンはそれ以来木の実を頬張りながら悪と戦っている。趣味は太平洋の波のリズムを聞くことと、ヘリキャリアの縁につかまるクリス・エヴァンスを観ること。@jowrotethisを探せば大体どこのSNSでも見つけられる。本人のウェブサイトは@jowrotethis.com

デイヴ・ゴンザレス(Dave Gonzales)
コロラド州デンバー在住のライター、プロデューサー、ポッドキャスター。映画やポップカルチャーについて、ニューヨークタイムズ紙、ガーディアン紙、Forbes.com、TVGuide.com、VanityFair.com、Thrillist.com、Polygon.com、Geek.comに寄稿し、さらにLatinoReview.comに2013年から2017年の間毎週マーベルに関する記事を掲載していた。ニューヨーク大学在籍中にFighting In The War Roomというポッドキャストの共同創立メンバーとなり、タイム誌が選ぶ2021年最高の10のポッドキャストに選ばれた。コロラドに戻ったゴンザレスは、リンガー・ポッドキャストのためにThe Storm: A Lost Rewatch PodcastとTrial By Contentを制作した。1995年に「スペクタキュラー・スパイダーマン」第226号を買ったゴンザレスは、ベン・ライリーが本当はピーター・パーカーだと信じていた。2009年以来、MTVのTeen Momシリーズのアニメーション・プロデューサーでもある。ゴンザレスはツイッター[X](@da7e)とインスタグラム(@grumpyda7e)アカウントを持っている。

ギャヴィン・エドワーズ(Gavin Edwards)
執筆した書籍のうち13本はニューヨークタイムズのベストセラー・リストに載っている。「Kindness and Wonder: Why Mister Rogers Matters Now More Than Ever」、「Bad Motherfucker: The Life and Movies of Samuel L. Jackson, the Coolest Man in Hollywood」、「The Beautiful Book of Exquisite Corpses」、「The Tao of Bill Murray:Real-Life Stories of Joy, Enlightenment, and Party Crashing」等がその13本に含まれる。
エドワーズはニューヨークタイムズ紙、ローリング・ストーン誌、ディテール誌等の雑誌や新聞にも頻繁に記事を寄せている。現在はゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」に関する「Chaos Orb」という書籍を執筆中。人生最初に読んだマーベル・コミックスはミュータントたちがダンテの地獄を訪れる「X-MEN」アニュアル第4号。ニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルスと渡り歩いたエドワーズは現在ノースカロライナ州シャーロットに家族と一緒に住んでいる。ツイッター[X]とインスタグラムにそれぞれ@mrgavinedwardsのアカウントを持っている。本人のウェブサイトはrulefortytwo.com

[訳]
島内哲朗(しまうち・てつろう)
映像翻訳者。字幕翻訳を手がけた劇映画は『ぼくが生きてる、ふたつの世界』、『ほかげ』、『レジェンド&バタフライ』、『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』、『市子』、『岸田露伴ルーブルに行く』、『流浪の月』、『海辺の映画館 キネマの玉手箱』、『ザ・ファブル』、『ムービー・オージー』(国立映画アーカイブ上映)等多数。翻訳した書籍には、カール・イグレシアス『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』、ロッド・ジャドキンス『「クリエイティブ」の処方箋』、イアン・ネイサン『ウェス・アンダーソン 旅する優雅な空想家』(以上、フィルムアート社)等がある。

[監修]
吉川悠(よしかわ・ゆう)
10代でアメリカン・ヒーロー・コミックスに出会い、趣味が高じてコミックスおよびゲーム翻訳・関連記事執筆に携わる。訳書に『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』『キャプテン・アメリカ:トゥルース』など多数。共訳書に『マーベル・エンサイクロペディア』(以上、Shopro Books)など。