アカデミー賞&エミー賞の請負人ロバート・マッキーが「キャラクターとは何か?」を徹底解明!
登場人物の本質を問い、創造力に磨きをかける。キャラクター創作術の最新版にして決定版がついに登場。
「キャラクターは人間とはちがう。ミロのヴィーナス[……]が生身の女性ではないのと同じように、キャラクターは実在の人間ではない。キャラクターは芸術作品である――感情を掻き立て、深い意味を持ち、記憶に刻まれる、人間の本質の隠喩である。それは作者の心の奥深くで生まれ、ストーリーの腕のなかでしっかり守られ、永遠に生きつづけるよう運命づけられている。」
ロバート・マッキーは約40年間にわたり世界中を飛び回り、脚本家、小説家、劇作家、詩人、ドキュメンタリー作家、プロデューサー、演出家を育成してきました。受講生の数は100,000人以上にのぼり、その中からアカデミー賞受賞者が60人(ノミネートは200人)、エミー賞受賞者が200人(ノミネートは1,000人)生まれています。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンは彼の門下生であり、ピクサーの脚本チームもマッキーの教えを受けています。
マッキーはこれまでに、「物語創作のバイブル」との呼び声高い『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』、そして「ダイアローグは単なる会話ではな」く「言葉によるアクション」であることを解説した『ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法』という2冊の世界的ベストセラーを世に送り出しています。本書はそれらの姉妹編であり、物語創作術三部作の第三作となります。
2021年に米国で原書が刊行されたばかりの本書。登場人物の創作に特化した内容となっており、「キャラクターを『創造』するという視点から、着想の源までさかのぼって徹底的に分析」(訳者あとがきより)していきます。そうすることで、キャラクターの本質を理解でき、創作の技法を磨くことができるのです。
マッキーは本書の中で、ヨーロッパ最古の演劇であるギリシャ悲劇から『ブレイキング・バッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』といった近年のテレビドラマまで、幅広い作品を例に「キャラクターとは何か?」を繊細かつ大胆に解説しています。4部構成となっており、キャラクター作りの着想の源がどこにあるかを問うところから始まり、すぐれた架空の人物を生み出す執筆技法を通過し、キャラクターとストーリーのジャンルや観客との関係を見つめ、いかにストーリーの中でキャラクターを設計すべきかが語られていきます。それぞれの部の内容は以下の通りです。
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第1部:キャラクターをたたえて(第1章から第3章)では、キャラクターを創造するための着想の源を探り、すばらしい架空の人物を生み出す才能を磨くための基本的な作業を説明する。
第2部:キャラクターの構築(第4章から第13章)では、これまでにないキャラクターを創造することを求めて、まず外側から書く方法、つぎに内側から書く方法を考察し、さらに多様性と複雑さについて、最後に過激なキャラクターについて考える。サマセット・モームがかつて語ったとおり、「人間の本質からは題材が尽きることがない」。
第3部:キャラクターの世界(第14章から第16章)では、ストーリーのジャンル、キャラクターがとる行動、読者や観客とキャラクターの関係という三つの要素に基づいて、キャラクターの背景を説明する。
第4部:キャラクターの関係(第17章)では、小説、映画、演劇、ドラマシリーズから選んだ五つの作品の登場人物(ドラマティス・ペルソナエ)のさまざまな面を解読し、それらの設計にあたっての原則と技法を説明する。
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最後に「ストーリーの航行者、キャラクターの探求者である」作家志望者の方々にマッキーからのメッセージを贈ります。
「本書全体を通して、キャラクターの宇宙を銀河系へ、銀河系を太陽系へ、太陽系を惑星へ、惑星を生態系へ、生態系を人間の生命の根源へと分解し、人類の神秘のなかにある創造的な意味を見いだす手助けをしていきたい。[……]わたしが手をとって教えることはできない。その代わりに、才能を開花させるための知識を提供しよう。だから、この本をじっくりと何度も読み返して、学んだことを吸収し、それを自分の作品にどう生かすかを考えてもらいたい。」(本文より)
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目次
イントロダクション
第1部 キャラクターをたたえて
1 キャラクターと人間
2 アリストテレスの議論――プロット対キャラクター
3 作家の準備
第2部 キャラクターの構築
4 キャラクターの着想――外側から書く
5 キャラクターの着想――内側から書く
6 役柄とキャラクター
7 表向きのキャラクター
8 内なるキャラクター
9 多元的なキャラクター
10 複雑なキャラクター
11 完成されたキャラクター
12 象徴的なキャラクター
13 過激なキャラクター――現実主義/非現実主義/過激主義が形作る三角形
第3部 キャラクターの世界
14 ジャンルのなかのキャラクター
15 キャラクターのアクション
16 キャラクターのパフォーマンス
第4部 キャラクターの関係
17 登場人物の設計
結び 革命的な作家
謝辞
用語集
原注
訳者あとがき
プロフィール
[著]
ロバート・マッキー(Robert McKee)
1941年生まれ。世界で最も名高く、信頼されているシナリオ講師。全米のみならず、世界各地でセミナーを開催している。これまでに40年近くにわたって、数々の脚本家、小説家、劇作家、詩人、ドキュメンタリー作家、プロデューサー、演出家などを育成してきた。マッキーの指導を受けたなかからは、アカデミー賞受賞者が60人以上、アカデミー賞候補者が200人以上、エミー賞受賞者が200人以上、エミー賞候補者が1,000人以上生まれている。本書の姉妹編として、物語の普遍的な「型」を解説する『ストーリー』、会話の創作を深く掘り下げた『ダイアローグ』(ともにフィルムアート社)がある。
[訳]
越前敏弥(としや・えちぜん)
1961年生まれ。文芸翻訳者。東京大学文学部国文科卒。学生時代には映像論やシナリオ技法なども学び、卒論テーマは「昭和50年代の市川崑」。おもな訳書に『ダイアローグ』『ストーリー』(以上、フィルムアート社)、『オリジン』『ダ・ヴィンチ・コード』『Xの悲劇』『クリスマス・キャロル』(以上、KADOKAWA)、『大統領失踪』『解錠師』『災厄の町』(以上、早川書房)『夜の真義を』(文藝春秋)、『ロンドン・アイの謎』『真っ白な嘘』(以上、東京創元社)など。著書に『翻訳百景』(KADOKAWA)、『文芸翻訳教室』(研究社)、『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』(ディスカヴァー)など。