北欧への憧れは心地よい窓辺から──
アアルト、アスプルンド、レヴェレンツ、
フィスカー、ヤコブセン、ウッツォン……
建築家たちだけでなく、
生活者の創造力も引き出した窓をめぐる旅へ。
光、風、熱、人、緑……
多様な要素の“ふるまい”の生態系のなかで
窓をとらえる「WindowScape」シリーズ。
第4弾は北欧の名建築編!
20世紀初頭、それまで民族誌的連関の中にあった建築が産業社会的連関に取り込まれていく移行期に、北欧の建築家たちは両者の衝突や摩擦の中で、民族誌的な質を捨てきれずに工業化を消化し不思議なハイブリッドをつくり出していった……。葛藤しながらもそのハイブリッドに新しい均衡を見出し創造のエネルギーとしたからこそ、彼らの作品は現代を生きる私たちにとっても味わい深い──スウェーデン、フィンランド、デンマークで訪れた73の名建築から114の窓を紹介する。
《本書で取り上げる主な建築家とその作品》
◆アルヴァ・アアルト(フィンランド/1898-1976)
パイミオのサナトリウム、アアルト自邸、セイナッツァロの村役場、ムーラッツァロの実験住宅/夏の家、ラケウデン・リスティ教会、アアルトスタジオ、アカデミア書店ビル…など
◆グンナール・アスプルンド(スウェーデン/1885-1940)
スネルマン邸、森の礼拝堂、カール・ヨーハン小学校、ストックホルム市立図書館、イェーテボリ裁判所、ステナス夏の家、森の火葬場…など
◆シーグルド・レヴェレンツ(スウェーデン/1885-1975)
ローイングクラブ、復活の礼拝堂、社会保険庁、聖ペトリ教会…など
◆カイ・フィスカー(デンマーク/1893-1965)
フェスター湖通りの集合住宅、ドロニングゴーデン集合住宅…など
◆アルネ・ヤコブセン(デンマーク/1902-1971)
ベラヴィスタ集合住宅、ヤコブセン夏の家、スーホルムⅠ、スーホルムⅢ、ムンケゴー小学校、SASロイヤルホテル、レズオウア図書館、デンマーク国立銀行…など
◆ヨーン・ウッツォン(デンマーク/1918-2008)
ウッツォン自邸、ダルスゴーア邸、キンゴーハウス、バウスヴェア教会、ウッツォンセンター…など
メディア掲載
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建築技術 2022年11月号で紹介されました!
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【イベントレポート】塚本由晴 × 田熊隆樹 対談「旅と窓」(場所:新建築書店)2024.07.12
目次
研究の背景と目的
北欧の自然環境と窓
北欧における窓の変遷
調査対象と方法
この本に登場する北欧の建築家たち
SWEDEN│スウェーデン
Gunnar Asplund│グンナール・アスプルンド
Sigurd Lewerentz│シーグルド・レヴェレンツ
コラム:逸脱を愛した反復、反復を許した逸脱
FINLAND│フィンランド
Alvar Aalto│アルヴァ・アアルト
コラム:アアルトの窓の心地よさを支えた技術と生産体制
DENMARK│デンマーク
Kay Fisker│カイ・フィスカー
Arne Jacobsen│アルネ・ヤコブセン
Jørn Utzon│ヨーン・ウッツォン
コラム:窓のユニット化と脱ユニット化
結び:窓の問題、窓の遊び場
参考文献
調査地・調査メンバー
掲載建築リスト
プロフィール
[編]
東京工業大学 塚本由晴研究室
アトリエ・ワンを貝島桃代と共同主宰する塚本由晴は、数々の建築作品のほか、『ペット・アーキテクチャー・ガイドブック』『メイド・イン・トーキョー』『コモナリティーズ』などのリサーチをまとめた著作、国内外のアート・インスタレーション、東日本大震災の復興を支援する「Archiaid」、千葉県鴨川市釜沼における里山再生プロジェクト「小さな地球」など、多彩な活動を行う建築家である。教鞭を執る東京工業大学では、建築設計、学術論文、都市リサーチなどの幅広い教育研究活動を行っており、本書および既刊の『WindowScape──窓のふるまい学』『WindowScape2──窓と街並の系譜学』『WindowScape3──窓の仕事学』は、研究室の学生とともに世界各地を訪れ調査した成果をまとめたものである。