「ドキュメンタリー/ノンフィクション作品制作における哲学とハウツー」が1冊に詰まった決定版、増補改訂版で再登場!!
世界水準の映像を撮るための必須ルールを伝授。
インターネットにおける動画配信の時代にも対応し、
国際共同製作の多様なスタイルも紹介。
想田和弘ら、5名のドキュメンタリー作家たちの生の声を追加収録!
この本を読むまで“ドキュメンタリーの技法”とは
いい素材を味付けせずにそのまま出すのだと思っていた。
しかし、素材の味を引き立たたせる、
絶妙な“切り方”が作品を魅力的にするのだと本書は教えてくれる。
東海テレビ・ディレクター 圡方宏史 (『ヤクザと憲法』『さよならテレビ』監督)
日本のドキュメンタリーが世界で通用するために
本書が格好の手引になることは間違いない。
国際映像プロデューサー 今村研一 (Tokyo Docsアドバイザー)
本書は、ある主題の中に見つけ出した物語の「語り方」を、ドキュメンタリーにありがちな映像作家による「押しつけ」ではなく、「嘘をつく」こともなく、「独創的に」映像で語るためのノウハウを凝縮した一冊です。
観客を積極的に巻き込んでいくための物語構成、実在人物のキャラクターとしての描き方、主題に対する視点や疑問点の表し方、全体のトーン調整、物語で克服すべき障害や対立など、多様なストーリーテリングの技巧を駆使して、完成までの長く有機的なプロセスを、一つずつ丁寧に解説しています。
ドキュメンタリー(ノンフィクション)には、プロットを創作する自由も、登場人物の心の動きを考え出す自由もありません。自分で見つけたテーマ、現実の人生を切り取った素材の中からそれらを“魅せる”ために、ジャーナリストが持つべき「誠実さ」「倫理観」を犠牲にしてもいけません。すべては、観客をのめりこませる「創作的な構成」にかかっています。
旧版(弊社刊、2014年)の発売以来、日本でも多くのドキュメンタリー作家、物語創作者、ジャーナリスト志望者、報道番組関係者などが手に取り、作品づくりや構造分析の強い味方としての役割を果たしてきました。
本改訂版では内容を大幅に刷新。より最近の作品を分析し、数々の賞を受賞したドキュメンタリー作家たちの生の声を収録。インターネットにおける動画配信時代でも使える一冊となっています。
刊行記念特別対談
「物語の語り方から、あるトピックに注目して物語の筋道を見つけ出す方法にいたるまで、ドキュメンタリーの技法を教えてくれる洞察力に満ちた本書は、台本から上映にいたるまでの制作各工程、ポストプロダクション、そして作品の売り込みに必要な具体的な詳細が盛りだくさんだ。Part 3 の作家たちとのインタビューは思慮深く示唆に富む発言が満載で、ドキュメンタリー制作の現場でのあれこれを明かしてくれる。」
スティーヴン・ネイサンズ・ケリー(イベントDV誌)「あなたが一端のドキュメンタリー作家になりたいなら、または観察によって物語を語る手腕を磨きたいと思っているなら、今すぐ買って読むべきだ。そして書いてあることを試してみるのだ。」
クエンティン・バドワース(英フォーカス誌)「『ドキュメンタリー・ストーリーテリング』というタイトルがこの本のすべてを表している。物語を語るということ。そして力強く、効果的に、しかも倫理的に語るということ。様々な賞に輝くドキュメンタリー作家たちが、貴重で有益な知識を、情報を、そしてアドバイスを、惜しみなく分け与えてくれる。」
クリスタ・ギャリエン(AAUGレビュー)
目次
まえがき 第四版に寄せて
Chapter1 イントロダクション
PART1 物語を理解すること
Chapter2 物語の基本
Chapter3 物語を見つける
Chapter4 物語の構成
Chapter5 画面上での時間を操る
Chapter6 創造的なアプローチ
Chapter7 詳細に分析する
PART2 物語を使いこなす
Chapter8 リサーチ
Chapter9 制作の準備と売り込み
Chapter10 トリートメントと企画書
Chapter11 撮影
Chapter12 編集
Chapter13 ナレーションと語り
Chapter14 物語を語るためのチェックリスト
PART3 ドキュメンタリー作家たちとの対話
Chapter15 ニック・フレイザー
Chapter16 アレックス・ギブニー
Chapter17 スーザン・キム ☆
Chapter18 ジェームス・マーシュ
Chapter19 カーラ・メルテス ☆
Chapter20 スタンリー・ネルソン ☆
Chapter21 デボラ・スクラントン
Chapter22 想田和弘 ☆
Chapter23 オーランド・ヴォン・アインシーデル ☆
PART4 参考資料+作品リスト+あとがき
参考資料
作品リスト
Documentary Storytelling 増補改訂版に寄せて(今村研一)
訳者あとがき
※ ☆は新規収録
プロフィール
[著]
シーラ・カーラン・バーナード
メディア制作者・コンサルタント。ゴールデンタイムのテレビ番組、劇場公開作品からコミュニティや教育用映像制作まで幅広く活動。エミー賞・ピーポディ賞受賞者であり、数々の大学で教鞭を執る。共著に「Artichival Storytelling:A Filmaker’s Guide to Finding, Using, and Licensing Third-Party Visuals and Music」[未邦訳 アーカイブ素材で語る物語:人が制作した映像、画像、そして音楽見つけて、使って、使用許可をもらう方法](Focal Press, 2008)
[訳]
島内哲朗
映像翻訳者。字幕翻訳を手がけた主なドキュメンタリー作品には「さよならテレビ」「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」「i − 新聞記者のドキュメント」「園子温という生きもの」「フジコ・ヘミングの時間」「戦場ぬ止み」「ティーンエイジ・パパラッチ」「ヨコハマメリー」「風の波紋」「アトムの足音が聞こえる」「スケッチ・オブ・ミャーク」「天に栄える村」「笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ」「Self and Others」「三里塚 第三次強制測量阻止斗争」等がある。翻訳した書籍には、フランク・ローズ『のめりこませる技術 誰が物語を操るのか』、カール・イグレシアス『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』『脚本を書くための101の習慣 創作の神様との付き合い方』(以上、フィルムアート社)等がある。
[解説]
今村研一
1983 年NHK入局。主にニュース番組や報道系の番組を担当。NHK番組の海外販売やBS世界のドキュメンタリーのプロデューサーを経て、2012 年からNHKエンタープライズのエグゼクティブ・プロデューサー。国際共同制作を応援するイベントTokyo Docsのアドバイザーを務める。