メディアの織りなす世界を読み解く35のキーワード
ゲーム、ソフトウェア、モバイルから、資本、ジェンダー、観光、軍事まで……
現在/過去の文化と社会を一望できる、メディア論の新しい教科書!
2020年代を迎えた現在、インターネット以降のテクノロジーやスマートフォン、SNSの一般化はさらに進み、メディアの在り方は大きく変容し続けています。今やグローバル資本主義と政治的分断の加速は前提となり、メディアを取り巻く社会や文化、私たち人間の状況は、かつてないほどの大きな変化にさらされています。「メディア論」は常にアップデートされ続ける研究分野であり、その意味でも現代社会を考える上でますます重要な分野になっていると言えるでしょう。
本書では、メディア論における近年の新たな動向や、メディア理論の歴史的な系譜を現代的な視点で整理し直し、さらにメディアの実践を横断的にとらえて論じることを試みた、これまでになかったメディア論の入門書です。
豪華執筆陣による、メディア論の新たな射程を編み直す一冊!
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◆シリーズ[クリティカル・ワード]
現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズです。
基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを読者に提供する新しい入門書です。
メディア掲載
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「CINRA」でご紹介いただきました。
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「新聞研究」(2021年5月号)でご紹介いただきました。
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「美術手帖」(2021年6月号)でご紹介いただきました。
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「図書新聞」(2021年6月26日号)でご紹介いただきました。
目次
はじめに 門林岳史・増田展大
第1部 理論編──メディア理論の現在
1 身体 門林岳史・増田展大
2 知能 原島大輔
3 遊び/ゲーム 吉田寛
4 ニューメディア/ソフトウェア 堀潤之
5 アーカイヴ 大久保遼
6 メディアエコロジー 門林岳史
7 プラットフォーム 増田展大
8 政治とメディア 清水知子
9 資本とメディア 水嶋一憲
10 ポストヒューマン 飯田麻結
第2部 系譜編──メディア思想の潮流
1 フランクフルト学派 竹峰義和
2 マクルーハンとトロント学派 門林岳史
3 ドイツのメディア哲学 鈴木恒平
4 カルチュラル・スタディーズとメディア論 毛利嘉孝
5 ジェンダーとメディア 田中洋美
6 ポストメディア 門林岳史
7 アートとメディア 馬定延
第3部 歴史編──メディア考古学の実践
1 複製メディア 増田展大
2 出版メディア 門林岳史
3 画像メディア 増田展大
4 聴覚メディア 福田貴成
5 音声メディア 秋吉康晴
6 触覚メディア 水野勝仁
7 没入メディア 岩城覚久
8 憑依メディア 浜野志保
9 ヴァナキュラー・メディア 前川修
10 スクリーン・メディア 大久保遼
11 インターネット・メディア 喜多千草
12 モバイル・メディア 光岡寿郎
13 観光メディア 佐藤守弘
14 物流メディア 遠藤英樹
15 通信メディア 飯田豊
16 金融メディア 山本泰三
17 軍事メディア 松谷容作
18 司法メディア 橋本一径
人名索引
事項索引
プロフィール
(50音順)
[編著]
門林岳史(かどばやし・たけし)
関西大学文学部映像文化専修教授。専門はメディアの哲学、映像理論。著書に『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?──感性論的メディア論』(NTT出版、2009年)、訳書にマーシャル・マクルーハン&クエンティン・フィオーレ『メディアはマッサージである──影響の目録』(河出文庫、2015年)、ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン──新しい人文学に向けて』(監訳、フィルムアート社、2019年)など。
増田展大(ますだ・のぶひろ)
九州大学大学院芸術工学研究院講師。専門は写真史・写真論、映像メディア論。著書に『科学者の網膜──身体をめぐる映像技術論:1880-1910』(青弓社、2017年)、『インスタグラムと現代視覚文化論──レフ・マノヴィッチのカルチュラル・アナリティクスをめぐって』(分担執筆、ビー・エヌ・エヌ、2018年)、『スクリーン・スタディーズ──デジタル時代の映像/メディア経験』(分担執筆、東京大学出版会、2019年)など。
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[著]
秋吉康晴(あきよし・やすはる)
京都精華大学等非常勤講師。専門は芸術学・音響技術論。論文に「電話の考古学──話す機械、音響合成器、フォノトグラフ」(『中部大学人文学部論集』51巻3号、2017年)、訳書にロバート・ジーグラー『世界の音楽大図鑑』(共訳、河出書房新社、2014年)など。
飯田麻結(いいだ・まゆ)
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ非常勤講師。専門はフェミニズム、メディア論。主な論文に「カップケーキの寓話──ロンドン暴動にみる情動・国家の身体・ホモナショナリズムの接続」(『ジェンダー&セクシュアリティ』第11号、2016年)など。
飯田豊(いいだ・ゆたか)
立命館大学産業社会学部准教授。専門はメディア論、メディア技術史、文化社会学。著書に『テレビが見世物だったころ──初期テレビジョンの考古学』(青弓社、2016年)、『メディア論の地層──1970大阪万博から2020東京五輪まで』(勁草書房、2020年)など。
岩城覚久(いわき・あきひさ)
近畿大学文芸学部文化デザイン学科准教授。専門は感性学。論文に“Toward an Aesthetics of Inter-space: From Microgravity Environment to Multi-gravity Environment,” Art Style: Art & Culture International Magazine 4 (4), 2019など。
遠藤英樹(えんどう・ひでき)
立命館大学文学部地域研究学域教授。専門は観光社会学、現代文化論、社会学理論。著者に『ツーリズム・モビリティーズ――観光と移動の社会理論』(ミネルヴァ書房、2017年)、『現代観光学――ツーリズムから「いま」がみえる』(新曜社、2019年)、Understanding Tourism Mobilities in Japan (Routledge, 2020) など。
大久保遼(おおくぼ・りょう)
明治学院大学社会学部社会学科准教授。専門はメディア論・社会学・映像文化史。著書に『映像のアルケオロジー――視覚理論・光学メディア・映像文化』(青弓社、2015年)、共編著に『スクリーン・スタディーズ――デジタル時代の映像/メディア研究』(東京大学出版会、2019年)など。
喜多千草(きた・ちぐさ)
京都大学大学院文学研究科メディア文化学専修教授。専門は技術文化史。著書に『インターネットの思想史』(青土社、2003年)、論文に「『社会的責任を考えるコンピュータ専門家の会(Computer Professionals for Social Responsibility)』の成立と発展」『史林』第101巻1号、2018年など。
佐藤守弘(さとう・もりひろ)
同志社大学文学部美学芸術学科教授。専門は芸術学、視覚文化論。著書に『トポグラフィの日本近代――江戸泥絵・横浜写真・芸術写真』(青弓社、2011年)、訳書にジェフリー・バッチェン『写真のアルケオロジー』(共訳、青弓社、2010年)など。
清水知子(しみず・ともこ)
筑波大学人文社会系准教授。専門は文化理論、メディア文化論。著書に『文化と暴力──揺曳するユニオンジャック』(月曜社、2013年)、『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求──ポスト・ヒューマン時代のメディア論』(共著、東京大学出版会、2019年)、訳書にジュディス・バトラー『アセンブリ──行為遂行性・複数性・政治』(共訳、青土社、2018年)など。
鈴木恒平(すずき・こうへい)
ベルリン工科大学人文学部哲学・文学史・科学史・技術史学科文学専修客員研究員。専門はメディア史、視覚文化史。共編著にZum Planetarium: Wissensgeschichtliche Studien (Wilhelm Fink, 2018)。
竹峰義和(たけみね・よしかず)
東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻准教授。専門はドイツ思想史、映像文化論。著書に『アドルノ、複製技術へのまなざし――〈知覚〉のアクチュアリティ』(青弓社、2007年)、『〈救済〉のメーディウム――ベンヤミン、アドルノ、クルーゲ』(東京大学出版会、2016年)、訳書にテオドール・W・アドルノ『模範像なしに――美学小論集』(みすず書房、2017年)など。
田中洋美(たなか・ひろみ)
明治大学情報コミュニケーション学部准教授。専門は社会学、ジェンダー研究、ジェンダーとメディアに関する理論・実証研究。著書・訳書に『みる/みられるのメディア論』(共著、ナカニシヤ出版、2021年、近刊)、『ボディ・スタディーズ』(監訳、晃洋書房、2017年)など。
橋本一径(はしもと・かずみち)
早稲田大学文学学術院教授。専門は思想史、表象文化論。著書に『指紋論──心霊主義から生体認証まで』(青土社、2010年)、編書に『〈他者〉としてのカニバリズム』(水声社、2019年)、訳書にJ゠N・ミサ他編『ドーピングの哲学』(新曜社、2017年)、アラン・シュピオ『フィラデルフィアの精神』(勁草書房、2019年)など。
浜野志保(はまの・しほ)
千葉工業大学創造工学部教授。専門は視覚文化史、周縁科学文化史。著書『写真のボーダーランド──X線・心霊写真・念写』(青弓社、2015年)。
原島大輔(はらしま・だいすけ)
専門は基礎情報学、表象文化論。著書に『AI時代の「自律性」──未来の礎となる概念を再構築する』(共著、勁草書房、2019年)、『基礎情報学のフロンティア──人工知能は自分の世界を生きられるか?』(共著、東京大学出版会、2018年)など。
福田貴成(ふくた・たかなり)
東京都立大学人文社会学部准教授(表象文化論教室)。専門は聴覚文化論。論文に「修羅の音を聴く──『シン・ゴジラ』におけるモノとステレオ」(『ユリイカ』2016年12月臨時増刊号〈総特集『シン・ゴジラ』とはなにか〉)など。
堀潤之(ほり・じゅんじ)
関西大学文学部映像文化専修教授。専門は映画研究、表象文化論。編著書に『越境の映画史』(共編、関西大学出版部、2014年)、『ゴダール・映像・歴史』(共編、産業図書、2001年)、訳書にアンドレ・バザン『オーソン・ウェルズ』(インスクリプト、2015年)、レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』(みすず書房、2013年)など。
前川修(まえかわ・おさむ)
近畿大学文芸学部教授。専門は写真論、感性学。著書に『痕跡の光学──ヴァルター・ベンヤミンの「視覚的無意識」について』(晃洋書房、2004年)、『イメージを逆撫でする──写真論講義 理論編』(東京大学出版会、2019年)、『イメージのヴァナキュラー──写真論講義 実例編』(東京大学出版会、2020年)など。
馬定延(ま・じょんよん)
明治大学国際日本学部特任講師。専門は映像メディア学、現代美術。著書『日本メディアアート史』(アルテスパブリッシング、2014年)、共編著書『SEIKO MIKAMI 三上晴子──記録と記憶』(NTT出版、2019年)、論文「光と音を放つ展示空間──現代美術と映像メディア」(『スクリーン・スタディーズ』東京大学出版会、2019年)など。
松谷容作(まつたに・ようさく)
國學院大學文学部哲学科准教授。専門は美学、芸術学、視覚文化論。共著に『スクリーン・スタディーズ──デジタル時代の映像/メディア経験』(東京大学出版会、2019年)、訳書にロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン──新しい人文学に向けて』(共訳、フィルムアート社、2019年)など。
水嶋一憲(みずしま・かずのり)
大阪産業大学経済学部教授。専門はメディア文化研究、社会思想史。著書に『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求──ポスト・ヒューマン時代のメディア論』(共著、東京大学出版会、2019年)、訳書にアントニオ・ネグリ、マイケル・ハート『コモンウェルス──〈帝国〉を超える革命論』(上下巻)(監訳、NHK出版、2012年)など。
水野勝仁(みずの・まさのり)
甲南女子大学文学部メディア表現学科准教授。専門はメディアアート、インターフェイス理論。主なテキストに「モノとディスプレイとの重なり」「サーフェイスから透かし見る」(『MASSAGE』)、「インターフェイスを読む」、「メディウムとして自律したインターフェイスが顕わにする回路」(『ÉKRITS』)など。
光岡寿郎(みつおか・としろう)
東京経済大学コミュニケーション学部准教授。専門はメディア研究、文化研究。著書に『変貌するミュージアムコミュニケーション──来館者と展示空間をめぐるメディア論的想像力』(せりか書房、2017年)、『スクリーン・スタディーズ──デジタル時代の映像/メディア経験』(大久保遼との共編、東京大学出版会、2019年)など。
毛利嘉孝(もうり・よしたか)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。専門は社会学。メディア/文化研究。主著に『バンクシー 』(光文社新書、2019年)『ストリートの思想』(NHK出版、2009年)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房、2012年)、編著に『アフターミュージッキング』(東京藝術大学出版会、2017年)、共著に『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求』(東京大学出版会、2019年)等。
山本泰三(やまもと・たいぞう)
大阪産業大学経済学部教員。専門は現代資本主義論、経済学方法論。共著に『認知資本主義』(ナカニシヤ出版、2016年)、論文に「なぜ経済学の行為遂行性が問題となるのか──M・カロンらの所説について」(『季刊経済研究』39(1・2)、2019年)など。
吉田寛(よしだ・ひろし)
東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専門は美学芸術学、ゲーム研究。著書に『絶対音楽の美学と分裂する〈ドイツ〉』(青弓社、2015年)、『ゲーム化する世界──コンピュータゲームの記号論』(共著、新曜社、2013年)、『賭博の記号論──賭ける・読む・考える』(共著、新曜社、2018年)など。