絵には何が描かれているのか

絵本から学ぶイメージとデザインの基本原則

モリー・バング=著
細谷由依子=訳
発売日
2019年11月26日
本体価格
2,200円+税
判型
B5変形・並製
頁数
152頁
ISBN
978-4-8459-1834-8
Cコード
C0070
刷数
3刷

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形、線、色、空間、大きさ……絵を構成する要素は、何を、どう伝えているのか?
人の感情を惹きつけるために、それらは具体的にどのように作用しているのか?
イメージを本当に理解することとはどういうことか?

世界各国で読み継がれてきた「ビジュアル・リテラシーの教科書」の古典、待望の翻訳!

☆ノーム・チョムスキー(言語学者、哲学者)推薦
☆山本貴光氏による日本語版特別解説付き

「斜めの線にダイナミックさを感じるのはなぜ?」
「曲がった線は心を落ち着かせてくれるのはなぜ?」
「赤は熱さを感じて、青は冷たさを感じるのはなぜ?」
「真ん中に配置したものが重要に思えるのはなぜ?」

視覚的なイメージがどのように作用し、人々の感情を惹きつけるのか、あるいは興味を失わせるのか? 1枚の絵はどのようにして物語を伝えるのか?
絵本作家として数々の賞を獲得してきた著者が、シンプルでありながらも核心をついたアイデアによって、「絵のはたらき」の基本原則を解き明かしていきます。

本書は1991年の原書刊行以来、現在でも古びることなく、世界中のアーティスト、デザイナー、イラストレーター、写真家などに影響を与えてきました。絵の作用とその原則を知ることで、作ること/見ることについての新しい視点が得られ、理解を深めることができます。

さらには認知心理学や描写の哲学、ストーリーテリングといった分野においても新たな発見をもたらす、ビジュアル・リテラシーを学ぶための新しい定番書となるでしょう。

メディア掲載

選書ブックフェア 《心を動かす絵のひみつ》

選書タイトルと過去の開催の様子はこちらで公開しております。
http://www.kaminotane.com/2020/02/19/8484/

今後、開催を希望される書店様を随時募集しております。開催いただける店舗様には、もれなくフェア用パネル、選書リスト、選書全点POP、フェア用ブックレットをご用意いたします。

書籍『絵には何が描かれているのか』ならびに当フェアは、「絵とそれを見る人の認知のしくみ」や「そこから生じる思考や感情の動きの探求」がテーマとなっています。時代に流されることがなく、視覚デザインや脳科学などにおいて新たな発見をもたらす当フェアの開催を、どうぞご検討ください。

この本は絵本を作りたい人はもちろんのこと、マンガやイラストやポスターのようなグラフィックデザイン、複数のカットを並べて作る映像、ウェブやアプリのようなコンピュータを使ったやりとりのあるインタラクティヴな表現、PowerPointやKeynoteのようなプレゼンテーションソフトで作るスライド、配布資料や説明書など、なんらかの画面構成や手順が重要な表現に携わるすべての人の役に立つ。また、絵画やグラフィックを見る目を豊かにしてくれるので、何かを作る用事がない人も見ておいて損はない。
(中略)
絵本を読むとき、読者の心身に変化が生じる。(中略)絵本を手にして、ページを繰り、目で眺める。目にしたイメージによって認識や感情、あるいは体の変化が生じる。つまり何事かを体験する。絵本を作るということは、実はこうした読者の体験、心身に生じる変化をデザインすることに他ならない。と、こんなふうに抽象的に言えば、ややこしくなるところ、本書では具体例を通じて実感しながら理解できるように工夫が凝らされている。
(中略)
これは、絵とそれを見る人間に生じる変化、もう少し詳しく言えば、絵とそれを見る人の認知のしくみ、そこから生じる思考や感情といった心理の動きの関係を探究する本なのだ。体験をデザインするための本、認知をデザインするための本といってもよい。
(中略)
あらゆる優れた本がそうであるように、本書は繰り返し読むに値する。読者がそのとき抱いている関心に応じて、そのつど発見があるに違いない。
──山本貴光(文筆家、ゲーム作家)、本書解説より抜粋

推薦コメント

「素晴らしく独創的な本」
──ノーム・チョムスキー(哲学者、言語学者)

「まさにビジュアル・リテラシーの教科書だ。イメージの理解に関心のあるすべての者にとっての必読書」
──ブライアン・セルズニック(児童書作家、『ユゴーの不思議な発明』著者)

「形、線、空間、色の持つ力やその微妙なはたらきを探究し、解釈していく著者の旅路を目の当たりにできるとは、なんと楽しいことだろう。これはデザインについての退屈な教科書ではない。私たちの目の前で、ひとつひとつの秘密が解き明かされていくその発見のプロセスを、わかりやすく、実に興味深く見せてくれている。ビジュアル・リテラシーのスキルを拡げたい人のための入門書として、本書以上のものはないだろう。」
──デビッド・マコーレイ(作家、『道具と機械の本』著者)

目次

はじめに

絵の中に感情的な意味を組み立てる

「絵のはたらき」の基本原則

絵本を作るときに意図したことと、
それをどのように形にしたのか

最後は、あなた自身の本能を信じて

さあ、はじめましょう

日本語版解説
魔法の秘密を明かす本 山本貴光

プロフィール

[著]
モリー・バング(Molly Bang)
絵本作家。1943年、ニュージャージー州プリンストン生まれ。これまでに40冊近くの絵本を出版し、コールデコット賞、ケイト・グリーナウェイ賞、シャーロット・ゾロトウ賞などを受賞。
著書に、コールデコット賞オナーブック受賞作『ソフィーはとってもおこったの!』や、『わたしのひかり』『いきているひかり』『海のひかり』などがある。

[訳]
細谷由依子(ほそや・ゆいこ)
1996年より数多くのインタビュー通訳、翻訳を手掛け、2000年以降はフリーランスとして出版翻訳、映像制作・翻訳者、日本語バリアフリー字幕ライターとして活動する。主な翻訳歴に『色と意味の本』、『本を読むときに何が起きているのか』、『模様と意味の本』、『イラストでわかる映画の歴史』(フィルムアート社)、『It’s All For You』(青幻社)などの書籍や、『ラプシーとドリー』、『さとにきたらええやん』、『躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像』などの映画字幕、また『がんになる前に知っておくこと』などの日本語バリアフリー字幕を手がける。