ウームうまい、ワッハッハまずい!
食いしん坊のリンボウ先生が煩悩する
折々の美味、そして珍味怪味なるエッセイ集
日本人が感じる、自然な素材の「底ぢから」を愛してやまないリンボウ先生。
四六時中「食べる」ことを思い、日本全国を行脚しながら、未知の美味・珍味に出会います。
日本という多彩な食材、調理法、調味料に恵まれた国で、
決して豪華ではなくとも、季節の食材を味わい、
なつかしい思い出や旅先の味を感じながら、独特のユーモアで綴っています。
[全61編のエッセイと、リンボウ先生による描き下ろしのイラストを多数収録]
三つ子の魂百までというとおり、
私は、三歳の童子のころから、
ほんとうに食いしん坊であったので、
算数の公式はいっこうに暗記できなかったが、
飲んだり食べたりした味わいについては、
ごく幼時のことから鮮明に記憶しているのは、
われながら呆れるばかりである。そういう嚢中〈のうちゅう〉の食べ物の記憶をあれこれと掘り起こし、
あるいは各地に未知の味を探訪し、
あるいはまた古今の書物のなかに
飲食〈おんじき〉の綺談〈きだん〉を探り探りして、
書き続けたのが、この小著である。
読者諸賢よろしくわが食べ物行脚〈あんぎゃ〉に
同行〈どうぎょう〉していただければ幸いである。─「生きることは食べること」序文にかえてより─
メディア掲載
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産経新聞 2018年7月22日号
「食材がもつ『底ぢから』への愛があふれるエッセー集」 -
クロワッサン 974号
「こういう本の楽しさは頭から読まなくてもいいところにあるんです。 1話完結ものなので、読み手もどこから読んでもかまわない」 -
月刊なごや 2018年6月号
「『食べること』の面白さを堪能できる一冊」 -
日刊ゲンダイ 2018年6月10日号「週末に読みたいこの1冊」
「食べることに本気な著者の筆で描かれる食べ物の数々は、 食感から舌に広がる味わいまでが手に取るように伝わってきて、 実にうまそう。読んでいるうちに、思わずよだれが垂れそうだ。」 -
毎日新聞 2018年5月13日号 評者:川本三郎
「本書自体、散し寿司のよう」 -
週刊新潮 2018年5月3日・10日ゴールデンウィーク特大号 評者:川本三郎
「自分で料理をするからこそ食は天の恵みと分かる。」
目次
生きることは食べること――序にかえて
一の章 おいしい毎日
花びら餅のなぞ
折々の味わい〈春〉
信州そば行脚
野菜焼きの愉しみ
筍をどっさりと
おいしい一冊
折々の味わい〈夏〉
月山竹の香り
粽食べ食べ
家めしは飽きない
湯通しの効用
野菜大尽なる日々
山里のご馳走
糠味噌の養生
Jiji’s Café
秘伝、なんぞ焼き
折々の味わい〈秋〉
庭の恵み
なまめかしい食欲
蕎麦一瞬の悦楽
店屋物という言葉
○○ご飯という快楽
白いご飯の味
歌うための飲食
梨のピザ
蜂蜜コーヒー
食い放題という悪趣味
折々の味わい〈冬〉
大根の底ぢから
寿司の食いかた
ギョウザはアッサリと
鮒飯の歯ごたえ
赤身に限るねぇ
見習う心
この白いものは
スッポンの季節
一年に一度の七面鳥
ご馳走としてのご飯
二の章 懐かしい味
お初の味
あのキャラメルは何処に
皮を食べるという愉しみ
アイスクリームと研究
夏みかんの皮懐かし
サマープディング
湘南電車とアイス
安曇野は懐かしきかも
水飯というもの
風邪の食事
ロンドンの赤坂
アヒルの掌
明治二十年の外国料理法
もう一つの『料理独案内』
この豚は喰いたいぞ!
饅頭の賛
禁忌の味
目玉を喰う
こんなものも食べたぞ
大蛇料理
神楽坂の煮凝り
鄙の風流
収穫の喜悦
プロフィール
[著]
林望 (はやし・のぞむ)
作家・国文学者。1949年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院博士課程満期退学。
東横学園女子短期大学助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学・国文学。
『イギリスはおいしい』(平凡社)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Cambridge University Press、P.コーニツキと共著)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞、『謹訳 源氏物語』(全10巻、祥伝社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『謹訳平家物語』(全4巻、祥伝社)など古典文学の謹訳をはじめ、エッセイ、小説、歌曲の詩作、能楽など幅広く執筆。食をテーマにした著書に『旬菜膳語』(文春文庫)、『家めしの王道』(角川SSC文庫)、『いつも食べたい!』(ちくま文庫)などがある。俳号は宇虚人。