第二次世界大戦中のアメリカで、強制退去によって追われた日系人の一家。
彼らはユタ州の砂漠にある収容所に送られる。家族それぞれの視点から語られる、有刺鉄線の内側で過ごす日々……。
オオツカの長編デビュー作、待望の新訳。
「かつて、「日本人」であるというだけで、囚われたひとたちがいる。かれらの普通の日々を狂わせたのは、「神」だった。」
――温又柔(小説家)
「歴史のけたたましい音の下でひっそりと息を殺していた、名もなき声の数々が、物語のなかでこだまする。不穏で、残酷で、そして美しい言葉が」
――藤井光(アメリカ文学研究者)
カリフォルニア州バークレーで暮らす日系アメリカ人家族に突然訪れた不幸。
パール・ハーバーの夜、父親が尋問のためFBIに連行された。
そして翌1942年春のある晴れた日、街のいたるところにあの告知が現れた。「強制退去命令十九号」。
残された母親とその子ども二人が、込み合う列車に乗り込み、たどり着いたのは、ユタの埃っぽい砂漠の有刺鉄線で囲われたバラックの町だった…。
「天皇が神だった」あの時代、名もなき家族の人生が深く、大きくゆさぶられる…。
『屋根裏の仏さま』でPEN/フォークナー賞を受賞した、ジュリー・オオツカのデビュー作が小竹由美子の新訳で復刊。
天皇は人間なのか、それとも神なのか?
太平洋で日本の戦艦が魚雷で撃沈されたら、嬉しいと思うか、悲しいと思うか?
この戦争はどちらが勝つと考えているか?
(本文より抜粋)
【イベント】
■2018年11月16日(金)19:30~21:30(開場19:15)
場所:CAVA BOOKS(京都) 小竹由美子×温又柔×藤井光トークイベント
詳細はこちら
■2018年11月23日(金)19:00~21:00(開場18:30)
場所:B&B
小竹由美子×小林エリカ トークイベント
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メディア掲載
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朝日新聞 評者:西崎文子
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『週刊金曜日』 評者:倉本さおり
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Numero TOKYO
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『本の雑誌』12月号 評者:江南亜美子
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『Pen』〈2018年12/1号〉 評者:今泉愛子
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毎日新聞 評者:倉本さおり
目次
強制退去命令十九号
列車
あのころ、天皇は神だった
よその家の裏庭で
告白
訳者あとがき
プロフィール
[著]
ジュリー・オオツカ(Julie Otsuka)
1962年、カリフォルニア州パロアルトに生まれる。父は戦後渡米した一世で母は二世。イェール大学で絵画を学び、コロンビア大学大学院で美術学修士号取得。二人の弟は弁護士と政治哲学及び倫理学講師。2002年、大学院在学中に書き始めた本書でデビュー、注目を浴び、アレックス賞、アジア系アメリカ人文学賞を受賞。2004年、グッゲンハイム奨学金を受ける。2011年、二作目の『屋根裏の仏さま』を刊行、PEN/フォークナー賞、フランスのフェミナ賞外国小説賞、ドイツのアルバトロス文学賞ほかを受賞、全米図書賞最終候補となった。
[訳]
小竹由美子(こたけ・ゆみこ)
1954年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。訳書にアリス・マンロー『イラクサ』『ディア・ライフ』『ジュリエット』、ジョン・アーヴィング『神秘大通り』『ひとりの体で』、ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』(共訳)、ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』、ジム・シェパード『わかっていただけますかねえ』など。