「英雄の旅」と対をなす「ヒロインの旅」、決定版!
ヒーローではなく、ヒロインはどのような旅をたどるのか?
現代女性の生き方について考えたい方から、小説・脚本・ゲーム・ラノベ等の物語創作者まで。女性の精神の豊かな領域を描く。
本書はジョゼフ・キャンベル氏の有名な「英雄の旅」(ヒーローズ・ジャーニー)をもとに、英雄ではなく「ヒロイン」はどのような旅をたどるのかを、ステップごとに解説した「ヒロインの旅」の決定版です。
THE HEROINE’S JOURNEY:Woman’s Quest for Wholenessという原題の通り、男性的な価値観の社会において、女性が完全な存在になるには何が必要か? 失われた女性性と男性性の融合=「全体性」を目指して、ヒロインは旅をしていきます。英雄にはない複雑なステップや、一見目には見えない大きな心の変化、内面の世界の変遷について丁寧に追い、神話やおとぎ話、古代のシンボルや女神、現代人が見る夢を分析しながら、女性性の価値と意義、リアリティーを解き明かします。
心理学の研究者、現代の女性として生き方を見つめ直したい方、神話や心理学を扱った文学や物語論に関心のある方、小説や脚本、漫画、ゲームシナリオのなどの物語創作者にとっても、有益な1冊です。
「私は心理療法家として三十代から五十代の女性の悩みを聞いてきた。彼女たちは人生の意味を見失い、むなしさや孤独、怒りを訴える。みな典型的な「英雄の旅」 を歩み、学問や仕事で成果を上げた。なのに途方に暮れるのだ。「いったい、何のため?」と。 頑張って上に行くほど多忙になり、過労で体調を崩す。何が間違っていたのだろう。彼女たちの話を聞くと、本来のあり方を否定しているように思える。
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女の生き方と「英雄の旅」の関係についてジョゼフ・キャンベル氏に話を伺った。 一九八一年のことだ。「英雄の旅」はヒロインにも当てはまるが、失なわれた女性性の癒しが必要だ。
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女も旅をする。自分の価値を知り、心の傷を癒して女らしさを享受する旅だ。
それは大切な内面の旅であり、バランスがとれた人格形成を目指して歩む。
この旅はヒロインにとって難しい。目印も案内人も地図もなく順番通りのルートもない。人に認められることもほとんどない。むしろ無視され、邪魔される。
この本で述べる「ヒロインの旅」はジョゼフ・キャンベル氏の「英雄の旅」から導き出したものである。 だが、使う用語も形も大変女性的だ。私は自分の背中の痛みから、それを思いついた。
★原書は古典の名著として知られるベストセラー。心理学研究の定番書
★世界12ヵ国以上で翻訳された実績
★時代を問わずに読み継がれる、古びない内容
「女性性のエッセンスがわかる本。著者の個人的体験と丁寧なリサーチが織り交ざり、緻密で温かく、深い洞察を感じさせてくれる」
──キャロル・S・ピアソン(『英雄の旅』著者)
「現代女性が体験する『ヒロインの旅』に豊かな洞察をくれる重要な一冊。精神の女性性を模索し、個人だけでなく文化にも変革をもたらす気づきを与えてくれる」
──ジョアン・ハリファックス博士
「女神とは女の子から姫になってからの、いろんな葛藤があって、聖母 キャリアウーマン 近所の婆、上記の選択肢をくぐり抜けた進化形だってことよく理解できました(笑)一言でいうと女性の異次元取扱説明書です。異次元レベルで理解できます。この本は30歳超えた女性にオススメです」
──40代・映画学校関係者より
目次
第一章 女らしさを離れて
女らしさの否定
旅の始まり:母離れ
恐ろしい母と「ネガティヴ・フェミニン」
母を捨てる
よい母親からの分離
女の身体の拒絶
母に拒絶される
第二章 男らしさに自分を近づける
父の娘
仲間としての父親
パパの娘:女性性の吸収
父を求めて:仲間を集め
肯定的な男性の不在
完璧中毒
父親のルールを学ぶ
父親たちへの通告
第三章 試練の道
怪物やドラゴンとの対決
依存の神話
双頭のドラゴン
女はだめだという神話
鬼退治
恋愛の神話
プシュケとエロス
第四章 成功の幻想
スーパーウーマンの神話
女性神話に反動して
嘘の達人
「まだ足りない」という思い込み
第五章 拒否する強さ
裏切られた感覚
干からびた魂
父の裏切り:イピゲネイア
神の裏切り
男性社会の娘たち
拒否したらどうなるか
拒否すること:王様殺し
第六章 通過儀礼と女神への下降
女性の通過儀礼
失なわれた自分のかけらを求めて
母/娘の謎
穀物の女神
イナンナの冥界下り
ダーク・マザーとの出会い
苦悩と復活を意識する
第七章 女性性を見直す
芋虫の姿の赤ん坊
身体/心の分離
女性のセクシュアリティー
家族が発するメッセージ
これが私の身体
心に蓋をする
切り離された嘆き
スパイダー・ウーマン
維持する女
創造者:変わる女とオシュン
器を磨く
第八章 母/娘の断絶を癒す
母なき娘たち
宿命としての母
自分の母を探して
神聖なる平凡さ
自然やコミュニティーの中の癒し
祖母の導き
神話を創作する女
女神像の起源
暗い夢の女
女の言葉
闇への回帰:マッドウーマンの訴え
女性の力を取り戻す
第九章 ハートがある男を探して
男性性の修復
男性性が作る壁
マチズマの解放
聖婚
叡智がある女、ハートがある男
女性性の力を癒す:ヒルデガルト
聖なる結合の夢
第十章 二元性を超えて
男女の亀裂を修復する
円の視点
神の二元性
ケルト系キリスト教
生き方としての円
プロフィール
[著]
モーリーン・マードック (Maureen Murdock)
ユング心理学を基本に神話やストーリーテリングの知識を織り交ぜ、男女の成長過程を豊かにするワークショップや講義、著述を行う。神話的な事象を自らの人生に見出し、アルツハイマー病を発症した実母との体験を綴ったエッセイ『Unreliable Truth: On Memoir and Memory』をはじめ、父と娘の軋轢を分析した『Fathers’ Daughters: Breaking the Ties that Bind』、児童対象のイメージ療法について述べた『Spinning Inward: Using Guided Imagery with Children for Learning, Creativity & Relaxation』他、多数の著書を発表。芸術方面でも活動歴があり、写真とエッセイ『Changing Woman: Contemporary Face of Goddess』プロジェクトなどを手掛ける。カリフォルニア州ベニス在住。
[訳]
シカ・マッケンジー (Shika Mackenzie)
関西学院大学社会学部卒。「演技の手法は英語教育に取り入れられる」とひらめき、1999年渡米。以後ロサンゼルスと日本を往復しながら、俳優、通訳、翻訳者として活動。教育の現場では、俳優や映画監督の育成にあたる。ウェブサイト英語劇ドットコムを通じ、表現活動のコンサルティングも行なっている。訳書に文化庁日本文学普及事業作品『The Tokyo Zodiac Murders』(英訳、共訳)、『魂の演技レッスン 22 』『“役を生きる” 演技レッスン』、『監督と俳優のコミュニケーション術』、『監督のリーダーシップ術』、『新しい主人公の作り方』、『ストラクチャーから書く小説再入門』、『クリエイターのための占星術』『世界を創る女神の物語』(フィルムアート社)他。