半世紀を経て待望の名著復刊。
「構造」から映画を考える、シナリオ創作の代表的入門書!
1930 年代ごろより活躍し、世界的にも名高い監督・小津安二郎の通称「小津組」の中核を担ったシナリオライター・野田高梧による、「脚本」の役割を真摯かつ実践的に説いた画期的な歴史に残る一冊。
本書は日本の脚本術の先駆けであり、1952 年の初版刊行以来、何度も版を重ね改訂されてきました。取り上げるのは40~50 年代の邦画、洋画、文学作品などですが、これらは今日においても作品づくりの「基礎」であり、「根底」を示しています。これまで数多くの脚本家、小説家の生涯の友として愛用され、名だたる人材を育ててきました。
最後に版を重ねてから16年。長らく絶版状態にあった本書の復刊を望む声は多く、今日においても脚本家、シナリオライターのみならず、あらゆる創作者にとって必携の一冊となっています。
『晩春』、『麦秋』、『秋刀魚の味』、そして『東京物語』……。
小津安二郎監督の代表作を担い、日本映画の黄金期を築いた伝説的脚本家によるシナリオ創作論です。
目次
序説
映画の発生
映画の文法
独創性の基礎
概論
映画とは
映画美について
文学性について
大衆性について
論理性について
基本Ⅰ
虚構の真実
事実の整理
映画の特性(A)
映画の特性(B)
映画の特性(C)
基本Ⅱ
シナリオの位置
シナリオの技法
文章について
時制の問題
長さの問題
構成
題材
テーマ(主題)
ストーリー(筋)
プロット(はこび)
コンストラクション(構成)
局面
劇的局面の発生
劇的構成の原則
発端
ファースト・シーン
葛藤
危機
クライマックス
結末
映画的構成
シナリオ的構成
シナリオの視覚性
映画的話術
性格
性格の問題
性格描写
性格の発展と変化
人物の数
心理の具象化
結語
あとがき
シナリオ用語
後記
野田高梧年譜
プロフィール
[著]
野田高梧(のだ・こうご)
1893年、北海道函館で生まれる。早稲田大学卒業後、1924年、松竹蒲田脚本部入社。第一作『骨盗み』(広津柳浪 原作)を脚色し、以後一貫して松竹の代表的脚本家として活動。1927年には小津安二郎の監督昇進第一作『懺悔の刃』を書く。1936年、初代日本シナリオ作家協会会長。1938年の『愛染かつら』は爆発的ヒット作となる。
戦後は『晩春』(1949年)以降、『麦秋』『東京物語』の「紀子三部作」を始めとする小津安二郎との共同脚本でも知られ、小津の盟友として活躍した。1968年に死去。