アムステルダム、香港、モスクワ、ニューヨーク、台北の、都市の歴史と市民参加型のイノベーション
本書は、ボトムアップ型の都市づくりについて、現場の実践者の知恵とノウハウを徹底的に開示した実践者のための本です。地域社会のニーズや課題、住居者や市民1人1人の願いに応える対話型のプロセスを通じて街を慎重に(再)構築するために、トップダウナーがとるべきアクションや知るべき歴史文脈を伝えることを目的としています。
「創造都市(クリエイティブ・シティ)」「持続可能な都市(サステナブル・シティ)」同様、「ボトムアップ都市」も都市について考える主流のモードになりました。新たな恊働的都市づくりの時代におけるボトムアップとトップダウンプレイヤーの連携の可能性と、実現のプロセス、メカニズムを探ります。
世界中5つの都市、【アムステルダム、香港、モスクワ、ニューヨーク、台北】でのそれぞれ4つの事例を通して、市民によるボトムアップのイニシアティブはどうとられているのか、そのダイナミックで力強いプロセスと結果を解説、分析しています。
また、世界の有名建築事務所《OMA/MVRDV/UNStudio/Next Architects》のインタビューを掲載!建物や都市部の設計プロセスに、エンドユーザーやコミュニティをどのように参加させられるかを示唆していきます。
メディア掲載
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ブレーン 12月号 エディターズ ブックセレクトにて紹介されました!
目次
[まえがき]
[イントロダクション]
理論的な枠組み
本書の目的と編集方針
建築事務所
調査設計(5つの地域のケーススタディについて)
プロジェクトが行われた場所
5つの地域、比較データ
参考文献
[アムステルダム]
アムステルダム 都市開発の文脈
Case1 カスコラント・コーレンキット
Case2 「この両手で世界は変えられる」プロジェクト
Case3 ノーダーパークバー
Case4 フレイブルフト
結論 流動的なソリューションを埋め込む
参考文献
[香港]
都市の更新と再生 香港でコミュニティとつながる
Case1 起動九龍東弁事処(EKEO)
Case2 コミュニティアウトリーチのためのインキュベーター機関
Case3 恊働の取り組みを築く
Case4 野菜畑からの声
結論 次の展開は?
参考文献
[モスクワ]
モスクワ イントロダクション
Case1 モスクワを 自転車都市に
Case2 ミチノにおける 協同のまちづくり
Case3 Delai Sam
Case4 コミュニティづくり
結論 メディア露出が違いを生む
参考文献
[ニューヨーク]
背景紹介:コミュニティーに目を向ける世界の不動産首都
Case1 ガーデン・オブ・エデン
Case2 BRICアーツ|メディアとアーバングラス
Case3 ニューロッツ三角広場
Case4 マニュファクチャーニューヨーク
結論 より良い連携の模索
参考文献
[台北]
台北の歴史、民主化、新自由主義
Case1 トレジャーヒル 「共生」集落
Case2 惜しかった理想郷づくり
Case3 廃墟に踊れば
Case4 グリーンライフルーズベルト
結論 ネットワークとしての都市
参考文献
[インタビュー]
実践者へのインタビュー
Interviews1 OMA/デイヴィッド・ ジャーノッテン
Interviews2 MVRDV/ヴィニー・マース/The Why Factory
Interviews3 UNStudio/キャロライン・ボス
Interviews4 NEXTアーキテクツ/バート・ルーサー
批判的分析「スーパーダッチ」から「センシブルダッチ」へ?
[総論(結び)]
建築や都市づくりへの市民参加を後押しするには
数字で見る本書
執筆者紹介
協力機関紹介
写真クレジット
プロフィール
[著]
フランチェスカ・ミアッツォ(Francesca Miazzo)
CITIES財団の常務取締役で共同創設者。イタリア人だが、オランダのアムステルダムを拠点にし、そこでメトロポリタン地域研究で研究修士を修了。CITIESが主導するプロジェクトやイニシアチブ、イベントや研究のマネジメント、コーディネーションを行っている。産業再生、食、都市、多極開発、都市廃棄物のアップサイクリングに関する世界的な都市研究を管理している。研究や調査に加えて、上述のテーマに関連したローカルの介入、都市に関連したプロセスの設計で活躍している。たとえば、世界的なプラットフォームで書籍にもなった「Farming the City」、ワークショップシリーズ「Pop-Up Farm」、ムービー形式の「CITOPIA」、「Old City Food Tour」、持続可能な交通コンセプト「Foodlogica」、近隣のプラスチックアップサイクリングのための実験室「WASTED」など。現時点では、スタバンゲル(ノルウェー)のウォーターフロント再開発のための食ベースのコンセプトに関する町への助言や、アムステルダムの食品協議会に関わる仕事もしている。また、本書の原案を作り、各都市のコンテンツのキュレーションと国際的調査の設計と製作のセットアップを行った。
トリス・キー(Tris Kee)
コミュニティプロジェクトワークショップのディレクター、香港大学建築学部助教授。建築、都市計画、専門職的実施、現代の建設、コミュニティ関与プロセスなどの分野に関心がある。ウォータールー大学で建築学修士号取得。カナダで育ち、ローマ、アムステルダム、ロンドン、バンクーバーで働いた後、香港へ移る。都市再生スキーム、地区ビジョン研究、ウォーターフロント計画調査、持続可能な都市開発、文化遺産の保全、観塘地区の市民参加など幅広いプロジェクトに取り組んできた。建築や設計へのコミュニティ参加に関わる積極的なアプローチを提唱している。2002年に、カナダ王立建築学会のRoll of Honor、オンタリオ州建築家協会のギルドメダル、優秀論文賞を受賞。2012年にPerspective誌「40歳未満の建築家40人賞」、香港グリーンビルディング評議会による2012年度グリーンビルディング賞を受賞。2012年開催の香港・深圳市ビエンナーレ都市計画と建築展のキュレーターを務め、第13回ヴェネチア建築ビエンナーレに出品、2011年に台湾の国際デザイン同盟会議および「ヴェネチア建築ワークショップ2012」に招かれて講演し、2012 年の中国芸術アカデミーのCrossover Comprehensive Conference で基調講演を行った。建築界への貢献に時間を捧げ、Hong KongInstitute of Architects Journalの編集長、香港インテリアデザイン協会と香港建築センターの執行委員会委員も務める。
[訳]
石原薫
国内メーカー、英系ブランディング会社、米系デザイン会社勤務を経て、ビジネス書等の翻訳や企業向けの翻訳に携わる。主な訳書に『よい製品とは何か』、『ウーマン・エコノミー』、『CEO を育てる』『ピクサー流創造するちから』(以上ダイヤモンド社)、『未来をつくる資本主義』(英治出版)、『Sustainable Design』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『HELLO WORLD』、『シビックエコノミー』(フィルムアート社)、など