「自分たちの場所・暮らし・メディア・政治のために。」
3.11後に新しく“動き始めた”人々を訪ね、対話し、思考した東京〜福島〜九州取材記。
3.11以降、価値観や私たちをとりまく状況は大きな変化に見舞われました。
本書は、西への移住や、移住受け入れ活動、脱原発運動、復興支援活動、あらたなメディアを作る試みなど、様々なアクションを起こし始めている方たちに出会い、話を聞いた取材記です。東京〜福島〜九州を歩き、大きく生き方を変えている人たちの一連の動きを追うことで、これからの日本の「あたらしいあり方」を考えます。
■津田大介(ジャーナリスト)、竹熊健太郎(編集家)、マエキタミヤコ(「エネシフジャパン」呼びかけ人)、bcxxx(「twitnonukes」運営)、吉原毅(城南信用金庫理事長)、松井英介(岐阜環境医学研究所所長)等、「動き出した人々」多数へのインタビュー所収。
人の変化は、きっと社会の変化を引き起こすだろう。
そう考えた僕は、3・11に実際的に現実を変える活動を始めた人々に会いに行った。
(……) 彼らのアクションは多くの人を巻き込んで、この時代の新しい流れとなりつつある。 ──(本書まえがき「変わる人々、変わる社会」より)
その他、本書に登場する人々
「ゴーゴーラボ」代表 小川智史さん/「ベクミル」立ち上げ人 高松素弘さん/ドキュメンタリー映画監督 鎌仲ひとみさん/ミュージシャン 細野晴臣さん/アートライター 工藤キキさん/環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也さん/飯館村農業委員長 菅野宗夫さん/前福島県知事 佐藤栄佐久さん/福島県の漠原人村(コミューン)主 マサイさん/玄海町議会議員 藤浦皓さん/郡山市在住Kさん、Iさん/神奈川県在住・志賀泉さん/「子どもを放射能から守るネットワーク」の方々/南相馬市在住Bさん/熊本県宇城市在住Kさん夫婦/菊池市在住NPO運営・佐々木洋之さん、Kさん一家、藤原均さん/三角のクラブ経営者・有川理さん
目次
はじめに 変わる人々、変わる社会
■第1章 変わる人々、変わらない人々
日常の終わり
◯「いいことも悪いことも含んだ雨が降っている」 ◯モノ消費の臨界
◯それでも革命は起きた
〈インタビュー〉竹熊健太郎……変わるオタク文化のリアリティ
◯消費社会のエリートたち ◯経済とともに成長した文化
◯「底抜けに明るい歌」は流行るのか
■第2章 3・11後の世界
明るみになった事実
◯夢ではない、これは現実だ ◯そして原発が爆発する
◯鎌仲ひとみさんとの出会い ◯原発問題は使い古されたネタ ◯遅過ぎた取材
◯CNICの記者会見はガラガラ ◯東電社員は何を思う? 広報課のイワモトくん
■第3章 動き出す人々
〈インタビュー〉津田大介……新たなメディアの息吹
◯オルタナティブメディアの動き ◯新しいメディアづくり
◯タブーを恐れるな ◯アクションを引き起こすメディア
◯社会を変える鍵
〈インタビュー〉マエキタミヤコ……僕たちの手に政治を取り戻す
◯孫正義さんの独演 ◯メディアが演出する政治
◯オープンな勉強の場をつくる ◯「変わらない」は思い込み
逃げるべきか、否か
◯「打つ手がない」飯田哲也さんの一言 ◯肉親を説得できない
〈インタビュー〉吉原毅……社会にモノ言う企業
◯原発の電力を使わない、PPS ◯信用金庫の理念に立ち戻る
◯自分の仕事に誇りを持つために
〈インタビュー〉bcxxx……草の根で変える
◯デモのある日常をつくる ◯デモのほんとうの効果
◯直接行動しない「心の壁」
■第4章 リメンバー福島
福島県で見たもの
◯どこまで迫るべきか ◯閑散とする駅前反原発集会
◯「入れ子」構造の差別 ◯原発行政とのたたかい 佐藤栄佐久さん
◯潰された内部告発
原発とともに生きる
◯南相馬市在住Bさん ◯飯館村が抱える葛藤
◯どこまでも逃げまくるなんて、できない
原発のある町 玄海町
◯上げられない声 ◯消えない火 ◯子どもは見ている
■第5章 放射能とたたかう
測定する、共有する
◯間違いは正せる ◯「測ってガイガー!」の立ち上げ
◯「測ってガイガー!」の使い方 ◯食品の放射線を測る「ベクミル」
◯みんなの測定スペース ◯必要なのは「正確な」情報
〈インタビュー〉松井英介……内部被曝について学ぶ・考える
◯医師会はこの危機をどう捉えているのか ◯若者たちの頼もしい動き
■第6章 地方という生き方
九州を目指す移住者たち
◯3・11でばらばらになったもの ◯行き過ぎてしまった個人主義
◯東京から離れていく友人たち ◯熊本の移住者たちを訪ねる
◯迎え入れる人、佐々木洋之さんの活動 ◯3・11後の生き方
あとがき
プロフィール
[著]
岡本俊浩(おかもと・としひろ)
1976 年東京都生まれ。フリーランスのライター、編集業。
レコード店員を経て、2002 年からライターを始める。現在は文化、社会の分野で取材~ 執筆をする。主な執筆媒体は『テレビブロス』(東京ニュース通信社)。同誌でコラム「左手で描いた世界地図」を連載。『アエラスタイルマガジン』(朝日新聞出版)では編集担当、共著に『野外フェスのつくり方』(フィルムアート社)がある。
[編]
庄野祐輔(しょうの・ゆうすけ)
1976 年兵庫県生まれ。いくつかのインディペンデントマガジンの創刊、編集に携わったあと、書籍のコンセプト立案・企画から、編集・デザインをおこなう制作プロダクション「4d2a」を設立。書籍やウェブサイトのデザイン、ファッションブランドのルックブックのアートディレクション、展示のプロデュースなどを手がけている。
お詫びと訂正
松井英介さんの発言のなかで「私の知るかぎりでは、国立がんセンター、日本医師会(日本最大の医師会)が動いている話はありませんね」の記述がありますが、「国立がん研究センター」は2011年6月に放射線被ばくに関する公開討論会を開いており、事実と異なります。本書で「国立がんセンター」の記述が残ってしまったのは、編集上の校正ミスです。松井英介さん並びに該当団体、関係各位の方々には、訂正してお詫びを申し上げます。
※国立がん研究センター「放射線被ばくについての公開討論会」
http://www.ncc.go.jp/jp/shinsai/20110622_kokaitoronkai.html