アカデミー賞受賞者ダグ・チャンによる、ロボット/マシーン/戦闘機の作画プロセスと〈機械の美学=メカニカ〉
『スター・ウォーズ』『ターミネーター』『宇宙戦争』などといった話題作の造形美術を手がけ、数々の賞に輝いているアーティスト、ダグ・チャン。本書では、SFアートの素描から仕上げまでの工程が本人によって解説されており、作画プロセス、テクニック、理論を段階的に知ることができる。造形の対象は、ロボット、宇宙船、戦闘機、エイリアン、モンスター、さらにはまったく異質な世界。SFデザインの原点となる優れたエッセンスが凝縮され、ダグ・チャン至高のアートスタイルを楽しめる一冊。
ロバート・ゼメキスによる「まえがき」
「ダグ・チャンは豊富で潤沢なスタイルの持ち主だ。この本の真価がどこにあるかと言えば、ダグが、描くための技術だけでなく、彼の思考プロセスまで開示し、分かち合おうとしているところではないだろうか」
目次
まえがき ロバート・ゼメキス
はじめに
デザインのための用具
マーカーと用紙
デッサンの基本
ファンデーションライン
デジタル・ペイントについて
良いデザインのカギ
■ロボットとマシーン ROBOT AND MACHINES
奇抜なデザインの創作
モノポッド monopod
人型ロボットのデザイン
r-ロボット r-robot
狭い内部空間のデザイン
1人乗り戦闘機のコックピット single-person fighter cockpit
複雑な形状のデザイン
ロボット・パイロット robot pilot
個性のあるロボットをデザインする
コム・ロボット comm robot
■歩行型マシーンと輸送車 WALKING MACHINES AND TRANSPORTS
自由発想でデザインする
C-1ミリタリー・ロボット c-1 military robot
機械技術をミックスさせる
スティームボット steambot
兵器を装備した歩行型の乗物をデザインする
タンクK tankk
2種類の異なった機械のフォルムを掛け合わせる
マッシブT massive T
■架空動物と異星生物 CREATURES AND ALIENS
荷運び用の恐竜獣をデザインする
レイバー・ビースト(労働獣) labor beast
異星生物をデザインする
エイリアン alien
異星のマシーンをデザインする
エイリアン・ロボット alien robot
デジタルでアクリル画のような様相に仕上げる
ダイノ・ライダー dino rider
■スペースシップと航空機 SPACESHIPS AND AIRCRAFT
小型スペースシップをデザインする
ファイター・シップ fighter ship
直定規で大型スペースシップをデザインする
ドレッドノート dreadnaught
翼のついた小型自家用機をデザインする
モトフライヤー motoflyer
なめらかで光沢のある戦闘機を表現する
マルチウイング・ステルス戦闘機 multi wing stealth fighter plane
■ドラマとシーン:デジタル・ペインティング・テクニック
DRAMA AND SCENES:DIGITAL PAINTING TECHNIQUES
大型の人型ロボットをデザインする
アイアン・ロボット iron robot
レトロ感が漂う浮遊型レースカーをペイントする
レーサー A racer a
状況設定を盛り込んだデザイン画をペイントする
ツインウィング攻撃戦闘機 twin-wing attack fighter
特定のシーンを表現したイラスト画を描く
空襲 air attack
ドラマティックな戦闘シーンを描く
Rアタック R attack
ペイントしながら作品を進化させてゆく
墜落シーン crash
レイヤーを重ねて作り上げる
砂漠戦闘マシーン desert fighting machine
ドラマティックな対決をデジタル・ペイントで描く
スタンドオフ standoff
おわりに
訳者あとがき
プロフィール
[著]
ダグ・チャン(Doug Chiang)
ダグ・チャンは1986年から映画やテレビの製作現場で活躍し、これまでにアカデミー賞、英国アカデミー賞(2度)、クリオ賞を受賞している。プロダクション・デザイナーとして参加した映画作品には、『ポーラー・エクスプレス』、『ベオウルフ/呪われし勇者』、2009年の『Disney’s クリスマス・キャロル』も含まれている。また『スター・ウォーズ』シリーズの『エピソード1/ファントム・メナス』と『エピソード2/クローンの攻撃』ではデザイン・ディレクターをつとめている。彼が執筆やイラストを担当した数ある書籍の中には、彼自身が創作し、小説家オーソン・スコット・カードと共同執筆した『Robota』もある。彼はまたウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のイメージムーバーズ・デジタルでエグゼクティブ・バイス・プレジデントをつとめている。
[訳]
吉田俊太郎
翻訳家。現在は英国と日本を頻繁に行き来しながら映画や広告を中心に翻訳活動をしている。主な訳書として『映画の瞬き』『マッケンドリックが教える映画の本当の作り方』『ジェームズ・キャメロン』『マスターショット100』『マスターショット2』『映画表現の教科書』(フィルムアート社)、『知的会話のための英語』(ベレ出版)、『映画もまた編集である』(みすず書房)などがある。