極意で学ぶ写真ごころ

伊藤みろ=著
発売日
2011年11月25日
本体価格
2,400円+税
判型
B5判・並製
頁数
152頁
ISBN
978-4-8459-1180-6
Cコード
C0072
備考
品切

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技術+αとは?
多くの写真技法の盲点をつく「極意」

本書は「記録」「創造的視点」「詩情」の3つ全てを兼ね備えた作品づくりを実践的に説きながらも、“写真における表現とは何か”という「心構え」まで踏み込んだ写真術を伝授します。また、写真技法の盲点であり、多くの人が正確には理解できていない「色温度」「あおり」の問題などにも基礎からアプローチし、世界水準のテクニックも多数収録。コラムではバウハウスの実験写真やムンカチの「動感のスタイル」などアートに関する歴史、押さえておくべき普遍的な知識を体得でき、あなたの写真表現の幅を広げます。
■「アサヒカメラ」誌で大反響を呼んだ連載、ついに書籍化!

目次

写真ごころの極意論
第1章 光を極める
1 光をとらえる極意とは・・・白を白く、黒を黒く撮る
2 光の足し算と引き算・・・紗幕とバウンス光
3 写真の「迎え」と「先々の先」・・・単体露出計と日中シンクロ
4 瞬間力という静止・・・日中シンクロのフル活用
5 モニュメンタリティーを作る・・・フィルターを使った作品表現
6 写真の「花」が際立つとき・・・露出の極意の応用
第2章 いのちのつながりに気がつく
7 万物と共感を分かち合う・・・ホワイトバランスとフィルターによる色補正
8 「遠くて近いもの」への目線・・・ストロボによる中和とフィルターによる色表現
9 対象の心とつながる・・・カメラ側の色調整と色温度計
10 事物が光に還るとき・・・ボケの効果とパンフォーカス
11 光の移ろいの時間・・・時間帯による光の違い
12 光の恵みと受難・・・斜光・反逆光・透過光と曇りの表現
第3章 世界の輝きを「作品」にとじこめる
13 「二次元」と「三次元」のとらえ方・・・構図の基礎トレーニング
14 空間を直感力でつかむ・・・空間の「投げ輪」とコンポジション
15 万物の要素を見いだす・・・山水画の構図に学ぶ
16 見えているものと隠されているもの・・・レンズワークとマクロレンズ
17 「まぼろし」の時を心でとらえる・・・広角レンズ、魚眼レンズとパースペクティブ
18 写真道の未来を往く・・・アオリレンズの表現
第4章 日常の中の非日常をとられる
19 ハイキー・ローキーの詩的表現・・・明るさ・暗さの心理効果
20 気韻と感動の表現・・・シャッタースピードとレンズのズーミング効果
21 モダンアートの機能美の発見・・・バウハウスの実験写真に学ぶ
22 心像を刻印する・・・反射と映り込みの効果
23 世界の新しいイメージを作る・・・アングルとコントラストの実験
24 無意識という名の恩恵・・・多重露光とスローシンクロ
25 かたちの細部とレディーメイド・・・開かれたアート性の確立
写真ごころ エッセンスコラム
バウハウス
ケルテスに見る「不射の射」/A・R=パッチュの『世界は美しい』
マイブリッジの連続写真/絵画主義の写真/植田正治の「時空劇場」
A・アダムスの「生き方のエコロジー」/E・ハース 色表現の歓び/プラハの詩人 J・スデック
写真とは流れのメディア/室内でも逆行・反逆光を生かす/黄金分割
バウハウスの写真教育とは/ニューバウハウスで学んだ石元泰博/ロドチェンコとアングルの実験
ライトの建築と写真/魚眼レンズ/動かない被写体に「動き」を加える表現/M・ムンカチ「動感スタイル」
写真ごころを極める 極意の法則
あとがきにかえて 写真術という旅
謝辞 アンノ・バーキンの詩ごころ

プロフィール

[著]
伊藤みろ(いとう・みろ)
写真家/美学家/アーティスト。アートとドキュメンタリー、クロスメディアアートまでジャンルを越えた領域で、ドイツ、アメリカ、日本を中心に、世界の写真文化の第一線で活動。国際写真年鑑『Graphis Photo』(2003年度)の表紙を日本人として初めて飾り、アメリカPIC (Photoimaging Information Council) の公式サイトにおいて特集された。ヴェネチア・ビエンナーレ(ダンス部門, 2006)の公式イメージに作品が選ばれ、NYリンカーンセンターでの個展『Men at Dance – from Noh to Butoh: Japanese Performing Arts, Past and Present (能から舞踏まで) 』の全作品55点をニューヨーク公立図書館の永久コレクションに寄贈。舞踏家・室伏鴻を撮りおろした「Quick Silver」シリーズは、ヴェネチアやNYだけでなく、ロンドン、ウィーンをはじめ、世界各地のダンスフェスティバルのポスターを数多く飾った。NYで9.11を体験以降、東西の心の架け橋となるアーティストメッセージを発信すべく、日本の精神文化をテーマにした写真や映像を世界の美術館・図書館、大学や研究機関に寄贈するプロジェクト「メディアアートリーグ」を推進。著書に『魅せる写真術』(MdNコーポレーション)がある。