偉大な監督たちから学ぶカメラテクニック!
映像制作における様々なプロセスのうち、最も現場での「即断力」が求められるのがカメラワーク。本書では、実際の映画シーンをサンプルとしながら、100通りものショットの方法や効果を伝授します。
掲載された魅力的なショットを会得することで、どんなに切迫した現場でも創造性のある撮影展開が可能です。低予算映画の監督からプロのカメラマンまで、映像で物語表現を生み出す全ての人への戦力となるでしょう。
目次
Chapter1 FIGHT SCENES 格闘する
アクションを望遠レンズでとらえる/ロングレンズ・スタント
決定的なパンチ/スピード・パンチ
モーションを合わせる/マッチング・モーション
殴り倒す/ノックダウン
当たる瞬間に切り替える/カッティング・フォー・インパクト
地を這う格闘/ダウン・オン・ザ・フロア
暴力的行為を画面には映さない/オフスクリーン・バイオレンス
敗北の瞬間/モーメント・オブ・ディフィート
Chapter2 CHASE SCENES 追跡する/逃走する
カメラが伴走して被写体を追う/トラベル・ウィズ・サブジェクト
望遠レンズでパンする/ロングレンズ・パン
狭い空間を通過する/パッシング・スルー・タイト・スペース
広い空間での逃走/スルー・オープンスペース
逃走中のサプライズ/サプライズ・アロング・ザ・ウェイ
見えざる追撃者/アンシーン・アタッカー
迫りくる追撃者/クロージング・アタッカー
ありえないようなスピード・アップ/アンフェア・スピード・ゲイン
もう少しで逃げおおせそうな場面/オルモースト・ゼア
足元で躍動感を出す/フットワーク
Chapter3 ENTRANCES & EXITS 登場する/退場する
登場人物のすり替わり/キャラクター・スイッチ
バックグラウンドがベールを脱ぐ/バックグラウンド・リビール
振り向く/ターン・イン
障壁の背後から登場する/オブジェクト・リヴェレーション
窓への「寄り」/ウィンドウ・プッシュ
同ショットで2シーンをつなげる/シーン・スワップ
パンをしながら移動して見送る/ペンドラム・パン
方向転換/ダイレクション・シフト
Chapter4 SUSPENSE, SEARCHING & CREEPING スリル/潜入/探査
ドリーでかすかなカメラ移動/サトル・ドリー
目に見えないもの/アンシーン
不安を隠さない動き/アンティシペイティング・モーション
なにもない空間への「寄り」/プッシュ・オン・ナッシング
空間を広げる/ワイドニング・スペース
2つのショットが一気に交錯する/トゥー・シングス・アット・ワンス
主人公とともに手がかりを探す/トレース・アンド・クルー
緊迫感を生む歩み/ステップ・トゥ・サスペンス
視覚的な危機/ビジュアル・デンジャー
Chapter5 DRAMATIC SHIFT ドラマティックな変化
急な「寄り」/フォーカス・イン
劇的瞬間/モーメント・オブ・ドラマ
パンをしながらのスライド移動/パン・アンド・スライド
背景を操作する/ワーキング・バックグラウンド
人物とすれ違う瞬間の反転/ピボット・オン・キャラクター
あらゆる方向へのリバース・ショット/リバース・オール・ダイレクション
ドリーで後退する/バックワーズ・ドリー
静止を強調する/アンダーライニング・スティルネス
同時モーション/シミュルテニアス・モーション
Chapter6 REVELATIONS & DISCOVERIES 新事実/新発見
鏡のドア/ミラー・ドア
カーテンが両側に開かれるように/セパレーティング
群衆の中のディテール/ディテール・イン・ザ・クラウド
影から現れる/アウト・オブ・シャドウ
カメラを引いて新事実を開示/プルアウト・リビール
平行での軌跡/パラレル・トラック
動き続ける/ムービング・オン
目線の変化/アイライン・チェインジ
視点をスライドさせる/アイ・スライド
Chapter7 SHOCK HORROR ショック/ホラー
テンションを高める/ビルディング・テンション
別方向に注目させてからのショック/ミスダイレクション・フォー・ショック
登場人物を恐くみせる/フィアリング・キャラクター
場所を恐ろしくみせる/フィアリング・プレイス
広い空間/ワイド・スペース
ビジュアルによる衝撃/ビジュアル・ショック
心変わり/チェインジ・オブ・マインド
隠れている攻撃者/シールディング・アタッカー
恐怖の窓/ウィンドウ・オブ・フィア
Chapter8 DIRECTING ATTENTION 注目を集める
物体を使って導く/オブジェクト・ガイド
交錯するモーション/ハンディング・オフ・モーション
カメラの方向転換/チェインジ・オブ・ダイレクション
反射/リフレクション
カメラが動きを止める地点/レスト・ポイント
色彩の効果/カラー・ガイド
反対方向からのアングル/リバース・アングル
Chapter9 CAR SCENES カーチェイス
フロントシートから撮る/フロントシート・シューティング
後部座席から撮る/バックシート・シューティング
車内での会話/カー・ダイアログ
駐車された車/パーキング・カー
車から出る/リービング・ザ・カー
車と並行して歩く人物/カー・ウォーク
窓越しの撮影/シューティング・スルー・ウィンドウ
Chapter10 DIALOGUE SCENES 会話する
会話シーンをドリーで寄りながら撮る/カンバセーション・ドリー
背景をずらす/オフセット・バックグラウンド
2人の人物を同一画面に収める/シェア・スクリーン
隣り合って並ぶ/サイド・バイ・サイド
それぞれの違う高さから人物をとらえる/ハイト・チェインジ
計算された視線/ステージド・グランス
鏡を通して見つめ合う/ミラー・トーク
感情の起伏に合わせたカメラ移動/ムーブ・ウィズ・ザ・ビート
Chapter11 ARGUMENTS & CONFLICT 口論する/対峙する
円を描くように回る/サークリング
カメラが演者に詰め寄る/アタッキング・カメラ
守勢にまわったカメラ/ディフェンシブ・カメラ
カメラに詰め寄る/ランジング・アット・カメラ
怒りの動作/モーション・イン・アンガー
身体で反発心を表す/ボディ・コンフリクト
肩越しに振り返る/バック・オーバー・ショルダー
演者が交差する動き/クリスクロッシング
Chapter12 LOVE & SEX SCENES キスシーン/ベッドシーン
視線を交わす/アイ・コンタクト
初キスの場面/ファースト・コンタクト
キスのアングル/キス・アングル
2人が倒れ込む/ゲッティング・ダウン
顔だけでセックスシーンを表現する/アウト・オブ・ボディ
計算された顔の角度で撮影する/フェイシング・アップ
肌が触れ合った瞬間/モーメント・オブ・コネクション
ディテールの世界を見せる/ワールド・オブ・ディテール
※各テクニックの実例として使われた映画作品
ファイト・クラブ/パンチドランク・ラブ/13日の金曜日 PART2/マイノリティ・リポート/完全犯罪クラブ/アメリ/グリーン・デスティニー/橋の上の娘/ブレードランナー/シャイニング/狼の時刻/ロスト・イン・トランスレーション/ふたりのベロニカ/スターリングラード/エターナル・サンシャイン/ロマンスX/愛を弾く女/など…
プロフィール
[著]
クリストファー・ケンワーシー(Christopher Kenworthy)
これまでドラマ作品やコメディ作品の他、多くのコマーシャルビデオ、ミュージックビデオ、実験作品、および短編映画で脚本、製作、監督をつとめている。2008年「The Sculptor」で長編デビュー。短編映画「Some Dreams Come True」は一年間に渡って数多くの国際映画祭で上映され、いくつかの賞を受賞している。
[訳]
吉田俊太郎(よしだ・しゅんたろう)
翻訳家。現在は英国と日本を頻繁に行き来しながら映画や広告を中心に翻訳活動をしている。主な訳書として『映画の瞬き』『マッケンドリックが教える映画の本当の作り方』『ジェームズ・キャメロン』(フィルムアート社)、『知的会話のための英語』(ベレ出版)などがある。