あなたの脚本を鍛える100のチェック項目!
ダメな脚本には、ダメな理由が必ずある──。
脚本の基本構成から執筆のルール、業界での売り方まで幅広くカバーした>「100項目のチェックリスト」で、ボツにされる前に自分で自分の脚本にダメ出しができる脚本の教科書。自らも脚本家である著者が、同じ道を志す読者に向けて、ユーモアと友情にあふれた愛のムチをふるう!
■かつての脚本術にはない斬新なスタイル!
自力で欠点が直せる完全ガイドです!!
以下(本文抜粋)
長編映画、3本。全米脚本家組合、生涯会員。脚本家生活、20年。そんなバックグラウンドを持つ俺は、友人たちの脚本を批評してきた。7年ほど前からは、有料で相談も受けている。また教師として、何百もの学生作品を読んできた。
そして、気づいた。ビギナーは、みな同じミスを犯すのだ。そのミスとは?
全員が同じミスをするから、俺のアドバイスも同じことの繰り返しになる。「人物名が似ていて紛らわしい」「人物がみな、同じ意見しか持てていない」「主人公のゴールが曖昧」。そこで、みんなが自力で欠陥を直せるよう、チェックリストを作った。そうすれば「スペルチェックは?」なんて話で時間をムダにせず、即、プロットや人物や構成に切り込める。そのチェックリストの進化形が、この本だ。
目次
感謝の言葉
はじめに
第1幕:ストーリーテリング
■アイデア
1 熱くなれる題材を選んでいない!
2 アイデアにオリジナリティがない!
3 正しいジャンルを選んでいない!
4 ひとりよがりのストーリー!
5 悲惨な人々が悲惨に過ごし、悲惨なエンディングを迎える!
6 タイトルを熟考していない!
■キャラクター
7 主人公の選択を誤った!
8 主人公の作りが浅い!
9 人物像のディテールが曖昧!
10 場所の設定が曖昧!
11 主人公に深い関心が持てない!
12 敵対者が人間じゃない!
13 悪者がイマイチ!
14 主人公の変化に、敵対者が関与しない!
15 敵対者自身が「この映画のヒーローは私」と思っていない!
16 悪者スピーチがない!
17 人物がアホな行動に走る。つまり、キミがアホなことをさせている!
18 脇役に個性がない!
■構成
19 ストーリーを考えながら、構成を心配していた!
20 テンションが足りない!
21 時間のプレッシャーがない!
22 読んでも感情が刺激されない!
23 構成がまずい!
24 一行アウトラインを何度も叩いていない!
25 「ランダム思考」アウトラインをしていない!
26 ケリス・ハーディングの法則を使っていない!
27 BストーリーがAストーリーと、からんでいない!
28 セットアップとペイオフを生かしていない!
29 状況説明がみえみえ!
30 サプライズをぎりぎりまで隠していない!
■シーン
31 各シーンをしっかり叩いていない!
32 シーン内でアクションが方向転換しない!
33 リバーサルが少ない!
34 「もっとコンフリクトを強く」と各シーンで叫んでいない!
35 「リピートで対比」の威力を生かしていない!
36 シーンの最初と最後のセリフをカットしていない!
37 人物がリサーチにふける!
38 電話でばかりしゃべる!
39 シーンの印象が弱い!
■セリフ
40 小耳にはさんだ会話をメモしていない!
41 セリフを書き分けていない!
42 セリフを磨き抜いていない!
43 A-B書きをしていない!
44 セリフがQ&A!
45 サブテクストがない!
46 リサーチしすぎ!
47 リサーチ不足!
第2幕:ライティングの実践
■文章術
48 映画脚本を読んでいない!
49 道具の選び方がまずい!
50 文の意味がはっきりしない!
■フォーマット
51 フォーマット(書式)を理解していない!
52 スラグラインが素っ裸、あるいはスラグラインがない!
53 俳優を演出しすぎ!
54 挿入句の使い方が変!
55 人物の呼び名が途中で変わる!
56 名前つきの人物が多すぎる!
57 人物名で語呂合わせ!
58 主人公に二行(ぐらい)の特徴描写がない!
■ト書き
59 小説向けの言葉を使っている!
60 ト書きに「~である」が多すぎ!
61 「the」や「that」を使いすぎ!
62 最も大切な単語を文末に配置していない!
63 セリフがト書きになっている!
64 イメージの順序が悪い!
65 ト書きを最小限にしていない!
■リライト
66 繰り返すな! 絶対に!
67 書いてはリライトした!
68 全体を一気にリライトした!
69 最初のページがダメ!
70 最初の10ページがダメ! うぁああああ!
71 最初の20ページを捨てていない!
72 どうでもいいアクションがある!
73 初稿(あるいは第9稿)が完璧だと思っている!
■細部まで完璧に
74 言葉の意味を知らずに使っている!
75 アラビア数字を使っている!
76 ショットを指定!
77 歌を指定!
78 スペルチェックしていないおバカさん!
79 スペルチェッカーを信用した! あはははは!
80 長いほどいいと思っている!
81 声に出して読んでない!
82 プリンターが安物!
第3幕:完成したら
■ド素人になるな。プロになれ
83 書くことより、有名になることが先!
84 自分の脚本だけ特別扱いを期待!
85 タイトルページに変な情報を書き込んだ!
86 読み合わせをしていない!
87 勇み足で送ろうとする!
■業界
88 業界のしくみを知らない!
89 ランチタイムが何時か知らない!
90 自尊心が高すぎる! つまり「もらった批評に反論するな」!
91 手紙の作法を知らない!
92 バカな要望を突きつけた!
93 リリースに署名したくない!
■不安がいっぱい
94 盗作を恐れている!
95 「ハンロンの剃刀」を知らない!
96 ナタリー・マーチャントとパティ・スミスの違いを知らない!
97 穴から抜け出す方法を知らない!
98 エージェントの見つけ方を知らない!
99 「いいね」と言われて舞い上がる!
100 却下を前向きにとらえている!
フェイドアウト
著者略歴
プロフィール
[著]
ウィリアム・M・エイカーズ
全米脚本家組合生涯会員。長編脚本3作品が映画化された他、MGM、ディズニー、ユニバーサル・スタジオ、フォックス、NBC、ABCネットワークでも執筆を行なう。現在、サイゴン陥落を描いた脚本がOverture Studios制作、ジョン・アミエル監督で企画進行。また、ヴァンダービルト大学で映画脚本、映画制作指導にあたる。
フランス語に堪能。行儀のよい飼い犬2匹。クイズ番組『Jeopardy!』出場経験を持つが勝利ならず。現在、脚本セミナーやワークショップを世界各国で行なっている。問い合わせは彼のウェブサイトから。
www.yourscreenplaysucks.com
[訳]
シカ・マッケンジー
関西学院大学社会学部卒。「演技の手法は英語教育に取り入れられる」とひらめき、1999年渡米。以後ロサンジェルスと日本を往復しながら、俳優、通訳、翻訳者として活動。教育の現場では、俳優や映画監督の育成にあたる。ウェブサイト英語劇ドットコムを通じ、日本各地で英語劇ワークショップを開催。訳書に文化庁日本文学普及事業作品『The Tokyo Zodiac Murders』(英訳、共訳)。『魂の演技レッスン22』、『“役を生きる”演技レッスン』(フィルムアート社)。