ハリウッド最後の巨人が放つ、人類への警告と壮大なイマジネーション!
常に技術革新を生んできた映画界の完璧主義者ジェームズ・キャメロンの、規格外な半生に迫る。ロジャー・コーマン門下を経て、B級ピラニア映画『殺人魚フライングキラー』で長編デビュー。その後は彼独自の問題意識や審美眼を持ったスケールの大きい作品が続く。近未来アクションの金字塔『ターミネーター』『エイリアン2』、海底スペクタクルSFの問題作『アビス』、透徹したリアリズムを描いた『タイタニック』、そして今世紀最大の話題作『アバター』……
本書では、テクノロジーによって社会が被る恩恵と危機についてや、深く掘り下げられたキャラクター形成など、終末と再生のヴィジョンに取り憑かれた彼のアイデア源となる秘話が満載。個々の作品が持つ映画の強さや制作過程にある彼の頭脳を垣間みることで、作家ジェームズ・キャメロンの新たな一面を発見できるだろう。
「手強い相手だ。あの男の頭脳はマジでスゴイ!」
──ピーター・ジャクソン
目次
■1章
○人間性を失うことなく、カタストロフィを生き抜く:『Xenogenesis 』『殺人魚フライングキラー』『ターミネーター』『エイリアン2』
○少年とその頭脳
終わりのはじまり/フィリップとシャーリー/ターボチャージャー搭載の遺伝子/「ジム、字が読めないって本当なの?」/深海という別世界/ハリウッド、西へ/ロジャーへの手みやげ「ゼノジェネシス」
○ロジャー・コーマン映画学校
キャメロン青年の雇われ先/おっぱい付きの宇宙船/自然淘汰されるスタッフたち/「ウジ虫を持ってこい」/最悪なストーリーと、極悪なピラニア
○ドアを蹴破る
悪夢/血の誓い/ミスター・ユニヴァースに喧嘩を売る/私が未来を担う母親に見える?/「なにを迷うことがある、両方やるんだよ」/ターミネーターのデザイン/DIY/予想外の評価/テック・ノワール
○もはやこれは戦いだ
シガーニー版アラモ/「その子に手を出したら、ただじゃ済まさないわよ!」/ゴミ袋のテスト/シド・ミードによるスコラ号/宇宙海兵隊のブートキャンプ/パインウッド、長く険しい撮影/エイリアン・クイーン/苦渋のカット
「エイリアン2」の余波
■2章
○長く深淵を覗き込むなら、深淵も同じように見返すだろう:『アビス』『ターミネーター2』『トゥルーライズ』
○奈落の底(アビス)を見つめる
エラを持った人間/トラック運転手、エイリアン、そして神/「ウェット・フォー・ウェット」方式/バドとリンジー/終わらない夜/「僕の悪夢へようこそ」/溺死の危機/意気地なしども!/ILM社の挑戦/大波のイメージ
○あの話には続きがあった
再起動/「なあ、本当にこんなことできるのかな?」/女版ランボー/ジョン・コナーを探して…171/T1000/障害の作り方/平和をテーマにしたバイオレンス映画?
○神話と嘘
小規模な映画に、大きな契約/ストレンジ・デイズ/アンチ・ジェームズ・ボンド映画/ドメイン(領土)の領主/面白い人々/不当契約/「スピルバーグだってやらないだろう」/キャメロン版「スパイダーマン」
■3章
○夜のハイウェイを走るように、進むべき道を決めるのは私たち自身だーー:『タイタニック』『アバター』
○不沈の船
「ロシアに連れて行ってくれ」/心は冒険家なんだ/「プラネット・アイス」プロジェクト/ジャックとローズ/100日スタジオ/「だれがチャウダーを食べた?」/沈没シーン/八度目のサンセット/マネー・マネー・マネー/船長を死なせる/最高の出来/秘密の歌/「タイタニック」試写会での評判/世界の王
○現代のマゼラン
オモチャと冒険/決別/深く潜る/その男、ジム/火星探査と3DHD/「試作の少女」ジェシカ・アルバ/陽光の下でまた会おう
○プロジェクト880
モンスターの頭のなか/デジタル・マニフェスト/アバターの「プロトタイプ」/良い知らせと、悪い知らせ/僕に向かって「ああ」と返事をするやつ/ザ・ボリューム/ウェタ社のアーティストたち/アバターの日/アンオブタニウム/世界の終わりから、未来を見つめる男
プロフィール
[著]
レベッカ・キーガン
ハリウッドを基盤にした記事をタイム誌に寄稿するレベッカ・キーガンは、これまでフランシス・フォード・コッポラ、ウィル・スミス、ペネロペ・クルスらをはじめとする一流の俳優や監督のプロフィール執筆を数多く手がけている。また、3D、ホラー作家、ファンボーイ文化などのトレンドをとりあげた記事も得意とするほか、アカデミー賞、サンダンス映画祭、コミック・コンヴェンションなどの詳細なレポート記事も担当している。現在は夫と共にロサンジェルスに暮らしている。