渋く、薄汚れ。

ノワール・ジャンルの快楽

滝本誠=著
発売日
2006年5月
本体価格
1,800円+税
判型
四六判・並製
頁数
288頁
ISBN
978-4-8459-0688-8
Cコード
C0074
刷数
2刷
備考
品切

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「ワイルドサイドを歩け!」

読み出したら止まらない、
犯罪的面白さのア-ト評論集、ついに刊行!
独自の美学に裏打ちされたアートの審美眼と、ポエティックな文体を持つ滝本誠が、映画・小説・絵画などの背後に蠢く闘争、ハリウッドスキャンダル、果ては猟奇殺人までをも語り尽くす!
澱んだ快楽を丸裸にする、滝本誠のノワール・ワールド!

目次

まえがき
第I章
どんな末路が待とうが、犯罪の弾ける楽しさ、悲しさこそが
・ S・キューブリック、F・シナトラから映画化権強奪
――『現金に体を張れ』
・ ウィージー印死体効果
―― 『パブリック・アイ』&『罠』
・ マイケル・ルーカーは「現場の顔」だ
―― 『ブラウンズ・レクイエム』
・ 白世界へのハリー・べラフォンテ、黒の挑戦
―― 『拳銃の報酬』
・ 原作者を馬鹿にし、監督には無視され、シナリオ・ライターの歪んだ立ち位置
―― 『孤独な場所で』
・ 伝説のLAギャング、ミッキー・コーエンとジェイムズ・エルロイ同好の士
―― 『ハリウッド・ノクターン』を読む
・ 娼婦による変態暴きのクール!
――『裸のキッス』
・ この女、危険につき
―― フィルム・ノワールの女たち
第II章
ノスタルジーがすべてを、押しながしていく
・ エドワード・ホッパーを足がかりにノワールに踏み込む
―― ノワールとの相互影響
・ ある日、小さな町のダイナーに黒いスーツの男が姿を現わす
―― 『殺人者』、Out of the Past、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』
・ スモール・タウンの悪夢
―― 『疑惑の影』
・ WASPの「郊外」に毒蛇を放て
―― 『恐怖の岬』
・ 湖水を透かしての美しき死体!
―― 『狩人の夜』
・ 麗しきかな、ネクロフィリア
―― 『ローラ殺人事件』
・ どうしてもリメイクはオリジナルに勝てない
―― 『マダムと泥棒』『レディ・キラーズ』
・ 死の国にて(ファントム・エンパイア)
―― 『マルホランド・ドライブ』
・ チャールズ・ウィルフォード本の解説がプチ自伝になってしまった
第III章
地べたを這う目線こそが、ノワールの世界を準備した
・ 加賀まりこの上唇のめくれ、あるいはプチ自伝II
――『乾いた花』ほか
・ キューバン・ノワール、アメリカ逆進攻
――『追放者』を読む
・ ネオ・ノワールアート派の凱歌
――『バーバー』
・ On・the・Q.T
――クエンティン・タランティーノに関する

プロフィール

[著]
滝本誠(たきもと・まこと)
評論家。1949年1月19日、京都府生まれ。京都の文化果つる山間で生まれる。府立福知山高校を経て、東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。著書に『きれいな猟奇 映画のアウトサイド』(2001、平凡社)、『美女と殺しとデイヴィッド』(1998、洋泉社)、『映画の乳首、絵画の腓』(1990、ダゲレオ出版)がある。『アシュカン派の美術ー<ノワール>の発生』執筆がせかされている。口癖だが、先行きは暗い。