デザイナー・粟津潔の重要発言、原画スケッチ、美術セット写真を集成。伝説的デザイナーのヴィジュアルメッセージ!
「粟津流とは!?」
ポスター、舞台美術、装丁、映画・・・・・60年代から活躍するデザイナー・粟津潔の、今日に至るまでの重要発言を抜粋し、原画スケッチ、美術セット写真を付した一冊。
伝説的デザイナーのヴィルアルメッセージ!
目次
第一章 すべては荒野だった
すべては荒野だった/デザインや絵画については、授業を受けた経験もなければ/私たちの未来に執念が欲しい/映画は私にとって教師だった/友人の詩人、寺山修司が/チェ・ゲバラの死に顔/地図は私のデザインの故郷/言葉にたよらず、人々を目で見える地獄に案内/都市や街が、人間という生物の模倣を/私はデザインナーになる以前/人物のスケッチは、電車の中/犬もさえ都市に関与できる/革命、革命といいながら/近所には、ヒゲの退役軍人や、歯医者/人生わずか二万日/創造する行為に組織や団体はいらない/ひとはやっとの思いで生きている/たとえば、自分のネクタイを一本選ぶ/私は生まれて間もなく、父を交通事故で/映画を作り出す過程とは、日々の美術作戦だ
第二章 デザインはどこにあるのか
私は毎日、デザインについて/日常のなんの変哲もない新聞や雑誌の一項を眺めて/デザインって無意識の内に/世界が分子、粒子のような点であっても/人間はみな思いもよらぬ出来事のなかで/人は誰でも死ななくてはならない/デザインすることは、ある条件がつきものだ/今日のデザインなり建築は/線をどこまでも引くという単純な行為/都市をささえる建造物も/とにかくよいと惚れ込んだら/デザインがわれわれを見張っている/デザインの解体ということは/ものを創りだすことは、見ること/〈かた〉をくりかえす/言葉以前の言葉/海を見る時のように線描を/方法とは、一回性の完結ではない/〈かたち〉はイメージがなければ/点・直線は非在であるが/完成された姿だけで、評価しても/ものを創りだしてゆく行為は/かつてポスターは街頭の美術/これは私の指紋/フェリーニのデッサン、スケッチ、イラスト/創造行為の原点が/エイゼンシュテインの当時/シャボン玉をふく人/夜明けを見ることを、ためらう
第三章 イメージの海を泳ぐ
文字の起源が絵である/きまって恐怖に近い感情/活字は何者かが描いたもの/イメージの海がひらかれる/自分自身の口唇も/デザインは新しい未知の視覚体験/私の指紋を押してみる/ほんものの自然は/象形文字を書き始めたのは/〈かたち〉は不思議なもの/海にはENDマークがよく似合う/イラストレーションとは/水や雨というと/複製化した現代のメディア/レタリング文字あるいは活字体にしても/漢字を覚はじめた子どもの頃/世の中のさまざまなことに疑問をもつ/目標はないけれど/人の一生には、色々なことが
第四章 砂漠の上のデザイナー
砂漠の上にさらされている/私は哲学者や学者ではない/「心中天網島」は、金がないところで/「あなたはビートルズですか」/六十歳の半ばを超えたガウディは/自分の国をすてて/私は好奇心の塊のような人間/出会いということを、大切に/その人自身の人格を示している/気取った雰囲気をとりのぞいて/人間は皮膚という仮面をかぶっている/立ち止まることのできない永遠/絵を描くこと、働くこと、社会を変えること/十字架のように張りつけになって/自分で自分がわかっているようで/どこにも所属せず、定まった仕事もなく/真の笑いでないもの/象形文字を書き始めた/砂漠を超えることができるだろうか
イメージ図版:デザインが生まれる時
ささやき、人、暗闇/うごめき、質感、文字/モーション、地図、緑/眺め、生と死、曼陀羅/繰り返し、コラージュ、海/予感、シネマ、時代/生まれてくる、ダンス、エンジェル
●粟津潔 年鑑