身近な映画群から新たな発見をするための手引書。1980年代以降のアメリカ映画を中心に、映画監督、脚本、俳優、映画技法、映画ジャンルなどについて解説する。名作・話題作の疑問に鋭く迫る。〈娯楽〉であり〈芸術〉でもある現代映画に新たな発見を促す。
目次
●第1章 映画の中の〈社会〉を読む
1 『めぐりあう時間たち』を〈ジェンダートラブル〉で読み解く
2 『壁の中に誰かがいる』を〈階級闘争〉で読み解く
3 『エイリアン・ネーション』を〈多元文化主義〉で読み解く
4 『ゾンビ』を〈消費文化〉のメタファーとして読み解く
5 『千と千尋の神隠し』を〈戦後日本社会〉のメタファーとして読み解く
●第2章 映画監督を読む
1 スティーヴン・スピルバーグ◎引き裂かれた家族
2 アルフレッド・ヒッチコック◎マザーコンプレックス
3 ジョエル&イーサン・コーエン◎神話と絶対悪
4 スティーヴン・ソダーバーグ◎時間の解体
5 マーチン・スコセッシ◎カトリック信仰
6 ロバート・ゼメキス◎失われた時間
7 バリー・レビンソン◎現代アメリカ社会
8 M・ナイト・シャマラン◎宗教とモラル
9 クエンティン・タランティーノ◎引用センス
10 ジャン=リュック・ゴダール◎女と愛
11 ウォン・カーウァイ◎即興演出
12 ウディ・アレン◎ベルイマン・コンプレックス
13 サム・ライミ◎力と責任
14 ポール・トーマス・アンダーソン◎父の影
15 ペドロ・アルモドヴァル◎映像美
16 ブライアン・シンガー◎社会的マイノリティ
●第3章 脚本/物語を読む
1 犯人論◎『氷の微笑』の真犯人がわからいという事態
2 結末論◎『運命の女』は曖昧な結末を迎えたのか?
3 ナレーション論◎『プライベート・ライアン』は掟破りの名作か?
4 演出論◎『イン・ザ・ベッドルーム』徹底分析
5 小道具論◎『世界は女で回ってる』の野球ボールを覚えていますか?
6 舞台論◎バスルームで殺人事件が起きるのはなぜか?
7 回想論◎なぜ人はキャメロン映画に涙するのか?
8 物語論◎家族崩壊、記憶喪失……映画の最新〈物語〉事情
●第4章 俳優/スターを読む
ジョニー・デップ/ドリュー・バリモア/ケイト・ブランシェット/エドワード・ノートン/スカーレット・ヨハンソン/ハル・ベリー/ジョディ・フォスター/ジャック・ニコルソン/ジュリアン・ムーア/フィリップ・シーモア・ホフマン/ウィリアム・H・メイシー/ウィレム・デフォー/ケイト・ハドソン/マシュー・マコナヒー/レニー・ゼルヴェガー/エド・ハリス/トム・クルーズ など
●第5章 映像技法を読む
1 時空論 ◎デ・パルマvs.ヒッチコックの映像テクニック対決
2 造形論 ◎特撮マン、スタン・ウィンストンが活躍する理由
3 編集論 ◎日本人監督の視線は何を表現してきたか?
4 撮影論 ◎手持ちカメラはウィンターボトムを進化させたか?
5 描出論 ◎現代の映画演出を支える新古典主義について
6 音楽論 ◎ハンス・ジマーの映画音楽を読む
●第6章 映像技法を読む
1 Jホラー論 ◎『リング』『呪怨』はなぜハリウッド進出に成功したのか?
2 ガンアクション論 ◎『マトリックス』はパンドラの箱を開けたのか?
3 西部劇論 ◎アメリカという国の神話が映画を作りだす
4 コメディ論 ◎笑いは人間を解放する
5 サイコキラー論 ◎超人レクター博士の憂鬱
6 アクション俳優論 ◎バーチャル時代にこそ真の活劇ヒーローが必要なのだ
7 恋愛映画論 ◎『ガールファイト』に至る恋愛イメージの変遷