「セックス、ドラック、ロックンロール」「波瀾万丈の破滅的な生きざま」─そんな映画人の英雄像は、今や神話となった。エキセントリック、マルチ、デッド、インディペンデント、4つのファクターをもつ「芸術家のような映画人」44人を紹介。
目次
シネアーティスト伝説とは何か?
●50.60 年代に活躍したシネ・アーティスト
1 今ここではない黄泉の場所を求める魔術師 ジャン・コクトー
2 ヴードゥー教を通して未知の旅をした女 マヤ・デレン
3 抵抗と逸脱、ホモソーシャルな生の運命 P・P・パゾリーニ
4 〈不可能な愛〉を生きる永遠の故郷喪失者 マルグリット・デュラス
5 怒りの天使、アンダーグラウンドフィルムの帝王 ケネス・アンガー
6 死と愛を希求する実験作家 スタン・ブラッケージ
7 抵抗と同性愛、貴族の大いなる美学 ルキノ・ヴィスコンティ
8 永遠のノマディズム、伝説の映画批評家 セルジュ・ダネー
9 『勝手にしやがれ』を演じた透徹な知性と悲劇 ジーン・セバーグ
10 五月革命の美的叛乱を透視したシチュアシオニスト ギィ・ドゥボール
11 ゴダールのパートナーを脱し、俳優から小説家へ アンヌ・ヴィアゼムスキー
12 型破りな独創性、平和を希求した世界的アーティスト オノ・ヨーコ
13 『イージーライダー』の脚本家、60年代ストリームの先導者 テリー・サザーン
14 『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』のセクシー美学 ラス・メイヤー
15 ピンクの<荒野>を撃ち続けたアナーキスト 若松孝二
16 異端の才能を発見した異能の映画批評家 佐藤重臣
●70年代に活躍したシネ・アーティスト
17 映画=人生を生き抜いた〈ポスト・ヌーヴェルヴァーグ派〉ジャン・ユスターシュ
18 故郷へのノスタルジーを超えて、「いまとここ」を繋ぐFILMING ジョナス・メカス
19 インディペンデントな経験のミニマリスト フィリップ・ガレル
20 メロドラマにミクロの戦いを読む、ニュー・ジャーマン・シネマの先鋒 R・W・ファスビンダー
21『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の破局的でリベラルな存在感 マリア・シュナイダー
22 進歩と退廃の両面をもつ中性的な美貌の魅力 ドミニク・サンダ
23 『暗殺の森』に潜む、しなやかさと傷つきやすの悪魔的共存 J=L・トランティニャン
24 審美主義デカダンスの現代的ミューズ イングリット・カーフェン
25 狂気から帰還したアクション・アーティスト デニス・ホッパー
26 スターとしての資質がなかった男の反ハリウッド人生 ロバート・デ・ニーロ
27 自分の作りたい映画を手にするためのエモーショナルな戦い ジョン・カサヴェテス
28 現実と虚構を挑発的に横断する日本アヴァンギャルドの第一人者 寺山修司
●80年代に活躍したシネ・アーティスト
29 腐敗とマインドピースを愛する逆説的怪物 デイヴィッド・リンチ
30 スクリーンの彼方に安息の〈庭〉を見つけたクイア・アーティスト デレク・ジャーマン
31 激烈な愛への希求、映画界のアルチュール・ランボー レオス・カラックス
32 どのジャンルにも、どこにも属さない永遠の〈部外者〉 セルジュ・ゲンズブール
33 世界を再構成するしたたかな内的ヴィジョン ピーター・グリーナウェイ
●90年代から現在に活躍するシネ・アーティスト
34あらゆる表現行為を壊す、脱ハリウッドへの戦闘家 ラース・フォン・トリアー
35 セックスと死とタブーに挑戦した破滅的ナルシシスト シリル・コラール
36 美的であることを示す新しいアイデンティティーズ ヴィンセント・ギャロ
37 腕にタトゥーを刻み、アメリカを揺さぶる多次元感性 ジョニー・デップ
38 内面の探究から〈アメリカ〉へ、真のインディース精神 ショーン・ペン
39 美しさと残酷さ、永遠のティーンエイジャー ラリー・クラーク
40 冗談第一主義のポスト・アンディ・ウォーホル スパイク・ジョーンズ
41 父への憎悪、史上最悪の映画を撮った<恐るべき子供> ハーモニー・コリン
42人生=作品の危機的なまでのフィクショナルな実験 ソフィ・カル
43社会の最底辺に潜む悪意に応答するフランスの問題児 ギャスパー・ノエ
44脱セックスシンボル、少女の本質を露出させる存在感 クロエ・セヴィニー
年代別シネ・アーティスト相関図・解説
シネ・アーティスト・ワーズ 注目のアーティスト映画16