アートレス【増補改訂版】

マイノリティとしての現代美術

川俣正=著
発売日
2001年5月
本体価格
2,400円+税
判型
A5判・並製
頁数
256頁
ISBN
978-4-8459-0118-0
Cコード
C0070
刷数
2刷
備考
品切

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著者がたずさわったアート・プロジェクトの現場からの素朴な疑問と、まわりからのリアルな反応を通して、現在のアート、特にパブリックな場での作品の成立と地域社会におけるアート・イヴェントの実状などを紹介。

目次

まえがきにかえて
・アートレス
美術家(?)であるということ/アートレス

序論
・事柄をつくる
現場を訪ねる/インスタレーしョン/サイト・スぺシフィック/仮説性、一時性/
プロジェクトに住み込む/人の参加、共同制作

第1章
「かたちなきかたち」を生み出す複数の力:サイト・スぺシフィック・ワーク
・ヴィジュアル・テロリズム(トロント・プロジェクト)
表現を社会化すること/非営利画廊からのオファー/リ・インカーネーションを感じさせる場を発見
真夏のトロントでの作業/賛否両論のリアクション/プロジェクトに保険をかける/ヴィジュアルのモラル
・ニューヨーク、廃虚の島の現在形(プロジェクト・オン・ルーズヴェルト・アイランド)
都市の中のタイムラグ/ルーズヴェルト島の病院跡地に立つ/下調べ、責任問題、広報活動/ルーズヴェルト島・管理事務所との交渉/ニューヨーク州と市との二つの許可を受けること/エンジニア、アーキテクトとの共同作業/ファンド・レインジング(予算集め)、廃材を大量に集める/現場の雰囲気を大切にする
ヘルメットをかぶった観客たち/ニューヨーク、アメリカへの思い/二つの大きなプロジェクトを終えて

第2章
作品よりも制作がどう転がっていくのか
:チェーン・リアクションによるワーク・イン・プログレス
・成長するプロジェクト(アマクマー・プロジェクト)
リハーサル、作品化以前の状態/リフレクシヴィティ(相反反映性)、スケジュールを完結させない
アルクマーのクリニックで/遊歩道の板を打ち付けるクライアントたち/普通にやりながら普通でない
こと/現場でのネゴシエーション
・コールマイン・プロジェクト(あるにはワーク・イン・プログレス・プロジェクト)
日本の近代に対するポジショニング/ローカルからインターローカルへ/インスタレーション・シティとしての炭坑/チェーン・リアクション/ノマドからツークフォーゲルへ/自己生成プロセスを持つプロジェクト

第3章
公共の場で、きわめて個人的な表現をすること:無許可と無名性について
・ニューヨークのゲリラ的ストリート・アート(ニューヨークのアート・ムーヴメント)
町の文化を変えたPSI/スタジオ・アーティストになる/グラフィティ・アート・シーン/ジェントリフィケーション
・無許可と無名性の狭間で(ゲリラ的プロジェクト・ワーク)
アノニマス/ゲリラ的プロジェクト、フィールドワーク
都市のパラサイト(ファヴェーラ、ハウスレスハウスなど)
戦略としてのガン細胞/ファヴェーラ/東京プロジェクト/ハウスレスハウス/都市のキャパシティ/場当たりリアリティ

第4章
普通でありながら普通ではなく社会に潜行していくこと:アートレスなアクティヴィストへ
・マイノリティとしての現代美術(コミュニティの新しい触媒)
空間、場、都市への触覚/わけのわからないものを排除する常識/文化施設のキャパシティ/観客に対する現代美術の姿勢/文化イヴェント主義への疑問/グローカルな視点をもつこと/地域おこしと場のコミュニケーション/ファンクショナルなアートレス/アートに社会的使命はあるか?
・川俣正・代表的プロジェクト解説
・あとがき
・増補版によせて