ピックアップ

気になる映画本 2024年8月刊行

フィルムアート社の中の人が2024年8月に刊行された映画関連書籍の中から気になる映画本3冊をピックアップして紹介します。(毎月上旬更新予定)
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監督のクセから読み解く 名作映画解剖図鑑
廣瀬 純゠著
彩図社

本書で注目するのは、映画監督のクセ=演出。撮影方法、構図、編集をはじめとした演出から、名監督・名作映画の魅力を解き明かします。とりあげるのは、ハリウッドのヒットメーカー、ヌーヴェル・ヴァーグ、サスペンスの巨匠、実験精神に溢れた日本人監督など、独自の演出で現代映画を牽引してきた12人。唯一無二の映画批評を実践する著者が、彼らの魅力を語りつくします。ぜひ本書を参考にお気に入りの監督のクセを見つけて、映画をお楽しみください。

【目次】
スティーヴン・スピルバーグのクセ/クエンティン・タランティーノのクセ/ウェス・アンダーソンのクセ/トニー・スコットのクセ/クリント・イーストウッドのクセ/小津安二郎のクセ/山中貞雄のクセ/大島渚のクセ/相米慎二のクセ/黒沢清のクセ/アルフレッド・ヒッチコックのクセ/エリック・ロメールのクセ
出版社HPより)


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ショットとは何か 歴史編
蓮實重彥゠著
講談社

映画の「未来」に向けて/スクリューボールまたは禁止と奨励 ハリウッド30年代のロマンチック・コメディー/オーソン・ウェルズはたえずフィルモグラフィーを凌駕しつづける/「黒さ」の誘惑 リタ・ヘイワースの曖昧さはいかにして「フィルム・ノワール」を擁護したか/これは、「黄昏の西部劇」である以前に、映画の王道に位置づけらるべき作品である サム・ペキンパー監督『昼下りの決斗』/ロッセリーニによるイタリア映画史/ロベルト・ロッセリーニを擁護する/娘のイザベラを使って、ロッセリーニに『イタリア旅行』のリメイクを撮らせたくてならなかった/ジャン・ルノワール論のために/レマン湖の畔にて ゴダールにとっての―あるいは、ストローブにとっての―スイスについて/署名の変貌――ソ連映画史再読のための一つの視角/寡黙なるものの雄弁 ホー・シャオシェンの『戀戀風塵』/吹きぬける風のかなたに「黒衣の刺客」/タイプライターとプロジェクターに護られて/ここでは、魂と肉体とが、奇蹟のように融合しあっている「アンジェリカの微笑み」/歳をとらずに老いるということの苛酷さについて ペドロ・コスタ『ホース・マネー』/このホークス的なコメディは、文字通りの傑作である ウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』/十字架 シャワー 濡れた瓦…… 『ヴィタリナ』をめぐってペドロ・コスタに訊いてみたい三つのことがら/抒情を排したこの寡黙な呟きに、ひたすら耳を傾けようではないか ―ケリー・ライカート小論―/黒沢清『スパイの妻』『蛇の道』/濱口竜介『悪は存在しない』/映画の「現在」に向けて ゴダールの『奇妙な戦争』に触れて思うこと/年間ベスト10
出版社HPより)


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ヒッチコックとストーリーボード
9つの傑作から解き明かす画面づくりの秘密
トニー・リー・モラル=著
上條葉月= 訳

サスペンスの巨匠、アルフレッド・ヒッチコック。
その秘密の眠る、もうひとつの「映画術」

人々を驚愕させたヒッチコックの名シーンたちは、いかに構想され、映像化されたのか?

膨大な未公開資料から、ソール・バス、サルバドール・ダリ、ヘンリー・バムステッドら、偉大な協力者たちとの共同作業を掘り起こし、映画史に残る傑作群の舞台裏を解き明かす。

映画ファン必読の一冊!

ストーリーボードとは実際、何なのだろうか?  ストーリーボードは、コンテンツ制作者や監督のヴィジョンをイラストレーターが表現したもの、と定義できる。それは漫画のコマのようにイメージの連続で構成され、異なるシーン同士をどう組み合わせるかのアイデアをくれるものだ。(本文より)


ストーリーボードとはすなわち、現在における〈プリヴィズ(Pre-Visualization)〉の始原であり、とりわけヒッチコックはストーリーボードを自身の方法として重要視していたことが知られています。ヒッチコック曰く「滅多に自身ではカメラを覗かない、なぜなら前にストーリーボードで作ったのと同じ映像になっているからだ」。

本書では、ヒッチコックの実作における共同制作者たちとのストーリーボード――プロダクション段階における様々なイラストレーション、舞台セットのスケッチ――の役割を探ります。貴重な関連図版を数多く掲載し、『めまい』『サイコ』『鳥』『北北西に進路を取れ』等々9つの傑作の制作過程から、最終的な作品に辿り着くまでの軌跡を辿ります。

アルフレッド・ヒッチコックの想像=創造過程を知るにおいてはもちろん、動画制作者やデザイナー、漫画制作者など、あらゆる視覚的創作の基礎ともいえる思考・方法を学ぶにも役立つ一冊です。


その他の気になる映画本

ジョージア映画全史 自由、夢、人間』はらだたけひで=著(教育評論社)
インド沼 映画でわかる超大国のリアル』宮崎智絵=著(集英社インターナショナル)
坂本龍馬の映画史』谷川建司=著(筑摩書房)
原爆映画の社会学 被爆表象の批判的エスノメソドロジー』好井裕明=著(新曜社)
逆光 ヴィム・ヴェンダース パーフェクト・デイズ ダイアリーズ』高崎卓馬/ヴィム・ヴェンダース=著(リトル・モア)
世界の名カメラマン大全』古澤利夫=著(ビジネス社)
インセル時代の男たち 弱者男性で読む日米映画』國友万裕=著(英宝社)
眼がスクリーンになるとき ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』福尾匠=著(河出書房新社)
ゴジラ×市川崑 1977~2006年の現場』手塚昌明=著(ホビージャパン)
悪役は口に苦し』八名信夫=著(小学館)