キンドレッド

グラフィック・ノベル版

オクテイヴィア・E・バトラー=原作
ダミアン・ダフィー=翻案
ジョン・ジェニングズ=絵
小澤英実=訳
発売日
2023年10月26日
本体価格
3,800円+税
判型
B5判・並製
頁数
256頁
ISBN
978-4-8459-2034-1
Cコード
C0079
ブックデザイン
石島章輝(イシジマデザイン制作室)
原題
Kindred: A Graphic Novel Adaptation

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血縁をめぐる歴史が鞭となり、私の身体に新たな傷を刻み、血と涙を流させる――

人種差別/奴隷制という負の歴史の否定が、己の実存を脅かすというパラドックス……
19世紀初頭のアメリカ南部にタイム・スリップした主人公・デイナは、そこでの混沌と絶望に何を見いだし、何に引き裂かれたのか。

オクテイヴィア・E・バトラーが残した、人種とアイデンティティをめぐる“グリム・ファンタジー”の傑作が、グラフィック・ノベルにて登場。

2017年 ブラム・ストーカー賞受賞
2018年 アイズナー賞 最優秀翻案作品賞受賞

1976年のカリフォルニア。若い黒人女性デイナは、ある日突然謎の声に導かれ、南北戦争前のアメリカ南部へとタイムスリップをする。
そこでデイナは、メリーランドの農園近くの川で溺れている白人の少年を救出する。少年ルーファスはウェイリン・プランテーションの跡取り息子であった。
命の恩人であるはずのデイナは、ルーファスの父親が経営するプランテーションで奴隷として生きることになる――。

自身の命が危険に晒されると現代に、ルーファスの命が脅かされると過去へタイムスリップするデイナ。タイムスリップを繰り返すうちに、デイナは自分の血の中に流れている秘密に直面することになる。このふたりを結ぶ絆の意味とは――。

SF、ファンタジー分野における卓越したストーリーテラーとして知られ、フェミニズムやアフロフューチャリズムの文脈でも近年再評価の機運が高まる、アフリカ系アメリカ人作家オクテイヴィア・E・バトラー。
2006年に59歳でこの世を去ったバトラーだが、サラ・ピンスカーやN・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォーなど現代を代表するSF作家に大きな影響を与えている。

世界50万部発行のベストセラー小説『キンドレッド』が、著名な学者でありコミック・アーティストのダミアン・ダフィーとジョン・ジェニングズによって待望のグラフィック・ノベル化。バトラーの代表作として世界的に知られる本作は、奴隷制度がもたらした暴力と人間性の喪失を、SF的な仕掛けを用いたロマンス、歴史小説として巧みに描いている。 人種、性、権力、そして人間であることの意味をめぐる諸問題を探求するバトラーの視点は、刊行から40年以上経った今なお新たな読者を引きつけ続けている。


目次

序文 ンネディ・オコラフォー゠文

プロローグ

火事
転落
闘い

ロープ
エピローグ

ダミアン・ダフィーとジョン・ジェニングズへのQ&A
プロダクション・ノート

プロフィール

[原作]
オクテイヴィア・E.バトラー(Octavia E. Butler)
1947年生まれ。アメリカのSF作家。「血を分けた子ども」でヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞。「話す音」でヒューゴー賞を受賞。95年にSF作家として初めてマッカーサー賞(天才賞)を、2000年にPEN生涯功労賞を受賞。ベストセラーとなった長編『キンドレッド』、短篇集『血を分けた子ども』のほか、シリーズ『Patternist』『Xenogenesis』、『Parable』がある。2006年に59歳で没後にも伝説的作家として世界的な読者をもつ。

[翻案]
ダミアン・ダフィー(Damian Duffy)
カートゥーン作家、著述家、レタラー。『ブラック・コミックス――アフリカ系アメリカ人のインディペンデント・コミック・アートと文化』(Black Comix: African American Independent Comics Art and Culture)の共編者。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にて図書館情報学の博士号を取得。

[アーティスト]
ジョン・ジェニングズ(John Jennings)
アイズナー賞を受賞したアンソロジー『インクがより黒いほど――コミックスおよびシークエンシャル・アートにおける黒人アイデンティティの構成』(e Blacker the Ink: Constructions of Black Identity in Comics and Sequential Art)の共編者であり、カリフォルニア大学リバーサイド校、メディア・アンド・カルチュラル・スタディーズ学部教授。ハーバード大学ハッチンズ・アフリカン・アンド・アフリカンアメリカン研究センターが主催するナーシアー・ジョーンズ・ヒップホップ・フェローシップ受賞者。

[訳]
小澤英実(おざわ・えいみ)
翻訳家、批評家、東京学芸大学准教授。専門はアメリカ文学・文化研究。
共著に『村上春樹 映画の旅』(フィルムアート社)、『幽霊学入門』(新書館)、『現代批評理論のすべて』(新書館)、訳書にカルメン・マリア・マチャド『彼女の体とその他の断片』(共訳、エトセトラブックス)、ロクサーヌ ・ゲイ『むずかしい女たち』(共訳、河出書房新社)、フランク・O・キング『ガソリン・アレーのウォルトとスキージクス』(創元社)エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』(白水社)などがある。