プレイ・マターズ

遊び心の哲学

ミゲル・シカール=著
松永伸司=訳
発売日
2019年4月26日
本体価格
2,000+税
判型
四六判・並製
頁数
236頁
ISBN
978-4-8459-1801-0
Cコード
C0010
刷数
2刷

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なぜ遊びが重要なのか?
なぜわたしたちは遊びを必要としているのか?
そもそも、遊びとはいったい何なのか?

現代ゲームスタディーズの第一人者、
ミゲル・シカールによる
新時代の「遊び」の哲学、待望の翻訳!

新しい切り口でゲームについて考え、ゲームという観点から新しい切り口でゲーム以外の物事について考える、ゲームスタディーズ入門〈Playful Thinking〉シリーズ、翻訳第1弾!

遊びの単なるひとつの形式にすぎないゲームにのみ焦点をあててきた従来のゲームスタディーズに異議を突きつけ、物、空間、人間、人間関係など多様な事柄が関わる「遊びの生態系」全体の観点から遊びをとらえていくことの重要さを提示する。
幅広い射程を有するコンピュータ時代の遊びのかたちを描き出す、ゲームスタディーズの新潮流となる必読書が満を持して登場。

ビデオゲーム、ボードゲームから、スポーツ、おもちゃ、遊び場、ユーザーインターフェイス、インタラクションデザイン、さらには、関係性の美学など現代の美術理論から考察する遊びの行為の美学、はたまた、1986年ワールドカップでのマラドーナの「世紀のゴール」、 アノニマスのハクティビスト活動*などから検討する政治的な遊びまで──

ユニークで独創的な事例を膨大に織り込みながら、従来の遊戯論の伝統をアップデートし、ゲームスタディーズにカウンターをかける、遊び心満載の痛快な一冊。

推薦コメント

遊びがわかれば世界もわかる

そんなつもりで眺めれば、それこそスマホのデザインも、冗談交じりのおしゃべりも、ゲームやその他の楽しみも、日々の暮らしやビジネスだって、世界は「遊び」で満ちている。昔の人も言うように、遊びは人を映し出す。

それなのに、世界はどんどん変わるのに、遊びの理解は進まない。この本は、そんな理解を大幅に更新かける得がたい本。小さいけれど侮るべからず。山椒は小粒でもぴりりと辛い。ゲームも仕事も日常も、みんなまとめて面倒みよう。遊びの極意をご覧あれ。頭の中を揺るがせば、遊び心も湧いてくる。遊びがわかれば世界もかわる。
──山本貴光

===

前世紀、二度の世界大戦のはざまの時代。
賢い人間(ホモ・サピエンス)を僭称した西洋近代の過信を省みて、
ヨハン・ホイジンガは遊ぶ人間(ホモ・ルーデンス)たる人類の本性を喝破した。

今世紀、ゲームと人工知能が遍く社会の情報化を導く現代。
いまや近代は超克され、この星は自然物と人工物が戯れあう
遊ぶ生命(アニマ・ルーデンス)の共異体へと拡張されつつある。

本書が思索する「遊び心」とは、そんな世界の塗り替えを導く原理の謂だ。与えられた機能や目的に還元されない、流用と創造のダイナミズムとは?
予定調和な未来像を打ち破る遊戯論の更新が、ここから始まる。
──中川大地

松永伸司さん選書リスト

イベントレポート

メディア掲載

表現の手段、世界との関わり方としての遊びを──消費活動ではなく生産活動としての遊びを──取り戻さなければならない。文学、美術、音楽、ダンスと同じように、あるいは政治、愛、数学と同じように、遊びは、わたしたちを世界のうちに存在させるとともに、それを表現するモードである。(本文より)


目次

遊び心をもって考えるーーPlayful Thinkingシリーズについて
謝辞
本書の読み方

Chapter1 遊び
Chapter2 遊び心
Chapter3 おもちゃ
Chapter4 遊び場
Chapter5 美
Chapter6 政治
Chapter7 デザインから建築へ
Chapter8 コンピュータ時代の遊び

原註・訳註
訳者あとがき 松永伸司
参考文献

プロフィール

[著]
ミゲル・シカール(Miguel Angel Sicart)
現在、コペンハーゲンIT大学のデジタルデザイン学科・コンピュータゲーム研究センター准教授。現代ゲームスタディーズの第一人者のひとりで、技術の哲学や文学理論をベースに、ゲームにとどまらず広く遊びに関わるものごとを論じている。著書に本書『Play Matters』(MIT Press, 2014)のほか、『The Ethics of Computer Games』(MIT Press, 2009)、『Beyond Choices』(MIT Press, 2013)がある。

[訳]
松永伸司(まつながしんじ)
専門はゲーム研究と美学。現在、さまよっています。著書に『ビデオゲームの美学』(慶應義塾大学出版会、2018年)、訳書にイェスパー・ユール『ハーフリアル』(ニューゲームズオーダー、2016年)、ネルソン・グッドマン『芸術の言語』(慶應義塾大学出版会、2017年)など。

原註リンク集