当世落語界を突っ走る人気真打5人と、
期待の若手真打・二ツ目6人が魅せられた
“噺”の奥に見えるものとは。
落語家にとっての「十八番の噺」とは何か。
自身が持つネタの中でも、特に思い入れがあったり、ウケが良かったり、など捉え方は様々。本書では、11人の落語家がそれぞれ噺をあげ、独自の解釈や演じる上で心がけていることなどをつまびらかに明かしています。古典の場合、噺は伝承されてきたものですが、教わった師匠から何を受けとり、自身のものにしていくか。また、伝来の過程や、選んだ噺のどの場面に力を入れているか、セリフの言い回しなどについても踏み込んでいきます。
本人の言葉で語られる落語家としての個性、魅力、芸への姿勢…などなど。
噺をさらに深く捉え、落語を聴くときの手引きとなる、新たな魅力が見つかる一冊です!
※巻末にそれぞれの「十八番の噺」のあらすじを収録しています。噺自体を聴いたことが無い方でもわかるようになっています。
◎言いづらいと思いますが……
師匠の十八番は何ですか? どこに心を込めていますか?
春風亭昇太/桃月庵白酒/柳家喬太郎/立川生志/林家正蔵
◎未来の十八番!?
三笑亭夢丸/立川こはる/春風亭昇々/瀧川鯉八/柳亭小痴楽/柳家わさび
【紹介される珠玉の18噺】
古典・・・『権助魚』『松曳き』『火焔太鼓』『幾代餅』『按摩の炬燵』『しじみ売り』『お見立て』『紺屋高尾』『柳田格之進』『あたま山』『金明竹』『雑俳』『一目上がり』『桃太郎』『佐々木政談』
新作・・・『ストレスの海』『ハワイの雪』『科学の子』
「なに、きょうは十八番を言わないとだめなの?他の人もみんな言ってる?あれでしょ、言えばお金あげるからって言わせてるんでしょ。噺家はお金渡すとしゃべっちゃうからね(笑)。」(春風亭昇太)
「私は、別に十八番は何でもいいかなぐらいに思ってるので(笑)。プロフィールにも最近は「持ちネタ 全部」とか書くようにしてますしね。」(桃月庵白酒)
「十八番なんてないです。そんなふうに噺のことを考えたことがない。偉そうに選びたくもないし、そもそも、自分から言うものじゃないでしょ。」(柳家喬太郎)
「正直言うと、お断りしようかと思ってました。」(立川生志)
「ある先輩から「オンリーワンの噺を作った方がいいよね。持ったらいいよね」って言われたことがあります。いわゆる十八番って、そういうことなんでしょうかねぇ。」(林家正蔵)
メディア掲載
-
「聖教新聞」(12/9号)
「18席のあらすじが添えられていて門外漢にも落語の世界に親しみやすい気配りがされている。それぞれの高座での表情を捉えた写真もいい。」 -
「東京新聞」(12/3号)評者:藤沢周
「私の好きな立川生志師匠など、こんなに明かしていいのか、という磨きに磨いた技を披露」 -
「産経新聞」(11/18号)
-
「週刊朝日」(2017年11/10号)
-
「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(ニッポン放送)
「これを読むと明日から落語家さんを見る目が変わるかもしれません!」
目次
第一章 師匠の十八番は、何ですか?
一、春風亭昇太 千の海を越えて 『ストレスの海』『権助魚』 構成・松田健次
二、桃月庵白酒 平和がいちばん! 『松曳き』『火焔太鼓』『幾代餅』 構成・杉江松恋
三、柳家喬太郎 将来、残るかな 『ハワイの雪』『按摩の炬燵』 構成・渡邉寧久
四、立川生志 磨きに磨いて 『お見立て』『紺屋高尾』『柳田格之進』 構成・馬場憲一
五、林家正蔵 お客様が決めるもの 『しじみ売り』 構成・渡邉寧久
第二章 未来の十八番!?
一、三笑亭夢丸 いつか、堂々と 『あたま山』
二、立川こはる 進化が楽しい 『金明竹』
三、春風亭昇々 信念を固めた噺 『雑俳』
四、瀧川鯉八 新作落語の子 『科学の子』
五、柳亭小痴楽 このネタに惹かれるわけ 『一目上がり』
六、柳家わさび DNAを手に入れたくて 『桃太郎』『佐々木政談』
十八噺のあらすじ
プロフィール
[著]
春風亭昇太(しゅんぷうてい・しょうた)
一九五九年静岡県清水市(現・静岡市)生まれ。東海大学文学部中退後、八二年五月、春風亭柳昇に入門し「昇八」。八六年二ツ目に昇進し「昇太」。九二年五月、真打昇進。二〇〇〇年、文化庁芸術祭大賞、花形演芸大賞大賞受賞。〇六年五月より「笑点」大喜利メンバー、一六年より司会に。『城あるきのススメ』『楽に生きるのも、楽じゃない!』など。 デキシーバンド「にゅうおいらんず」でトロンボーン、 GSバンド「ザ・フルーツ」でボーカルとサイドギターを担当。公益社団法人落語芸術協会理事。高座は古典新作を問わずに常に客席を爆笑で沸かすトップランナー。
桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)
一九六八年鹿児島県生まれ。九二年早稲田大学中退後、六代目五街道雲助に入門。前座名「はたご」。九五年六月、二ツ目に昇進し「喜助」に改名。二○○五年九月、真打昇進し、「三代目桃月庵白酒」を襲名。同年、第十回林家彦六賞受賞。二○一○年度国立演芸場花形演芸大賞受賞。一般社団法人落語協会所属。初心者も寄席に引き寄せる強烈な落語フェロモンと絶対の安定感がある。
柳家喬太郎(やなぎや・きょうたろう)
一九六三年東京都出身、横浜育ち。日本大学商学部経営学科卒業。書店勤務を経て、八九年十月に柳家さん喬へ入門、前座名は「さん坊」。九三年五月、二ツ目となり「喬太郎」。九五年「第一回高田文夫杯お笑いゴールドラッシュⅡ」優勝。二○○○年三月、十二人抜きで真打昇進。九八年NHK新人演芸大賞「落語部門大賞」。二○○四年〜○六年度国立演芸場花形演芸会大賞等、受賞多数。著書に『落語こてんぱん』『落語こてんコテン』がある。一般社団法人落語協会理事。古典新作ともに高い評価を受ける。
立川生志(たてかわ・しょうし)
一九六三年福岡県生まれ。福岡大学卒業後、大手企業に入社し営業マンとなるが、子供の頃からの夢を叶えるため二年で退社。八八年立川談志に入門、「笑志」。前座時代から「NHK新人演芸大賞」「にっかん飛切落語会」の各賞を受賞。九七年二ツ目昇進。二○○八年四月、落語立川流真打に昇進、「立川生志」と改名。独演会『ひとりブタ』は各地で好評を博す。近年は欧州や米国での公演も意欲的に行う。○八年「彩の国落語大賞」、○九年「横浜文化賞文化・芸術奨励賞」、一七年「福岡市文化賞」を受賞。一○年に博多座では初となる 落語公演を師匠談志との「親子会」で実現、一二年から兄弟子志の輔との「兄弟会」を毎年開催。近年、志の輔、談春、雲水と始めた「傳志会」が注目を集める。著書に『ひとりブタ 談志と生きた二十五年』がある。抜群の滑稽センスと魂を揺さぶる人情噺の語り手。
林家正蔵(はやしや・しょうぞう)
一九六二年東京根岸生まれ。祖父は七代目林家正蔵、父は初代林家三平。七八年四月、父・三平に入門し、「こぶ平」。八一年二ツ目。八七年五月、真打昇進。二〇〇五年、「九代林家正蔵」を襲名。国立花形演芸大賞古典落語金賞、浅草芸能大賞奨励賞受賞。三越落語会『しじみ売り』で二〇一五年度文化庁芸術祭賞大衆芸能部門優秀賞を受賞。一般社団法人落語協会副会長。著書に『高座舌鼓』『四時から飲み―ぶらり隠れ酒散歩』など。古典落語に精力的に取り組むかたわら、テレビドラマや映画など幅広く活躍。
三笑亭夢丸(さんしょうてい・ゆめまる)
一九八三年新潟県生まれ。二〇〇一年初代三笑亭夢丸に入門。前座名「春夢」。二〇〇六年十月二ツ目昇進、「夢吉」と改名。二〇一五年五月真打昇進し、二代目三笑亭夢丸襲名。二〇〇六年、第一一回岡本マキ賞受賞、二〇一七年、平成二八年度花形演芸大賞銀賞受賞。公益社団法人落語芸術協会所属。落語愛を感じさせる、明るく温かみのある高座が魅力。
立川こはる(たてかわ・こはる)
一九八二年東京生まれ。東京農工大学農学部卒業。同大学院中退。二○○六年三月、立川談春に入門、前座名「こはる」。二○一二年六月二ツ目昇進。落語立川流所属。横浜にぎわい座のげシャーレにて独演会「こはるパラダイス」を奇数月開催。新宿文化センター小ホールで「立川こはる独演会」を定例開催。CDに落語ネタをモチーフに作詞した『あこはる。』がある。キレ味鋭く、古典落語の世界を伝える。
春風亭昇々(しゅんぷうてい・しょうしょう)
一九八四年千葉県生まれ。関西学院大学文学部卒業。二○○七年四月、春風亭昇太に入門し、「昇々」。二○一一年四月、二ツ目昇進。二○一五年度NHK新人落語大賞ファイナリスト。二○一六年度NHK新人落語大賞2位。二○一六年、渋谷らくごおもしろい二ツ目大賞。公益社団法人落語芸術協会の二ツ目によるユニット「成金」メンバー。 BSフジ「ポンキッキーズ」(日曜朝八時〜)MC。古典と新作の両輪で活躍し、アグレッシブな高座が魅力。
瀧川鯉八(たきがわ・こいはち)
一九八一年鹿児島県生まれ。法政大学文学部卒業。二○○六年八月、瀧川鯉昇に入門し、「鯉八」。二○一○年八月、二ツ目昇進。二○一一年NHK新人演芸大賞ファイナリスト。二○一五年NHK新人落語大賞ファイナリスト、第一回渋谷らくご大賞受賞。公益社団法人落語芸術協会の二ツ目によるユニット「成金」メンバー。DVD『天才鯉八を聴かずに死んではいけない』(クエスト)がある。独自の世界観で数々の傑作を生み出す。
柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)
一九八八年東京生まれ。二○○五年七月、二代桂平治(現・十一代桂文治)に入門し、「ち太郎」。二○○八年六月、父である五代柳亭痴楽門下になり「柳亭ち太郎」、二○○九年九月、痴楽没後、柳亭楽輔門下へ。二○○九年十一月、二ツ目に昇進し、三代柳亭小痴楽。二○一一年、第二十二回北とぴあ若手落語家競演会奨励賞。二○一五年度、一六年度NHK新人落語大賞決勝進出。公益社団法人落語芸術協会の二ツ目ユニット「成金」メンバー。明るく華やかな高座が魅力。
柳家わさび(やなぎや・わさび)
一九八○年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業。二○○四年十一月、柳家さん生に入門し、「生ねん」。二○○八年三月、二ツ目昇進、「わさび」。二○一一年、映画『落語物語』に主演。CDに『新宿末広亭深夜寄席〜百花繚乱編〜』がある。一般社団法人落語協会所属。古典・新作落語を演じる。毎月、神田神保町のらくごカフェにて「月刊ワサビ」を開催、新作の三題噺に挑戦している。