デザインはコミュニケーションから生まれた。
地図、本、学校、美術館、手紙……多様なメディアから学ぶ「コミュニケーション・デザインの教科書」決定版!
江渡浩一郎氏との対談「これからのコミュニケーション・デザイン」収録
「コミュニケーション」における「デザイン」の歴史的役割と育まれた理念を、社会のなかで形作られ てきた様々な道具、技術、制度、思想などから横断的に検証し、21 世紀の価値ある「コミュニケーショ ン」のありかたを模索します。
本書は整理された歴史的・社会的文脈とそれを裏打ちする豊富な図版による「横断的に資料を読み解けるわかりやすさ」と、強い現在性を持つ表現者・有識者の生の声を聞くことができるため、「コミュニケーション」「デザイン」という言葉に対するあやふやな思いが理論的に解消します。デザインの根幹を成す理念として「コミュニケーション」を幅広くとらえることができます。
社会情報学、芸術社会学、基礎デザインなどを学ぶ方々、コミュニティをベースに活動するデザイナー、アーティスト、オーガナイザー、広告代理店関係者、教育関係者など。「わかりやすくおもしろい教科書」としての性質に富んでいるため、初学者から現場経験者まで、幅広く使える一冊となります!
目次
はじめに コミュニケーション・デザインとは何か?
第一章 地図と交通のコミュニケーション・デザイン
人類はどこから来てどこへ行こうとしたのか
定住をはじめた人類と地図の発生
「地図の起源は歴史に残っていない」
地球は丸い/エラトステネスの世界地図
さまざまな世界地図/プトレマイオス図
さまざまな世界地図/ポイティンガー図
TO図と中世ヨーロッパの世界地図
ヘレフォード図
ポルトラノ海図
ベハイムの地球儀と大航海時代
オルテリウス『世界の舞台』
メルカトルと『アトラス』
宇宙から見た地球/宇宙船地球号/グローバル・ヴィレッジ
なぜ人々は地図を使うのか/地図=世界認識のツール
第二章 本と図書館のコミュニケーション・デザイン
本の構造
文字を残すための素材
巻子本とアレクサンドリア図書館
黙読と朗読
写本と印刷術/分かち書き
大学の勃興と本の発達
グーテンベルクと四十二行聖書
中国、日本、イスラムと活版印刷
宗教改革
想像の共同体
ヒューマニズム
啓蒙思想と百科全書
真理がわれらを自由にする
課題解決型図書館
第三章 学校と教育のコミュニケーション・デザイン
古代ギリシャの教育
対話型コミュニケーション
「大学」の誕生
中世ヨーロッパの教育と「子ども」の学び
市民社会の勃興と教育の発展
「教室」と「学級」の最初期のデザイン
工場としての学校
実践共同体としての学校
「出会う→つくる→変わる」
第四章 美術館と博物館のコミュニケーション・デザイン
コレクションとMuseum の語源
ミュージアムの種類と起源
王侯貴族の私的コレクション/ヴンダーカマー
権力者のコレクション
公共美術館の誕生/「開かれた」ルーブル美術館
大英博物館
日本の博物館・美術館
近代の美術館
ホワイトキューブへ
空想美術館
無限成長する美術館
ポンピドゥー・センター
美術館批判
エクスプロラトリアム
「歴史」をつくる美術館
「創造の拠点」として美術館
第五章 手紙と通信のコミュニケーション・デザイン
空海とゴッホの手紙
太古の通信/狼煙と伝書鳩
道の重要性
平安時代の手紙文化
郵便制度の確立
近代郵便の発展
情報そのものを送受信する
腕木通信という挑戦
通信の発展/メディアの記憶
特別対談 これからのコミュニケーション・デザイン
「驚き」と「知る楽しさ」をデザインする
「メディアのメディア」という視点
過去にあったものが現代につながる
プラットフォームをデザインする
本の未来の話
世界が小さく見えた瞬間
技術決定論とインターネットの歴史
アカデミズムと知見のサイズ
繰り返さなければいけない学問と繰り返すことができない学問
コミュニケーションの場をデザインする
プロフィール
[著]
高橋裕行(たかはし・ひろゆき)
1975 年生。慶應義塾大学環境情報学部卒、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)ラボ科卒。東京芸術大学美術学部先端芸術表現科助手、SKIP シティ映像ミュージアムキュレーターを経て、現在、フリーランスのキュレーター。創造性、テクノロジー、社会の接点をテーマに活動している。主な企画展に「あそびイノベーション展」(北九州イノベーションギャラリー)、「動き出す色の世界」「映像でみる世界の暮らしたべる、すまう、まとう」「影のイマジネーション~星降る夜の魔法使い~」展(SKIP シティ映像ミュージアム)などがある。