面白いのにわからない、わからないのに面白い。超人気番組「水曜どうでしょう」の物語の構造。
北海道ローカル番組から全国区へと瞬く間に拡大した、超人気番組「水曜どうでしょう」。
「言葉で説明できないけど面白い」「なぜかついつい見てしまう」
「見始めるととまらない」「しかも飽きない」……
そんな不思議な魅力とその構造のひみつを、番組ディレクターの
藤村忠寿氏と嬉野雅道氏への取材インタビューと臨床心理学から解き明かす、
まったく新しいかたちの、本邦初の『どうでしょう』研究書!
■内田樹氏、「水曜どうでしょう」ディレクター藤村&嬉野両氏推薦!
“「そうか、そうか」と頷いているうちに読み終え、
たちまちDVDをごそごそ取り出して、見始めてしまった。”(内田樹氏)
“「いやぁーなるほど!」と納得の内容ですな。”(藤村忠寿氏)
“「水曜どうでしょう」、変な番組ですね。”(嬉野雅道氏)
◇推薦文
内田樹 (武道家・凱風館館長)
「水曜どうでしょう」は見始めると止まらず、何度繰り返し見ても飽きることがない謎のTV番組である。
どうして面白いのか、誰かに説明して欲しいと久しく思っていたら、佐々木さんが説明してくれた。
「そうか、そうか」と頷いているうちに読み終え、たちまちDVDをごそごそ取り出して、見始めてしまった。藤村忠寿 (「水曜どうでしょう」ディレクター)
臨床心理学の先生に、自分が作っている番組の構造を教えられるとは!
「いやぁーなるほど!」と納得の内容ですな。嬉野雅道 (「水曜どうでしょう」ディレクター)
この分厚い本を根性で読み通すと、最後になんだかじーんとしてしまったのはなぜだろう。
「水曜どうでしょう」、変な番組ですね。
目次
はじめに
第1講 物語の二重構造
「水曜どうでしょう」の不思議
ホッとさせる番組/作った人すらホッとする/編集のときにホッとする/飛躍する視点
「水曜どうでしょう」のなかの2つの物語
「2つの物語」という仮説/2つの物語の関係/どっちにしても面白い/二重構造のわかりにくさ/現場ではわかりにくい二重構造/藤村さんのもう1つの視点/二重構造という仮説を受けいれる
第2講 世界の切り取り方と世界までの距離
フレームとカメラを動かさないこと
徹底して動かないフレーム/話を切らないために動かさない/画面から去る人を追わない/そこにないものを映す/画面内と画面外の区別/映っていないところで話す/「何かがない」ということがある
カメラと被写体までの距離、ズームをしないこと
適切な距離をとる/ズームによる主張/離れていることで頼りなさをだす/近い距離で撮ることの効果/カメラと大泉さんのインタラクション
第3講 偶然と反復
繰り返しについて
定点観測としてのワンパターン/矛盾していることの意味/「物語」のレベルと「メタ物語」のレベル
偶然について
よく起こる「偶然」/偶然ではない/偶然と計算ずくの間/カウンセリングと偶然/「どうでしょう」での枠/「物語」上の偶然と「メタ物語」上の必然
第4講 旅の仲間のそれぞれの役割
それぞれの役割
①大泉さんの役割・「物語」から飛び出す役者/②藤村さんの役割・「物語」に飛びこむディレクター/③鈴井さんの役割・世界の向こうへ突き抜ける/④嬉野さんの役割・画面のこちら側につなぐ/⑤4人の役割/⑥視聴者の立ち位置
2人のディレクターのこと
直接性の人と間接性の人/外側に目が向く人、内側に目が向く人/時間的な人、空間的な人/疑問形の使い方/ディレクター2人の対照性/2人のディレクターの関係
第5講 結局、どうして面白いのか
「水曜どうでしょう」はなぜ面白いのか
「水曜どうでしょう」の面白さはなぜ説明しにくいのか
どうして面白いのか、のまとめ
第6講 「水曜どうでしょう」とカウンセリング
「可能性の雲」を求めて
おわりに
プロフィール
[著]
佐々木玲仁 (ささき・れいじ)
1969年東京都生まれ。九州大学大学院人間環境学研究院准教授。博士(教育学)、臨床心理士。
京都大学大学院教育学研究科修了。京都文教大学臨床心理学部専任講師を経て現職。
専門は心理療法における描画法、臨床心理学研究法など。2009年日本心理臨床学会奨励賞受賞。
近著に『風景構成法のしくみ ―心理臨床の実践知をことばにする』(創元社)、『学生相談と発達障害』(学苑社)などがある。