世界で活躍する庭園デザイナーが、禅の思想と現代社会を鋭く捉える感性で、デザインの発想を初めて明かす
「禅」は現代アートまでつながる日本の芸術のもとにあるものであり、海外の映画監督や音楽家、大企業の経営者などにも多大な影響を与えている。
そんな禅の世界観から、実際にどんな思考プロセスを経て庭園が作られるかを知ることによって、とくに建築、デザイン、アートの分野で、創作活動の幅は大きく広がる。その表現が「自我」を越え、突き抜けるために必要なことは何か──。アーティストやクリエイター、ビジネスマンまで必読の書である。
目次
第一章 心を見つめる
心を研ぎ澄ます
一休文化学校
現代都市に日本庭園を生かす
生死を繰り返し、一瞬に込める …etc
第二章 世界をデザインする
「こうしてやろう」と思わない
心を変化させる仕掛け
「空(うつ)」の空間
外と内をつなげる
「白」という色の意味 …etc
第三章 素材と対話する
石……品格と賢さを持ち、伝説を象徴する
緑……奥ゆかしさ、空間の深みを出す
水……落とし、流して、心を清める
現代素材……御影石という選択 …etc
第四章 美をきわめる
芸術と宗教の関係
「無常」をデザインする
人間の〝はかりごと〟を超える
否定をもって肯定する …etc
第五章 これからのクリエイターに向けて
排除しない
世界に敏感になる
三十億年の縁をつなぐ
大事なものは一つでいい …etc
プロフィール
[著]
枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職
庭園デザイナー(日本造園設計代表)
多摩美術大学環境デザイン学科 教授
ブリティッシュ・コロンビア大学特別教授(Adjunct Professor)
1953年生まれ。玉川大学農学部農学科卒業後、大本山總持寺にて修行。禅の庭の創作活動を続け、国内外さまざまな大学や美術館等で講演を行なう。庭園デザイナーとして芸術選奨文部大臣新人賞を初めて受賞。他にも外務大臣表彰、カナダ政府“Meritorious Service Medal”(カナダ総督褒章)、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬賞などの受賞歴を持つ。2006年に『ニューズウィーク』日本版で「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。
主な作品にカナダ大使館東京、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園、ベルリン日本庭園、ベルゲン大学新校舎庭園、麹町会館(ホテル・ルポール麹町)庭園などがある。
著書に『日本庭園の心得——基本知識から計画・管理・改修まで』 同英語版『Inside Japanese Gardens』(財団法人 花と緑の博覧会記念協会/発売・毎日新聞社)、『禅の庭——枡野俊明の世界』、『禅の庭Ⅱ 枡野俊明作品集』(ともに毎日新聞社)、『夢窓疎石——日本庭園を極めた禅僧』(日本放送出版協会)、『そのままで 心を楽にする禅の言葉』(朝日新聞出版)、『禅 シンプル生活のすすめ』(三笠書房)、『禅——シンプル発想術』(廣済堂出版)など多数。