洋の東西を問わず、文学、歴史、美術、書、写真、建築、思想、宗教、マンガ等々、さまざまなジャンルを横断し旺盛な執筆活動を繰り広げた博覧強記の物書き・草森紳一。2008年3月に惜しくも逝去した彼の、未刊行の連載が発掘、初単行本化! 写真家・大倉舜二による、アメリカ取材同行時の写真も多数掲載!
1974年夏、草森紳一は親交深い写真家・大倉舜二をともなって、アメリカはオクラホマを皮切りに、フランク・ロイド・ライトの「有機(オーガニック)建築」の概念から、自然・魔法・神秘思想と近代建築のミッシング・リンクを探る〈旅〉へ出た。その10年後1984年から1年間に渡り、建築専門誌『SD』誌上でライトの建築を巡る「内的な旅」の軌跡を綴ったものをまとめたものが本書。自在に飛びまわる草森の自由な発想が、時間も空間も飛び越えて、幻視の旅へ読者を誘う、摩訶不思議な建築論。草森一流の謎解きの〈見立て〉が冴えわたる!
プロフィール
[著]
草森紳一(くさもり・しんいち)
1938年、北海道生まれ。洋の東西を問わず様々なジャンルにわたり、約45年もの執筆活動の中で膨大な著作を残した。蔵書家としても知られる。著書に『マンガ考』(67年)、『ナンセンスの練習』(71年)、『江戸のデザイン』(72年、毎日出版文化賞受賞)、『子供の場所』(75年)、『円の冒険』(77年)、『歳三の写真』(78年)、『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ』(1~4巻・78-79年)、『見立て狂い』(82年)、『旅嫌い』(82年)、『写真のど真ん中』(93年)、『食客風雲録』(中国篇/日本篇、97年)、『荷風の永代橋』(04年)、『随筆 本が崩れる』(05年)、『不許可写真』(08年)、『夢の展翅』(08年)、『「穴」を探る』(09年)、『中国文化大革命の大宣伝』(上下巻・09年)他多数。2008年3月、心不全のため死去。享年70歳。
大倉舜二(おおくら・しゅんじ)
1937年東京生まれ。60年代ファッション・カメラマンとして新しい時代を築き、料理、歌舞伎、生け花など日本文化をテーマにした写真も数多く発表。1971年、第3回講談社出版文化賞受賞。1987年日本写真協会年度賞受賞。写真集に『EMMA』(71年)、『日本の料理』(78年)、『ONNAGATA 坂東玉三郎』(83年)、『ゼフィルス24』(86年)、『武蔵野』(97年)、『作家のインデックス』(98年)、『Tokyo X』(00年)、『Tokyo Freedom』(05年)、『布と夢 植田いつ子の仕事』(08年)他多数。草森紳一の著作『子供の場所』『旅嫌い』他でも多数写真を提供し、共作している。