いま、なぜ映画学校が急増しているのか。
黒沢清、田中陽造、ジャ・ジャンクー、蓮實重彦……
内外のプロが教える、映画人生への道。
映画の「映才教育」とは?
目次
はじめに
第一章 学校からの目──「国立映画学校」のお師匠さん
(東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻教員)
1 続ける──プロとは、一生をかけて映画と関係することだ
監督 黒沢清
2 現場を踏む──切磋琢磨できる、自分の「撮影所」を持ちたい
プロデューサー 堀越謙三
3 適当になる──音を多用し過ぎずに、一歩引いたさじ加減を
録音技師 堀内戦治
4 呼吸をつかむ──切りつなぐことから、映画の息づかいは生まれる
編集者 筒井武文
5 謙虚になる──技術ではなく、頭を柔らかくするココロを伝える
美術監督 磯見俊裕
6 好きになる──脚本の源泉は、登場人物への優しい眼差し
脚本家 田中陽造
第二章 学生からの目──映画学校で学んだこと
1 焦らない──学ぶことより、疑問を持つことが大事だ
「国立映画学校」一期生ドキュメント
2 仲間と歩む──インディペンデント精神は、社会の壁を越えていく
監督 賈樟柯(北京電影学院文学科出身)
3 受け身で攻める──押しつけず投げ出さない。臨機応変な表現を
監督 中村真夕(ニューヨーク大学大学院映画科出身)
4 揺さぶる──粋に開かれた世界を創造したい
監督 舩橋淳(スクール・オブ・ビジュアルアーツ映画科出身)
5 楽しむ──軽快なスタンスで映画作りを楽しむ強さを
監督 内田けんじ(サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科出身)
6 突撃する──我流で体を張りながら、最前線を疾走する
監督 石井聰亙(日本大学芸術学部映画学科出身)
第三章 独学者の目──映画を学ぶ道は一つじゃない
1 映画祭に行く──発掘から交流へ、変わりつつある映画祭の姿
ぴあフィルムフェスティバル/山形国際ドキュメンタリー映画祭/高崎映画祭/
東京フィルメックス/釜山国際映画祭/ベルリン国際映画祭/川喜多記念映画文化財団
2 燃え尽きる── 一作ごとの完全燃焼が次のエネルギーになる
監督 高橋泉
3 迷惑をかける──映画は撮るものではなく、撮らされるもの
監督 坪川拓史
4 開放する──才能に敬意を払い、開放感ある映画作りを目指す
プロデューサー 小椋悟
5 育む──巨匠も新人も生長する、豊かな映画の森を育む
プロデューサー 森昌行
第四章 岡目八目──第三者の「離見の見」を持つ
1 見る──「見てないものがある」という自覚が作家をつくる
評論家 蓮實重彦
2 宇宙観を持つ──コンテンツ産業の原点には、ファンへの愛がある
文化人類学者 イアン・コンドリー
3 自律する──映画は、観客に語りかける最善の方法を求めている
評論家 トニー・レインズ
4 全景を描く──時間をかけて映画の全体像を描こう
作家 ドナルド・リチー
5 同時にする──映像と身体、異なるもの同士が解け合う瞬間
舞踊家 勅使川原三郎
6 負ける──制約は創造の源。負けることでしなやかになる
建築家 隈研吾
おわりに
プロフィール
[著]
岡博大(おか・ひろもと)
1971年神奈川県生まれ。ジャーナリスト。東京新聞記者。高校時代に不登校を経験し留年。紆余曲折を経て、1999年に慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京新聞(中日新聞東京本社)の地方記者、整理記者として働く。映画や建築、サーフィン、能、ダンス、自動車、ジャズ、野球、サッカー、風俗、教育問題など、専門領域の垣根を越えた幅広い分野で、人間ドキュメント、入門ルポルタージュ、長期密着特集記事を執筆している。